14-7 『巨人の本来の役目』
14-7 『巨人の本来の役目』
二日目からは、それぞれの各社機体に対する評価試験へと分かれていく。
こちらは第1ファイル(篠崎重工製コンバットワーカー)の評価班である。
コンバットワーカーは他の二社の機体と違い、全高八メートル前後と大型であることが大きな特徴であった。
試験官たちは協議の結果、この機体を前線戦闘ではなく、戦闘終了後の復旧任務へ投入する方が効率的であると判断を下した。
理由は極めて単純である。
現在確認されているアノマリーの多くは人間と同程度の大きさであり、巨大な機体でわざわざ対処する必要性が少なかったためだ。
さらに、活性化したアノマリーとの激しい戦闘では、その巨大な機体自体が格好の目標となってしまう危険性も指摘された。
それはかつて戦車部隊が経験した問題と同じであり、
「火力と装甲は優秀だが、優先的に狙われる」
という欠点を抱えていたのである。
そのため、前線での継続運用には懸念が残るとの評価がまとめられた。
結果としてコンバットワーカーには、瓦礫の撤去、倒壊建築物の解体、物資輸送、避難経路の確保といった災害復旧任務が与えられることとなった。
試験官たちは、大型クレーンや既存の重機の代替としてどこまで運用可能かを重点的に観察することとなる。
この方針に伴い、試験内容もそれに合わせて大きく変更された。
まずは山間部の拠点設営、それに続く道路の整備を実際に行い評価するのである。
途中に流れる小川には簡易橋を設置し、車両がスムーズに通行できるよう整備する。
また、進行上に存在する岩や樹木の除去を行いながら、道路を次々と敷設していく。
最後には、拠点建築用の建材を用いて施設の建築を実施した。
さらに、敷設した道路へのアスファルト舗装作業も行われている。
ライフラインとなる電線や電話線の設置も試験項目に含まれており、電柱を立てながら配線が進められていく光景は、もはや軍の試験というよりも大規模な工事現場そのものであった。
もともと工事車両をベースとして開発された機体である。
その用途は、今回の試験内容と完全に一致していた。
巨大なアームは重量物を軽々と運び、瓦礫や障害物を次々と除去していく。
本来であれば複数の重機を必要とする工程を一機で完璧にこなしていく姿に、試験官たちからも驚嘆の声が漏れた。
この日のコンバットワーカーは、戦闘兵器としてではなく、開発陣が本来想定していた多目的工事機械としての性能を遺憾なく発揮したのである。




