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13B-12 『地下の隠れ家』

13B-12 『地下の隠れ家』



大爆発によって音信不通となった研究所には、遠からず何らかの調査の手が伸びるはずだ。

遥は、惨状極まるこの状況と、異世界から来た『自身(遥)』の姿を見られるのは非常にマズい事態だと瞬時に判断した。


そうと決まれば、次の行動は素早かった。

遥は地面にそっと手を当て、ナノマシン『HIMAT』を用いて大地を掘削・再構築していく。

瞬く間に、地上から2メートルほど掘り下げた地下に、畳六畳ほどの空間を生成してしまった。


もし第三者がその光景を目撃していれば、地面に穴を開け、あっという間に部屋を創り出すその工程は、もはや魔法か錬金術の類にしか見えなかっただろう。


すぐさま地上に戻ると、倒れている二人を軽々と担ぎ上げ、新造した地下室へと運び込む。

その際、地上へと繋がる出入り口の穴は完全に塞ぎ、カモフラージュを施しておいた。


これで、外部の人間が調査に訪れてもすぐには発見されず、二人が目覚めるまでの十分な時間を稼げるはずだ。


天野研究所の特殊な立地も幸いした。

ここは県の山中奥深くにある広大な私有地であり、部外者がそう簡単に足を踏み入れられる場所ではない。


さらに、この世界でも極秘研究を進めるにあたって他の研究員は研究所からの退去を余儀なくされており、広大な施設をクローディア(マリ)とゆりの二人だけで使用する、完全なプライベート研究所となっていたようだ。


違う世界とはいえ、周囲の状況から察するに、この世界における天野研究所も似たような環境下にあったのだろう。

二人の他に巻き込まれた死体が見当たらなかったのも頷ける。

ただ一つ、元の世界との決定的な違いは「大規模な地下施設が存在しなかったこと」だ。


その決定的な差異があったからこそ、遥はここを即座に「似て非なる違う世界」だと正確に判断することができたのである。

この混沌とした状況下において、その事実を早期に察知できたことは、不幸中の幸いと言うべきであった。


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