14-23 『巨人の建柱、途切れない工程』
14-23 『巨人の建柱、途切れない工程』
森林伐採班、道路敷設班の背後では、ライフライン設置班も本格的に活動を開始している。
敷設されたばかりの道路の脇に、次々と電柱を設置していくのだ。
電柱の全長は約15メートル。安全基準として、実際に地面に埋まるのはその6分の1と定められている。
つまり、2.5メートルは地中に埋め込まれる計算だ。
従来であれば、専用の掘削機を用いて垂直に穴を掘り、そこに電柱を埋めて固定する。
CWを用いても、基本的な工程そのものは変わらない。
ただし、CWのサイズに合わせて作られたアタッチメントを持たせれば、その姿はそのまま巨大な掘削機へと変貌する。
篠崎重工は最初からCWに戦わせる気など無かったのではないか? と疑いたくなるほど、用意されたオプション工事道具の種類は異様に豊富であった。
「これは、いちいち電柱をクレーン車で運んでこなくて良いから本当に助かるな」
「まさにそれよ。しかも、固定するまでCWの手で直接支えていればいいんだしな。あとは埋めるだけで簡単だ、って感じだな」
通常の電柱敷設(建柱工事)の手順は、本来非常に煩雑である。
まずクレーン機能付きの穴掘建柱車で電柱をトラックに積み込んで現場へ運搬。次に、掘削予定地の舗装を壊し、地中に水道管などの埋設物がないかスコップ等で慎重に確認する。
そしてアースオーガー(掘削用ドリル)を使って指定の深さまで穴を掘り、クレーンで電柱を吊り上げてゆっくりと差し込む。
最後に垂直を確認しつつ土や砕石を埋め戻し、傾斜や沈下を防ぐ「根枷ブロック」を設置して固め、周囲の舗装を復旧してようやく完了となる。
当然、CWであっても事前の確認は怠らない。掘削予定地の下に通したばかりの共同溝や水道管の位置を、図面および探査機でしっかりと確認する。
「共同溝の位置は確認済みか?」
「問題ありません。図面通りです」
安全を確認した上で、電柱の運搬から掘削、建て込み、そして埋め戻しに至るまで、CWは一機で流れるように完遂してしまう。
従来のように、工程ごとに「穴を掘る車両」「電柱を運ぶ車両」「吊り上げるクレーン車」と、いちいち車両を入れ替えたり、人員の役割交代を行ったりするタイムロスが一切発生しないのだ。
これを複数のCWによる流れ作業で行っていく。
要するに、作業において「車両の切り替え時間が無い」ことこそが、最大の革命なのである。
重機としての単体性能が優れているという次元を超え、それは「人間の行う作業そのものを巨大化し、そのまま実行している」ような感覚だった。
これなら、作業が速くならない理由などどこにも無かった。




