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12-20 空中で斜めに高速回転旋回斬り!

12-20 空中で斜めに高速回転旋回斬り!



遥の操縦するケルベロスII型は、補強された重圧な足取りでズシリと音を立てて武装ラックの前へと立ち、まずは大型長剣を手にした。

昨日のテストと同様、ターゲットドミーに向かって威風堂々と大剣を切りかからせていく。

長剣での斬撃を何度も叩き込んだ後は、槍、斧、槌、両手剣と、順を追って試作武器を持ち替えながら適合テストを淡々と進めていった。

その様子を管制室のメインモニターで注視していたふたりは、リアルタイムで転送されてくるログデータの解析を行う。


「今度はバッチリだね! 腕部メインフレームはもちろん、指関節の破損やエラーも一切確認できないよ! 遥、次は武器を使わない『素手での近接格闘』……蹴りや体当たり、連続打撃も試してみてほしい!」

クローディア(マリ)はマイク越しに、極限状態におけるダイレクトな打撃衝撃テストの実行を指示した。


『了解いたしました、マリ。素手による近接格闘戦闘テストに移行します』

遥は手にしていた試作武器をラックへと静かに戻すと、的に向かって足裏のホバーノズルを全開で爆発させて疾走し始めた。

ケルベロスに蹴りや拳のモーションを指示する――操縦は当然、手元に繰り出された左右の操縦桿(スティックコントローラー)で行われる。


この場合、スティック上部に配置された各種拡張ボタン(分かりやすく言えば『A・B・X・Yボタン』のようなもの)のコンボ入力操作をはじめ、バイザーを通じた視線トラッキング入力、あるいは「右蹴り」「左拳」といった直感的な音声入力にも高度に対応していた。


繰り出される怒涛の猛攻の様子は、まさに格闘ゲームのトレーニングモードそのものであった。

壁の大型モニターの両端に「HPゲージ」や「コンボ数」でも合成表示させれば、完全に最新格ゲーのプレイ画面である。ケルベロスは的に向かって、重厚なパンチやキックを滑らかに組み合わせた連続コンボを次々と叩き込んでいく。

その圧巻の光景をモニター越しに見つめるふたりはというと――


「よしっ! 殴って、蹴って、そこそこ! キャンセル下段蹴りから……いけぇーーっ!」

マリは完全に格闘ゲームをプレイしているゲーマーのノリで、両手を握りしめて大興奮していた。


「マリ、画面じゃなくてログを見て、ログを! ……今のところ駆動系の故障箇所は見当たらないみたいだけど……それにしても、ケルベロスが標的に向かって泥臭く殴る蹴るの喧嘩をしてる絵面って、なんだか変な違和感があるわね。ロボットって、もっとこう……背中から大量のミサイルを連射したり、胸から極太のビームを出したりするイメージがあるからかしら」

ゆりは画面の中で泥臭く暴力的な格闘を繰り広げるケルベロスを見つめながら、至極素朴な感想を漏らす。一般女性の抱く「ロボット」のロマンイメージとは、案外そういう華やかな特撮やアニメのようなものなのかもしれない。


――テストはさらに熱を帯びていく。

遥はスラスターダッシュを併用しながら巨大武器を振るうだけでなく、急接近からの跳び蹴りや、軸をずらしながら旋回しての回転斬撃といった、事前の制御プログラムには存在しない挙動を次々と繰り出していった。

当然、すべてはパイロットである遥の卓越したセンスと、機体と一体化した直感操作によるものである。


驚くべきことに、ケルベロスは高出力ホバーで豪快にド派手な跳躍を決めると同時に――「空中で斜めに機体を高速回転させながらの連続旋回斬り」という極限の必殺技を繰り出し、ターゲットドミーを跡形もなく完全に粉砕してみせたのだった。


予想を遥かに超える圧巻でダイナミックな演武に、マリとゆりは「おおーーっ!!」と声を揃えて大歓声をあげ、ハイタッチを交わす勢いで盛り上がるのだった。

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