14-4 『異形の卵、始動』
14-4 『異形の卵、始動』
午後一からは、神原重工のフォトンアーマーの試験である。
フォトンアーマーの形状は、卵の形に手足が生えたような異質な形をしている。
午前中に試験を行った篠崎重工のコンバットワーカーを見た後だと、その異質さはより一層際立って感じられた。
さらに輪をかけて奇妙に映るのが、パイロットのいでたちだ。専用のスーツに着替えており、まさに今から機体に搭乗しようとしている。
卵の前面がハッチになっており、人間がそこから中へ入り込んで乗り込む仕組みとなっていた。
「ほう、中はこうなっているのか。意外と広いんだな」
そう言って隊員が乗り込むと、前面のハッチがしっかりと閉まる。隊員がシートに腰を下ろすと、スーツとシートが直接接続された。これにより身体がシートへと完全に固定されるため、シートベルトのようなものは存在しない。
隊員が操縦席の左右にある半球体に手を置くことで、機体が起動する。操縦桿やペダルといった、一般的な操作デバイスの類は一切存在しなかった。
「操縦桿は無いのか。聞いてはいたけど、違和感が半端ないな」
「それより、シートに固定されるこの感覚が違和感だらけだ。起動は手を球体に乗せればいいと……
あぁ、これか。おぉ、映像が表示されたな」
機体内部の前面にはモニターがあり、機体カメラからの映像が表示されている。
ただ、パイロットは通常このモニターを使用することはない。
では、どうやって視界を得るのか。
答えは、ヘルメット内部のHUDに映像が投影され、機体の動きと完全に連動する仕組みになっている点だ。
試験機の2機とも、無事に起動できたようである。
「1号機、起動完了。これより歩行試験に入る」
「2号機、起動完了。こちらも歩行試験に入る」
コンバットワーカーの試験と同様に、オーバルトラックを歩行する試験が始まる。歩行の速度は、人間が歩く速度と変わらない。
「ううむ、身体が動いていないのに視界が動くので、気分が悪くなるな……」
「確かに、これは違和感しかわかないな」
搭乗している隊員たちの意見はこうである。
VRゲーム――あれの感覚に非常によく似ていると言えるだろう。
しかも、コントローラーすらないのだ。
身体を全く動かしていないにもかかわらず、視界からは猛烈に進行している情報が入ってくるため、脳が完全に混乱を起こしてしまう。
いわゆる、激しい3D酔いという現象であった。




