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11-19 【市場の住み分け】既存リフター=一般インフラ用、新型フライヤー=政府・防衛特需!

11-19 【市場の住み分け】既存リフター=一般インフラ用、新型フライヤー=政府・防衛特需!



「マリちゃん。ゆりちゃん。お疲れ様。またすごいもの作ってきたね。私も毎回驚いてばかりだよ」


WEB会議のモニター画面越しに、ナベさんは温かい笑みを浮かべながらそう言って迎えてくれた。


「あの、これ前回作ったリフターの完全上位互換機になってしまうのですけど、今後の価格帯や住み分けの面で問題はないのでしょうか」


ゆりは少しだけ申し訳なさそうな、しかしエンジニアとしての懸念を隠さないトーンでナベさんに説明する。


「ゆりちゃん、そこは心配いらないよ。要は市場、つまりターゲット層をしっかりと変えてあげれば良いだけの話だからね。そもそも、こんなマッハ級の超高速で飛行できる代物を、一般の民間にそのまま卸すわけにはいかないし、普段のインフラ移動としては今まで通りリフターがメインの主力になると思うよ。で、今回新しく出来たこっちは、主に有事の際や特殊な環境下で使用されることになるわけだから、主な販路はお国相手――防衛・政府関連の特需がメインになるだろうね」


ナベさんはさすがの商売人といった様子で納得の笑みを浮かべながら、ゆりへと分かりやすく解説して見せる。


「ふむ、じゃあ私たちが散々苦労して作った既存のリフターの価値も、これで無駄にならずに済んだわけだね。それを聞いて安心したよ」


ナベさんの的確かつ現実的な回答に、クローディア(マリ)は大きく頷きながら満足げな声を漏らす。


「うん、マリちゃん。世の中に無駄なものなんて何一つないんだよ。いつも無理難題ばかり言って済まないねぇ。――あぁ、そうそう。この前のハンガーの件なんだけどね」


そう言って、ナベさんはWEB会議の共有資料のウィンドウを切り替え、新たな実証映像をモニターに提示した。


そこに映し出されていたのは、一見すると無数の個室の扉が綺麗に並んだ部屋――まさに、前回クローディアとゆりが開発してナベさんに納品した「ハンガー」のシステムそのものだった。しかし、今回の映像で肝心なポイントは扉の表側ではなく、その「裏側」の構造にあった。

ハンガーの裏面スペースには、巨大かつ精密な自動装填・搬送レーンが張り巡らされており、各種の装甲パーツが次々とレーンを流れてロボットアームにセットされていく様子が鮮明に映し出されている。


さらに場面が切り替わると、今度は使用済みの装甲パーツが回収され、裏側のレーンから専用の自動洗浄機へと送り込まれてピカピカに洗い流され、その後に強力な熱風乾燥機に入れられてしっかりと水気が飛ばされている工程が映し出される。


そして次の映像では、綺麗に乾燥した装甲が精密なスキャナーの前を通過し、微細な歪みや破損箇所がないかがミリ単位で自動チェックされていた。

一連の全自動メンテナンス作業の締めくくりとして、完璧に整備された装甲パーツがストックヤードへとコンベアで丁寧に運ばれ、整然と保管されていくところでその動画は幕を閉じていた。


「この通りさ! こちらのエンジニアチームと協力して、ハンガー裏側の全自動ロボットメンテナンスシステムを急ピッチで構築してみたよ。これなら、人間の手が介在するのは最後のストックヤードでの整理くらいのもので、あとはもう全自動さ。装甲のセットから、使用後の洗浄、乾燥、検査までが一貫して行える優れモノだ。これも、二人がしっかりとしたベースのハンガーを作ってくれたからこそ実現できたシロモノだよ」


「おぉ、やるじゃないかナベさん! 私もエンジニアとしてすごく便利そうだと思うし、研究室用に一つ欲しいからタダで頂戴よ!」


クローディアはそう言って、画面の向こうでドヤ顔を見せるナベさんに対し、まるで子供のように無邪気にねだるのであった。


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