14-6 『白鷺の舞う空、絶賛される実力』
14-6 『白鷺の舞う空、絶賛される実力』
最後は、天野重工の『サギ』と呼ばれる強化装甲服である。
先の二社とは違い、人間の体に直接装甲服を装着するスタンスをとる。
ロボットを使用しない分、どうしても見劣りすると言えるだろう。
試験に臨む隊員たちの事前評価も、決して高いものではなかった。
しかし、カーボンファイバースーツに着替えた隊員がハンガーに入り、『シラサギ』を装着した瞬間から、その評価は一変する。
今回も試験を行う隊員は2名だ。
「これより歩行試験を行う」
「同じく歩行試験を行う」
オーバルトラックを隊員たちがごく自然に、しかし軽快に歩くシュールな光景がそこにはあった。
「歩行試験、特に異常は見当たらない。これより走行試験に移る」
「こちらも歩行試験終了。機体に問題なし。走行試験に入る」
しかし、次の走行試験からその真価が遺憾なく発揮されていく。
アーマーからの強力なパワーアシストが働き、走行速度は軽く走っている感覚であるにもかかわらず、時速60キロに達していた。
しかも、インナーに着込んでいるカーボンスーツがほのかに冷たく冷却されるため、装着している人間にほとんど肉体的負荷は感じられない。
「これは……すごいな。まるで体に羽が生えたみたいだ」
「そうだな、体が軽い。今ならなんだってこなせるような錯覚を覚えるな」
続く後退やジグザグ機動も、人間の身体そのもので行っているため、極めてスムーズにこなせる。
それは先のフォトンアーマーの速度にはやや劣るものの、滑らかに動ける動作性においては、先の2体に決して引けを取るものではなかった。
そして、最後は剣による目標破壊の試験である。
「剣を振っても軽いな。これならなんでも切れそうだ」
「これなら二刀流とかしても面白そうだな」
試験中の隊員から冗談が飛び出すほど、心身には余裕が感じられた。
難なく目標を粉砕してハンガーに戻り、装備を外してもらった隊員たちが何事もない顔で姿を現し、すべての試験が終了した。
「どう思う。まさか一番期待していなかったものだったんだが、一番出来が良いように見えるがね」
「はっ。今回は基本装備のみとのことでしたが、それでも応用は利き、有用性は非常に高いと思われます」
「性能の絶対値だけならフォトンアーマーだろう」
「ですが、明日から部隊で使えと言われれば、私はサギを選びます」
試験官たちの反応は、驚きと共にすこぶる良好なものとなっていた。




