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2-7 進化統合(インテグレーション)の素体

2-7 進化統合(インテグレーション)の素体


実験場から連れ帰ったその個体を、クローディアはすぐさま専用の調整槽へと沈め、一心不乱にデータ解析を開始した。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


流れるように端末のキーを叩き、モニターに映し出される細胞と分子の結合ログを精査していく。そして、弾き出された解析結果を目にした瞬間、クローディアの指先がピタリと止まった。


挿絵(By みてみん)


その個体の内部では、二人の想像を絶する「驚異的な進化」が起きていた。本来であれば、その個体もまた、肉体の欠損が著しく数分後には確実に死へ至るはずの状態だったのだ。


しかし、血を流す無残な傷口から、試験体の『生体内ナノマシン』と、身に纏っていた『装備品側ナノマシン』の触手が、偶然にも複雑に交差した。


これまで何百回、何千回というスクラップ&ビルドを繰り返しても、決して現れなかった確率の壁。この個体は、その針の穴を通すような絶望的な「奇跡の目」を、土壇場で引き当ててみせたのだ。


個々に独立して再生を実行するはずだった二つの独立したプロセスが、傷口の深部で混沌と混じり合い、単なる修復を超えた高次元の進化統合(インテグレーション)を果たしたのである。


挿絵(By みてみん)


まず、少女の身体を覆っていたチタンセラミック製の装備品が、ナノマシンの誘導によって試験体の体内へと急速に『吸収』されていった。


吸収された無機物の武装は分子レベルで分解され、彼女の有機的な細胞と完全な融合を果たす。有機物と無機物の境界を融解させ、生体融合を果たした全く新しい『新型ナノマシン群体』。彼らがまず最優先で行ったのは、自分たちの「家」でもある、著しく損壊した肉体の緊急補修だった。


さらに、新世代のナノマシンたちは学習していた。――これ以上、この家を壊されては堪らない、と。彼らは補修し終えた生体組織のすぐ上に、かつての外装を上回る強度を持った、強固な城壁の役割を果たす『新型の装備品』を瞬時に自律再生させてみせたのだ。


傷を負うたびに、外殻を自ら分解・再構築し、無傷の待機状態へと戻る。現在、新型ナノマシンたちは、激しい新代謝によって消費された莫大なマテリアルを補充するべく、狂ったように自己増殖を図っている最中だった。エネルギーの消費量が、今までの試験体の比ではない。……おそらくこの個体は今、もの凄くお腹を空かせているに違いなかった。


挿絵(By みてみん)

(注意:画像はあくまでイメージです)


何という、凄まじく、そして美しい結果だろうか。モニターに踊る完璧な進化の系譜を前に、凡俗の領域をとうに超越したはずの天才科学者ふたりも、しばらくの間、ただ言葉を失って呆然と画面を見つめることしかできなかった。


挿絵(By みてみん)


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