11-5 【盲点】「ローターって本当に必要かしら?」〜ゆりの身も蓋もない一言〜
11-5 【盲点】「ローターって本当に必要かしら?」〜ゆりの身も蓋もない一言〜
「ちょっと、マリ。これのどこが問題ないのかしら? ど・こ・が。あなた、自分でこれを装備して飛んでいたら、今頃文字通りお星様になっていたわよ。遥に足を向けて寝られないわね」
「うぐっ……そ、そうだね。それはその通りなんだけどさ。おかしいなあ、あんなに計算は完璧だったはずなんだけど……」
人生山あり谷ありである。そうそう最初から上手くいくわけがなかった。
ゆりの迅速な機転(という名の脳天チョップ)がなければ、クローディア(マリ)は危うく大惨事を引き起こしていたところなのだ。
「そもそも……あそこまで大層な物にする必要自体、無かった気がするわね」
「ゆり、それどういうこと?」
ゆりの意味深な言葉に、マリは「ほう」と興味深そうに首をかしげた。
「あのローター、ほんとに必要かしら?」
ここにきて、身も蓋もない疑問が飛び出してきた。
「いやいや、ドローンなんだからローターが無きゃ飛ばないでしょ?」
当たり前じゃないか、と言わんばかりのマリに、ゆりは冷ややかな視線を送る。
「マリ、あなたその前にアカサギを作ったわよね。そのさらに前には、頭のおかしいスラスター武器群も作ったわよね?」
「うん、確かに作ったけど……それがどうかしたの?」
ゆりは「はぁー」と深いため息をつき、呆れたように首を横に振った。
「それって、どうやって飛んでいるのかしら?」
「そんなの、遥直伝のナノスラスターさ! ……ん? なんか今、引っかかったような……」
マリは首を傾げ、数秒の間を置いて――。
「あ、あーーーっ!?」
そう、察しの通りである。
遥もアカサギも、それに付随する武器群も、すべて「ナノスラスター」で優雅に飛翔しているという事実に、彼女は今更になって気がついたのだ。
「まあ、私もあのバカでかい翼を見て、やっと思い出したのだけれどね。そもそも、あの大きさじゃ取り回しが悪すぎるでしょうし、出力が高すぎて普通の人じゃ到底扱えないわよ」
ゆりの容赦ない正論の指摘に、ようやく自分の致命的な盲点に思い至ったクローディア(マリ)は、
「くぅ……何ということ! 私としたことが……! 私の頭もまだまだだなあ!」
そうわめき散らしながら、頭を抱えて激しく悶絶するのであった。




