10-12 【感動の初飛行】「これが宙に浮く感覚かぁ!」大空を縦横無尽に舞うマリ
10-12 【感動の初飛行】「これが宙に浮く感覚かぁ!」大空を縦横無尽に舞うマリ
「私はついに空を飛ぶーっ!」
操縦桿を強く握り締め、アオサギを装着したクローディア(マリ)はノリノリで空中へと浮き上がった。
「ほほー! これが宙に浮く感覚かぁ……なんか感動的だね!」
「いや、マリ。あなたアカサギの時も飛んでいたじゃない」
通信越しにゆりからの鋭いツッコミが入る。そう、クローディアは以前、アカサギのスラスターダッシュ試験の際に空中を滑空した経験があったのだ。
「あれは『飛んでいる』んじゃないよ、『跳躍』だよ! だってただのジャンプだもん」
完全に自力飛行しているわけではないため、クローディアの言い分も一理ある。
「それでお嬢様、空中遊覧のご感想はいかがかしら?」
ゆりも少しからかうような声でクローディアに尋ねた。
「なんだろうね……とにかく感動だよ。んー、言葉では上手く言い表せないや。でも鳥たちも飛んでいる間は常にこの視点なんだよね。なんだか不思議な感じがするよ」
そう語りながら、クローディアは試験場の上空を縦横無尽に飛び回り、心ゆくまで空中散歩を楽しんだ。
しかし──人生には山あり谷ありである。
一通り空の旅を満喫したクローディアだったが、一つ重大な仕様上の欠陥を忘れていた。
……なんと、この装備は自力で外すことができなかったのである。
もし安全装置で強制パージを行えば、バックパックの重みでドローンユニットが勢いよく倒れ、破損してしまう可能性が極めて高い。着陸しいざ装備を外そうとした段階で、クローディアはようやくその致命的な事実に気が付いたのだった。
「うわぁ、これは参ったね……! 自分で装備が外せないじゃないか。自立させるための『脚』が必要だったのかぁ」
何事も開発者が自分で実際に試してみて、初めて気が付くものである。
「遥ー! 台車が必要だ! 持ってきてくれないかなー!?」
結局、遥に台車を持ってきてもらう羽目になった。
では、なぜ先の遥の試験時にはこの問題に気付かなかったのかといえば……遥たちは「自分たちで片付けまで行うのが当たり前」というスタンスだったため、着陸後の分離作業をクローディアとゆりの二人に確認してもらう必要すら感じず、自分たち(256人の遥)で手際よく片付けてしまっていたからである。




