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11-25 【ホウレンソウ不履行】「聞いてないのだけど!」〜勝手に可変機構を仕込んだマリへゆりが激怒〜

11-25 【ホウレンソウ不履行】「聞いてないのだけど!」〜勝手に可変機構を仕込んだマリへゆりが激怒〜



ゆりは呆然としたまま、目の前で展開されている信じられない光景から一瞬たりとも目を離すことができずにいた。


(嘘でしょう……? これはきっと悪夢よ。そうよ、夢に違いないわ。ただの悪夢なのよ……!)


しかし、網膜に焼き付く現実に言い訳の余地はなく、あまりにも生々しく、そして残酷なまでにハッキリとしていた。


普通にメガブースターを装着して空をひとっ飛びし、テストが終わるものとばかり安心しきっていた彼女だが、目の前で遥が繰り広げているアニメのロボット並みに泥臭くもスタイリッシュな空中演武の数々を嫌というほど見せつけられては、もう現実逃避することすら許されない。

そして、現実の重みを受け止めたゆりは、ふとハッと我に返る。


「ちょっと、マリ。これはいったいどういうことかしら……? 私、そんな変形機構なんて一言も聞いてないのだけど!」


ゆりは怒涛の形相と凄まじい気迫で、隣で涼しい顔をしているクローディアへと猛烈に詰め寄った。


「いやぁ、ただの直線的な飛行テストだけじゃ正直ちょっと面白みに欠けるしね。ちょうどナベさんが昔の資料と一緒に差し入れてくれた懐かしのアニメ映像もあったからさ、ちょっと思いつきで参考にしてみたんだよ」


クローディアが平然と口にしているのは、先日ナベさんとの会話にも上がってきたロボットアニメの金字塔――『超亜空要塞マクラスフロンティア』の劇中ワンシーンに登場する、あの有名な可変戦闘機のギミックのことらしい。


「マリ、あなたね……。一体何度同じセリフを言わせる気よ。『ほう・れん・そう』――報告、連絡、相談。組織の基本中の基本でしょう!?

どうしてただの飛行機が勝手によく分からない形状に変形するわけ? どうして人型になって華麗にビームでも撃ちそうな格闘戦を始めるのよ。もう全然意味が分からないわ!」


ゆりは信じられないといった様子で両手で頭をガシッと抱え込み、めまいを覚えるようにぐったりと肩を落とした。


「えっ? やっぱり男のロマン、じゃないかな?」


クローディアは「何を今さら真面目な顔で怒っているんだ」とばかりに、堂々と胸を張ってみせる。


「いや、マリ。あなた、自分の性別忘れたの? 女でしょ? お・ん・な・の子でしょ! 一体何をトチ狂ったことを言っているのよ……!」


そのあまりにも斜め上の返事を聞いた瞬間、ゆりの美しい背中にどっと尋常ではない疲労感が押し寄せてくるのだった。


「いやぁ、そこは性別を超越した『女のロマン』ってことで大目に見てよ?」


そう言って、クローディアはわざとらしく「てへぺろ」と可愛いしぐさで舌を出しておどけてみせる。

そんな管制室のドタバタ劇の裏側を知ってか知らずか、絶妙なタイミングで遥からのクリアな通信が端末のスピーカーを鳴り響かせた。


「マリ、ゆり。メガブースターの各種変形および戦闘形態の試験、無事に完了しました」


どうやら、当事者である遥のテスト飛行のほうは、設計者の暴走に振り回されつつも何事もなく、驚くほど完璧に終了したらしかった。


その後、クローディアの悪ノリした変形機構に散々振り回されつつも、怒りで鬼の形相と化したゆりの厳格な追加指示によって、本来の目的である実用的な「通常版の輸送テスト」もしっかりと行われ、最終的にはすべてのプログラムが無事に終了するのであった。


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