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12-4 テールランプの裏に隠されたもの

12-4 テールランプの裏に隠されたもの



「車輪には最新のリニアホイールドライブ――つまり車輪自体が磁力で回転する非接触駆動機構を採用! さらに車体各所と後部に強力な姿勢制御スラスターをギッシリ搭載しているから、急旋回もお手のおもの! ……そして! 特筆すべき最大の目玉機能として、なんとこの車両、飛行機能も有しているのだよ!」

クローディア(マリ)はドヤ顔で胸を大きく張り、自慢の設計を誇らしげに語ってみせる。


「はいはい。側面に立派なウイングが生えている時点で、嫌な予感はしていたわよ。……よし、じゃあ次は私の仕事(構造チェックと制御系構築)の番ね」

ゆりは今度は自分の番だと言わんばかりに、マリへ向けて「はいはい、ご苦労様」と手を軽く振ると、すぐに自分の端末の操作を開始した。


「えー……ちょっとゆり、リアクションが薄すぎない!? もっとこう『な、なんだってー!?』みたいに驚いてくれてもいいじゃない……」

ドッキリを仕掛けた子供のような期待を裏切られ、マリはあからさまに肩を落としてショックを受けている。


「いや、先刻の段階であなた『エンジンは要らない』とか言い出していたじゃない。それに……あなたのことだから、最初からおとなしく『普通のまともな二輪車』を作るなんて、これっぽっちも思っていなかったわよ」

身も蓋もないゆりの冷徹な正論ノックアウトに、マリはグゥの音も出ない。


それから数刻――。

ディスプレイ上では、ゆりの手によって制御ロジックとフレーム構造の整合性が驚異的なスピードで組み上がっていく。

というか、零(ゼロ)の状態からたった数時間で基礎設計からシステム構築まで完了させてしまうあたり、外部の人間が見たら「二人とも仕事が早すぎでしょ!?」と喉が千切れるほど突っ込まれそうな恐ろしい超絶スペックであった。


しかし作業の最中、モニターに表示された車体の3Dモデルをクルクルと回転させていたゆりの手が、ピタリと止まる。


「……ちょっとマリ。これ、私に何か隠しているでしょう?」


「え? な、何のことかなー?」


「車両の後方に、明らかに何かを接続・固定するための『マウント用ハードポイント』があるじゃない」

ゆりは視線を険しくさせると、車体後部のグラフィックを大きく拡大してみせた。

一見すると、そこには標準的なテールランプとターンシグナルランプ、そしてメインスラスターの排出口が整然と並んでいるように見える。だが――問題はそのテールランプの内部構造にあった。


「ここ、どう見ても外側へスライドする可動機構があるわよね? その奥に隠される形でハードポイントが配置されているわ。……ほら、さっさと白状しなさい」

ゆりが後方の透過図面をさらに拡大し、疑わしいテールランプのパーツをクリックする。

するとカチリと効果音が鳴り、ランプユニットが外側へスライドして、内部から強固なロック機構を備えたハードポイントがくっきりと顔を出した。


「ありゃ……ばれちゃったかぁ。なんか最近のゆり、勘が鋭すぎない?」

完全に証拠を突きつけられたマリは、「てへぺろ」と可愛らしく舌を出してごまかそうとする。


「ごまかさないの! ほらマリ、早く白状しなさい。『ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)』って、前回の飛行ユニットの時にもあれほど言ったはずでしょ!?」


「うぅ……仕方ないなぁ。完成させてから驚かせようと思ったのに……」

口を尖らせてしょんぼりとするその仕草は、隠しておいたオモチャを母親に見つかって叱られる悪ガキそのものだった。

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