13B-31 『お遊びの生態実験』
13B-31 『お遊びの生態実験』
「こんな奴らに、我々人類は脅かされていたのか?」
クローディアはそう吐き捨てながら、別のアノマリーの両腕を無造作に掴み、そのまま左右へ力任せに引き千切った。
「――!!!!」
声なき絶叫を上げるアノマリー。
千切れた両腕は黒い粒子へと変わって霧散したが、本体であるアノマリーは、先ほど頭を潰された個体と同様に地面を転げ回って悶え苦しんでいる。
仲間の危機に群体反応を示した周囲のアノマリーたちが、一斉にクローディアへ殺到しようとするが、それも無駄な足掻きだ。
幾人もの遥たちに蹴り飛ばされ、殴り飛ばされ、あっけなく元の「アノマリーの山」へと叩き戻されていく。
「ふむ。どこまで細かくすれば完全に消滅するのか、試してみるか」
クローディアは好奇心の赴くまま、今度は別の個体に狙いを定め、目にも留まらぬ高速の手刀で頭と四肢を連続で切断した
。胴体から切り離された部位は、たちまち黒い粒子となって消えていく。
しかし、ダルマ状態になった残りの胴体は、地面でビクビクと不気味に跳ねていた。
当然、その隙を突こうとする別のアノマリーは、遥たちによって瞬時に排除され続けている。
繰り返すが、これは戦闘ではない。ただのクローディアの自己満足による「生態実験」である。
遥たちは主の意思を汲み取り、彼女が心地よく実験に没頭できるよう、場を整えているに過ぎなかった。
アノマリーからすれば、彼女たちに見つかったこと自体が最大の不運だった。
発見された時点で「逃げる」という選択肢はとうに失われている。
大魔王の掌の上から逃れられるはずもないのだ。
その気になれば、クローディアやゆり、そして遥たちが無数の『ブレード』を展開し、瞬きする間に全滅させることすら可能なのだから。
「なるほど、胴体だけになっても完全には消えないのだな」
クローディアが興味深そうに観察していると、突如としてその胴体から無数の触手が鞭のように飛び出し、彼女の顔面めがけて襲い掛かってきた。
だが、クローディアは欠伸が出るほど冷静だった。
慌てる素振りすら見せず、瞬時に自身の『ブレード』を展開する。
迫り来る触手を空中で細切れに切り裂くと、返す刃で胴体そのものを文字通りバラバラの塵へと分解し、跡形もなく消滅させるのだった。




