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11-16 【スケール規格外】東京ドーム30個分! 地下放射光施設の地下道路で256人同時フライトテスト

11-16 【スケール規格外】東京ドーム30個分! 地下放射光施設の地下道路で256人同時フライトテスト



さすがに256人もの遥を同時に郊外の空で飛ばすとなれば、いかに巧妙な言い訳を並べ立てたところで、一般市民の目に触れれば瞬く間に隠し通せない大騒動に発展してしまう。そのため今回は、天野研究所の地下深くに広がる巨大な放射光施設を利用することが満場一致で決定された。


放射光施設とは、光速の領域まで加速された電子の軌道を強力な電磁石で無理やり曲げた際に放出される、太陽光のなんと10億倍とも称される強烈な光(放射光や硬X線)を利用する、超ハイテクな大型研究施設である。原子レベルの微細な物質構造解析や、次世代の新材料・革新的な医薬品の開発などにはなくてはならない、最先端の科学技術基盤そのものだった。


天野研究所の地下に秘密裏に建造されたその施設は、メインとなる巨大な蓄積リングが直径約500m、幅約28m、高さ約10m、周長にして実に1436mという壮大なドーナツ状の空間を形成しており、施設全体の敷地面積に至っては約141ヘクタール(東京ドーム約30個分)もの途方もない広さを誇っている。


今回は、その広大な施設の外周を取り囲むように張り巡らされた搬入・メンテナンス用の地下道路を利用し、256人の遥を一方向に一斉に飛ばすという算段だった。

例えるならそれは、超高速のレースゲームにおける巨大なオーバルリングのサーキットを、無数のマシンがグルグルと周回するようなものである。


広大かつ無機質な地下の搬入道路には、フライヤー二型を完全に装備した256人の遥たちが寸分の狂いもなく行儀よく整列し、静かに開始の時を待っていた。

やがて、管制室から響き渡るゆりの冷徹かつクリアな開始の合図が、地下空間のスピーカーを伝わって届く。その瞬間、先頭の遥から順次、ふわりと空中に軽やかに浮き上がり、次々と飛行を開始した。


遥たちは決められた反時計回りの回転方向を厳守し、お互いの間に絶妙な一定の間隔を保ちながら、地下トンネルの空間を駆けていく。

しかし、天井の高さが10m近くあるとはいえ、ここはあくまで閉ざされたトンネル型の搬入道路だ。いくら制御された低速飛行とはいえ、ほんのわずかでも操縦のバランスを誤れば、容赦なくコンクリートの壁面に激突して大事故につながりかねない。もしこれを普通の人間に強要しようものなら、恐怖で間違いなく気絶しかねないほど過酷な試験内容であった。


もっとも、その極めてリスキーなミッションを、何食わぬ涼しい顔で淡々と、かつ完璧にこなしていく遥たちの姿は、傍から見ればどう考えても正気の沙汰ではなかった。

――だが、すべてがこのまま順調にデータ採取の枠内で終わると思われた、まさにその矢先のことである。


過酷な周回飛行の最中、何をどうスイッチが切り替わったのか、一人の遥が突如として前方を飛んでいた機体を鮮やかに抜き去り、集団の先頭へと躍り出た。

それを背後で目撃し、プライドに火がついたのか、今までトップを守っていた別の遥が即座にさらにアクセルを踏み込み、激しい抜き返しを狙う。


――こうなってしまえば、もはや事態は予測し得た最悪の(あるいは最高に面白い)展開へと転がり落ちるしかなかった。


一瞬にしてスイッチの入った256人の遥たちは、お互いをライバル視するように一斉に激しい追い抜き合いを始め、地下通路でのガチのサバイバルレースへと突入してしまったのである。


薄暗い搬入道路の円環を、神出鬼没の神速と予測不能な軌道で疾走する256人のアオサギたちの姿は、もはや実験データ採取という枠を遥かに超越しており、まるで施設の本懐である「光速で飛び交う放射光やX線そのもの」が暴走しているかのような、圧倒的な光景であった。


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