↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
250/378

13B-37 『邂逅、修羅の原にて』

13B-37 『邂逅、修羅の原にて』



「まぁ、構わないか。遥、車が来たらここまで通してほしい。言葉で説明するより、実物を見てもらった方が早いだろうしね」


面倒な言い訳はすっかり忘却の彼方に消し去っていたクローディア。

開き直りの早さは天下一品である。


「ただ、遥の姿は色々とややこしい事になるな……。とりあえず、全員サングラスでも掛けておいてくれ」


どこかのアニメやマンガに出てくるSP(要人警護)を思い出したのだろう。

同じ顔の少女が1000人もひしめき合っていれば、いくら何でもパニックになると判断し、事情説明が終わるまではサングラスで誤魔化すことにしたらしい。


一方、研究所へ向かう山中の道路を、一台の車が走行していた。

車種はルクサスLX。

『陸の巡洋艦』とも呼ばれる、今流行りの大型クロカン車だ。

運転席には宗次郎、助手席に総一郎。後部座席には紫苑と唯が乗っている。


ちなみに母親二人、キャサリンと美和は官邸でお留守番である。

車が研究所の私有地へ入る。


当然ながら、研究棟へと続く道には人っ子一人いない。

不気味なほど人の気配が途絶えていた。

だが、かつて建物があったはずの場所に近づくにつれ、地響きのような「衝撃音」が絶え間なく聞こえてきた。


「ねえ、これ……何の音?」


唯が不安げに紫苑に尋ねるが、紫苑も首を横に振るしかない。


「むっ……。やはり何かが起こっているのか? 宗次郎、どうする。引き返すか?」


異常な事態を察知した総一郎が、危険を考慮して提案する。


「いや、もうここまで来たのだ。最後まで行く」


宗次郎は短く返し、車の速度を緩めながら、建物の残骸がある場所へと近づいていった。

――そこには、確かにお目当ての二人がいた。

だが、様子がおかしい。あまりにもおかしい。


他にも無数の人影が見える。

そのような人員がいるとは聞いていない。

一体何者なのか。


二人と行動を共にしている以上、関係者だとは推測できるが……全員が「純白の鎧」のようなものを纏っているのだ。

仮装パーティーか何かの祭りかと思うほどの異様さである。

さらに奇妙なことに、クローディアとゆりまでが、その白い鎧を身に着けていた。


これで混乱しない方がおかしい。

だが、四人の混乱にさらに拍車をかける光景が、その奥で展開されていた。


次元の割れ目である。

倒壊した建物の残骸の上空で、空間の裂け目が開いては閉じ、閉じては開くのを繰り返している。

そして、割れ目が開くたびに、人類の天敵と呼ばれる『アノマリー』が次々と吐き出されていた。


だが、そのアノマリーは――白い鎧を着た人物たちに殴り飛ばされ、蹴り飛ばされ、空中で掴まれては投げ飛ばされ、ハエのように叩き落とされて、一直線に「黒い山」へと勢いよく突っ込んでいく。

その黒い山が何かと思ってよく見れば、おびただしい数のアノマリーがひしめき合い、蠢いている塊だったのだ。


車内からその光景を目の当たりにし、四人は一斉に息を呑んだ。

無理もない。

遭遇すれば死が確定する人類の天敵が、生ゴミのように積み上げられているのだ。

本来であれば、一刻も早くこの場から逃げ出す算段をつけるべき状況である。

奴らに勘づかれれば、その瞬間に人生が終わるのだから。

しかしよく見ると、アノマリーたちは白い鎧の集団に完全に翻弄され、手も足も出ない状態に陥っていた。


「……ここまで来たら、毒を食らわば皿までよ」


常軌を逸した光景を前にしても、天野家の“刃”たる宗次郎は我に返り、意を決してアクセルを踏み込んだ。

そして一台の車が、絶賛無双中のクローディアたちの前へと到着した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。