14-5 『加速する異形、脳髄の悲鳴』
14-5 『加速する異形、脳髄の悲鳴』
「これは長時間はきついかもしれんな。うぷ……」
「いや、これ歩行しているだけだからな。まだ色々やることがあるぞ」
どうやら機体の歩行動作自体に支障はないものの、操縦している人間側には早くも深刻な問題が出始めているようである。
しかし、本当の異様さは次の「走行試験」からであった。
「1号機、動作に問題なし。これより走行試験に入る」
「2号機、同じく動作に問題なし。これより走行試験に入る」
機体は足を使って「走る」のではなく、ホバーのように浮遊して「飛行」した。
それは、コンバットワーカーが足で走っているような速度とは比較にならない、自動車が一般道を60キロ程度で疾走するような猛スピードでの飛行であった。
機体と搭乗者の同調率が上がっていくのだろう。その反応速度は、コンバットワーカーなど論外と言わんばかりの領域に達していた。
「くっ、反応が早い……! 使いこなせるのか、これ」
「うぁ、考えただけで動くのか!? これ凄いけど……視界が凄い速さで流れる!」
目を見張るのは、後退動作やジグザグ走行の機動性だ。その反応速度は、時間の経過とともに恐ろしいほどの洗練を見せていく。
「はぁ、はぁ、頭が痛い……。これはやばい状態なのではないのか……? 最後に、剣戟による試験を行う」
「くっ……ものすごい疲労感が来る。長時間の連続稼働はまずいのかもしれないな。こちらも剣戟試験に移る」
そして2機の機体は剣で目標を瞬時に破壊し、機体の待機位置へと戻ってきた。
ハッチが開き、中からほうほうの体で隊員たちが這い出てくる。
これでフォトンアーマーの試験は無事に終了した。
「どう思う、機体の速さは先のコンバットワーカーなど比べ物にならないようだが」
「はっ、機体の動きは目を見張るものがあります。ただ、搭乗者の状態を見ると大きな問題があるように思えます」
「性能だけなら群を抜いているな」
「しかし、搭乗者が戦闘不能になっていては意味がないかと……」
試験官たちの反応は、手放しで褒めるには程遠く、保留の様相を呈していた。
圧倒的な性能の裏に隠された致命的な問題点が、彼らを大いに悩ませていたのである。




