14-13 『加速する禁忌領域、120キロと180キロの世界』
14-13 『加速する禁忌領域、120キロと180キロの世界』
オーバルトラックを、シラサギを纏った2人の隊員が駆け抜けていく。
「レベル1からレベル2へ移行する」
「レベル2、入れます」
レベル2へと切り替えた途端、2人の走る速度がみるみるうちに跳ね上がった。
人間の短距離走は、せいぜい時速30から40キロ程度だ。
レベル1の状態でもシラサギの強烈な補助によって時速60キロで走れていたが、レベル2へと引き上げられたことにより、なんと時速120キロという常軌を逸した速度で疾走しているのである。
「おいおい、まじかよ……もう自動車でも、この速度はそうそう出さない速度だぞ」
「はっはっはっ! 人間やめたかこれ? いやぁ、すごい体験をしてるなぁ!」
当たり前の話だが、時速120キロといえば高速道路の制限速度を優に超える領域である。
その速度を、生身の人間が自分の足で走っているのだ。
もはやそれはSFの超人アニメのワンシーンだった。
「――さらに、レベル3へ移行する」
「レベル3、入ります」
2人が次いでレベル3へと切り替える。
時速にして、実に180キロ。
人生において、そうそう自力で体験できる速度ではない。
しかも、自分の足で大地を蹴って走っているのである。
途中で少しでも躓こうものなら、大惨事(事故)発生は確実だった。
「やばい、やばい、これ絶対やばいって……!」
「いやいや……これはちょっと、シャレにならないスピードだな……!」
レベル3ともなれば、すでに人間の神経反射速度の限界領域に達していた。
一方、その様子を固唾を飲んで見守っていた試験官たちの反応はというと――。
「ただいま、両名ともレベル2に入るそうです」
「うむ、で、現在の計測ではどれくらいの速度が出ているのだ?」
「はっ……計測データによると、時速120キロを記録しているとのことです」
「ほう……時速120キロ。あの装甲だけでか。ううむ……。では、さらに続けて出力を上げてみてくれ」
「――っ! レベル3、入りました!」
「むっ……これは、もはや車両と変わらんではないか……!」
シラサギが解き放ったその驚異的な性能は、まだ全体の30%未満(レベル3)に過ぎなかった。




