14-9 『秘められた牙』
14-9 『秘められた牙』
試験官たちは、三社の基本性能試験の結果だけで判断を誤っている。
実のところ、フォトンアーマーはあれでも性能をかなり抑えているのだ。
システムを最大接続状態にした場合、神機一体となったその動きはシラサギと同レベルまで引き上げることが可能である。
ただし、その状態を維持できるのはわずか3分が限界とされていた。
もしそれ以上を超えて運用すれば、脳細胞が破壊されて廃人になってしまう。
一応、仕様書にはその危険性も記載されていたが、基本性能試験での結果を鑑みて、試験官たちはあえてその極限状態の試験を行うことはしなかった。
ここで思い出してほしい。天野重工製『シラサギ』の開発記録を。
あの動画の惨劇を引き起こしたシラサギの恐るべき性能を。
あのじゃじゃ馬の如き暴走する機体を、クローディア(マリ)たちが身を削る思いで必死に性能を抑え込んでいた事実を。
彼女たちは、本来の性能の10%未満という極限までリミッターをかけた状態で運用していたのだ。
それを知らない隊員たちは今、まさにその封印を解こうとしていた。
「このシラサギっていう装甲、機能が一部制限されているらしいぞ」
「ふむ、確かに。そう言えば基本性能試験では、その追加機能を使用することなく終わったな。で、今回はそれも確認するのか?」
「そのようだな。まぁ、言ってもそう大して変わらんだろう。それよりも俺はこのサギという装甲、割と気に入ってるんだがな。なんか昔見た特撮の鬼面ライダーみたいでカッコイイじゃないか」
「はは、お前、鬼面ライダーって……。まぁ、言わんとしていることは分からんでもないけどな」
二人は知らなかった。
その認識が、致命的なまでに甘いということを。
シラサギは決して、性能を制限されただけのヤワな装甲などではない。
むしろ、その本領こそが――まだ誰にも知られていなかったのである。
オオカミの皮を被った獅子。
それが、シラサギの本当の姿だった。




