14-17 『レベル7、時速420キロの境地』
14-17 『レベル7、時速420キロの境地』
「レベル7に上げろ」
「はっ、レベル7に上げるように伝えます」
オーバルトラックを走らされている2人に、再び無情な命令が伝えられる。
もはや指示されるまでもなく、覚悟はとっくに決まっている様子の二人であった。
「……気が付いたか? これだけ激しく走っているのに……あまり疲れていない……」
「それだけ……じゃないな。普通……ここまで常軌を逸したスピードで走ったら、とっくに大事故を起こしていると思うのだが……」
「それな……まぁ、バイザーに細かな情報も常に表示されているしな……意外と……何とかなるかもな」
2人は命がけの命令通り、レベル7へと出力を引き上げる。
引き上げられた瞬間、2人の速度はなんと時速420キロに到達した。
時速420キロといえば、ホンダの若手技術者チームが開発した流線型の実験車両「S Dream Streamliner」が、
軽自動車(S660)用の660ccエンジンをベースにチューニングされ、2016年に米国のボンネビル・ソルトフラッツで時速421.595キロを叩き出し、
当時の世界記録を塗り替えた領域である。
一方、管制室の試験官たちはと言うと――。
「ほう、これほどの速度でもまだ走れるのか。すごいじゃないか。今の速度はどれくらい出ているかね?」
「はい。現在の速度は――時速420キロです」
「いいねぇ。では、レベル8に上げろ」
さらなる無情な命令が発せられた。
シラサギが叩き出したその驚異的な性能は、まだシステム全体の「70%」を解放したに過ぎなかった。




