3-1 HIMAT(ハイマット):超進化型分子ロボット
3-1 HIMAT:超進化型分子ロボット
「ゆり。ナノマシンと言うのも、なんだか語呂が悪いし言いにくい。ここらで個別に名称を決めようではないか」端末の画面を見つめ、せわしなく指先を動かしていたゆりに、クローディアがふと声をかけた。
「どうしたの? 藪から棒に。ナノマシンはナノマシンでしょう?」ゆりはタイピングする手を止め、不思議そうにクローディアへと視線を向けた。クローディアは、淡い光を放つ試験体が揺れる調整槽を軽く叩き、不敵に、そして誇らしげに微笑む。
「もう、これ自体がすでに既存の領域を超越したナノマシンじゃないか。そんじょそこらの組織が作る、安っぽいナノマシンとはわけが違う。これはゆりが手がけた最高のナノマシンなんだ。ふと、そう思ってね」そう真っ直ぐに称賛されると、ゆりの胸には抑えきれない誇らしさが満ちていく。
「そうね。私もここまでのものが完成するなんて、夢にも思わなかったわ。……でも、勘違いしないで」ゆりは席を立ち、クローディアの元へと歩み寄った。
「クローディア・マリ・天野。あなたと一緒だったから、私はここまで来られたのよ」そっと差し伸べられたクローディアの手を、ゆりは両手で優しく包み込み、心からの微笑みを浮かべた。互いを唯一無二のパートナーとして信頼し合える二人だからこそ、この奇跡に辿り着けたのだ。二人は言葉にせずとも、その絆の深さを肌で実感していた。手を繋いだまま、ゆりは楽しげに言葉を続けた。
「そうね。そういうことなら――『HIMAT』なんてどうかしら」
「ハイマット?」
「ええ。H: Hyper-evolutionary(超進化型)I: Integrated(統合された)M: Molecular(分子レベルの)A: Autonomous(完全自律型)T: Technologies(群体技術)略して、HIMATよ」
「おおか、それは良い! ハイマット、うん、呼びやすいし何より響きが素晴らしいじゃないか!」クローディアは、その完璧な名付けに声を弾ませ、我が事のように絶賛した。




