11-9 【大成功】暴力的な加速を克服! 段階プログラムと柔軟なブースト起動
11-9 【大成功】暴力的な加速を克服! 段階プログラムと柔軟なブースト起動
遥が適度な高度へと達したため、機体は次の動作へと移行する。
そう、前回に超音速をたたき出した、あの水平飛行である。
遥が左手の操縦桿をほんの少し前方に倒すと、機体は滑らかに、そして淀みなく移動を開始した。
前回の暴走のような暴力的な挙動を見せることもなく、ゆっくりと、だが確実に前進していく。
その様子を地上の管制室で見守っていたゆりが、安心したように息を吐き出す。
「……うん、問題なく安定して飛行できているようね」
「まあね! 前回は言うなれば0か1かという極端なデジタル動作だったからさ。
今回はその反省を踏まえて、段階的に加速するようプログラムを調整してあるんだ。
ちなみに、瞬発力が必要な時はバイザー内のブースト指示を視線入力や音声入力で起動できるようにもしてあるよ。
もちろん、操縦桿のボタンへの割り当てだってお手の物さ」
ゆりに対し、クローディア(マリ)は今回の操縦系における改良点を誇らしげに詳しく説明した。
フライヤーを背負った遥は、大空を優雅に、そして軽快に飛行していた。
しばらくはおとなしく水平飛行を続けていたが、一通りの挙動に手応えを感じたのだろう。
突如として遥は、急上昇、急下降、果ては華麗な縦回転や横回転といった、
アクロバティックな機動を次々と繰り出し始めた。
それは「リフト改」の段階では到底考えられなかった、圧倒的かつ滑らかな機動性だった。
「ふふ、遥もなかなかやるわね。あの実戦的な運動データをしっかりと解析して反映させれば、自動制御のプログラムもかなり洗練されそうね」
「そう言われてみればそうだねえ。こっちは基本の飛行機能しか入力していないのに、
今の動きは完全に遥自身の抜群の感覚だけでやってのけているのか……。
よし、それじゃあ面白そうだし、私も後でちょっと一通りやってみようかな!」
そう言って得意げに悪乗りしようとするクローディア(マリ)に、ゆりは即座に、かつ冷徹に釘を刺す。
「ダメよ。まずは機体自体が、あんな無茶な動きの負荷にしっかりと耐えられているかデータを回収するのが先。あんな激しい機動をしたら、絶対にどこかしらフレームに負荷がかかっているはずだわ。遥はシラユキのバックアップがあるから平気だけど、あなたは万が一落ちたら自力じゃ飛べないでしょう。危険すぎるわ」
「ぐっ……む、それもそうだね。まずは機体の強度と耐久性の確認からだね。
分かっているよ、ゆり。私も上空で愛機と一緒バラバラになって散るのは御免こうむりたいしね」
そう言うと、クローディア(マリ)は軽く肩をすくめ、愉快そうに笑うのだった。




