14-12 『限定解除、その扉の向こう』
14-12 『限定解除、その扉の向こう』
仕切り直しとして、最初の試験場であるオーバルトラックへと戻り、シラサギを纏った隊員が2人佇んでいた。
これより『限定解除試験』を行う。
解除は段階的に行われる予定だが、そもそも本来は予定になかった急ごしらえの試験内容であるため、まずはオーバルトラックを走ることでその挙動を見極めようという算段であった。
限定解除は、クローディア(マリ)があらかじめ設定した全10段階に分かれている。
レベル1: 10%未満の解放(通常状態)
レベル2: 20%未満の解放(通常の2倍の速度で動ける)
レベル3: 30%未満の解放(どこかの赤い何とかのような速さで動ける)
なお、のちに提出された公式の運用レポートでは、「常人が制御可能な限界はレベル3まで」と明確に記録されている。
それ以上の段階の解放については、一切が『推奨しない』とされていた。
理由は極めて単純かつ明白である。
――人間側の肉体と神経が、あまりにも跳ね上がった装甲の性能にまったく追いつかないからだ。
「んじゃま、仕事しますか。さっきの模擬戦があまりにも一瞬で終わっちまったから、上も参考にならなかったんだろうさ」
「ぼやくな、ぼやくな。今度はトラックを走るだけだ。まぁ、気楽に行こうぜ」
「そもそも、さっきのビル突入なんて限定解除する場面ですらなかったからな。この装甲を着て人間を相手にするなんて、もはや対戦車ミサイルでカラスを撃つようなもんだったぞ」
「相手チームの連中には同情するさ。まぁ、運が悪かったと諦めてもらうしかないな。それに、今後はこの姿を見かけただけで、敵も戦意を喪失して逃げ出すんじゃないか?」
「まぁ、そうなったら俺たちも楽な仕事で助かるけどよ……ただ、あの『黒い奴』には到底通用しないだろうよ」
「そう、それだよな。そもそもこの装甲は、あの黒い怪物どもに対抗するために作られたんだもんな。実際のところ、本当に通用するのかね」
「お二人さん、おしゃべり中悪いが、仕事の時間だ。始めてくれ」
「「了解しました! これより限定解除試験を始めます!」」




