2-14 破壊の宴と背負わされた箱
2-14 破壊の宴と背負わされた箱
全身の隙間という隙間に無慈悲な刃を仕込んだ狂気の積層装甲――その名も『ブレードアーマー(仮)』。
さすがに悪ノリが過ぎたと見えて、開発された試作モデルは結局この最初の一着だけに留まった。理由は極めてシンプルである。どこからどう見ても、完全なる「失敗作」だったからだ。
誰が好き好んで、自分の肉体を切り刻みかねない刀身剥き出しの超危険な重装甲を身に着けたがるというのか。
あれほど興奮していた開発者本人のクローディアでさえ、完成した実物を見上げた瞬間には(……いや、これは流石にダメだね)と、内心で静かに白旗を上げていたほどである。
しかし、世間的には大失敗の産業廃棄物であっても、ここは天野財閥の秘密研究所だ。
「まあ、作っちゃったものは仕方ないし、一応テストくらいはしておかないとね」そんな二人の軽い思い付きによって、実験場へと配置される哀れな試験体がそこにいた。ただし、今回の実験に当たり、背部にはさらに重要な追加パーツがマウントされていた。
先ほどの唯との会話からゆりがヒントを得た『リュックサック』――すなわち、背中のハードポイントに直接接続された『バックパック型マテリアル増槽タンク』である。
今回は貴重な試作機が一体しかないため、従来のように複数を並べるのではなく、この哀れな一体のみですべての過酷な破壊テストを賄うことになった。
執行されるメニューは、相変わらず常軌を逸した地獄のような内容だった。まずは、弾丸や飛来物を規定の超音速で衝突させ、装甲の破損具合を冷徹に計測する『耐衝撃試験』。
続いて、巨大な質量を持った鋭利な刃物や鉄の錘を容赦なく落下させ、装甲を貫通するかどうかを確認する『刺突試験』。
そして仕上げは、様々な角度から巨大なハンマーで肉体ごと激しく叩きつける、あるいは一定の超高所から直接コンクリートの床へと自由落下させて衝撃緩和力を測定する『鈍器・転倒試験』。
全身に凶悪な刃を仕込まれ、背中に巨大なマテリアルの箱を背負わされた少女の肉体へ、今、あらゆる手段を用いた苛烈な「破壊の宴」が容赦なく襲いかかろうとしていた。




