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10-11 【暴走開始】安全証明完了! 「いつ飛ぶの?今でしょう!」大はしゃぎで出撃するマリ

10-11 【暴走開始】安全証明完了! 「いつ飛ぶの?今でしょう!」大はしゃぎで出撃するマリ



試験場の中央には、『アオサギ』を身に纏ったマリがすっくと立っていた。


「ついに……ついに私も空を飛ぶ時が来た!」


爆上がりするテンションを隠そうともせず、マリは力強く両拳を握りしめる。


「マリ、本当にやるの? まだ危ないわよ」


「何を言っているんだゆり! 遥のおかげで安全性が完璧に証明されたんだぞ? ここで装備せずしていつするというのだ! いや、今でしょう! ふはははは!」


こうなったマリは、もう誰にも止められない。

これまでゆりに試験飛行を固く禁じられ、溜まりに溜まっていた鬱憤が一気に爆発したのだ。まさにブレーキの壊れた制御不能の暴走列車状態である。


「……もう何を言っても無駄そうね。遥、マリをお願いね」


ゆりは半ば呆れ気味に深いため息をつくと、マリの隣で既に『シラユキ』へと完全換装を済ませている遥へ視線を向けた。


「はい、ゆり。お任せください。マリは私が守ります!」


ふんす、と鼻息を荒くして、なぜか遥までやる気満々である。


「あー、遥。ドローンの接続をお願いしてもいいかな?」


マリは背後の台車の上に載せられた、最新の改良型ドローンユニットを指さした。

ヘルメットを被り、マリは『HIMAT』を起動する。


H : Hyper-evolutionary


I : Integrated


M : Molecular


A : Autonomous


T : Technologies ──


Initializing…


分子自律技術『HIMAT』の基幹OSが瞬時に覚醒し、マリのバイザーの奥を無数の起動ログが滝のように流れ落ちていく。

そして一秒後、視界の中央に鮮やかな緑色の輝きを放つ【 READY 】の文字が鮮明に点灯した。


パワーアシストの油圧機構とナノマシンの駆動トルクが完全に噛み合い、先ほどまでマリの全身に重く圧し掛かっていた数十キロもの質量負荷が、嘘のように一瞬でゼロへと消失する。アオサギの起動完了だ。


「よし、アオサギの起動は完璧だね。次はドローンと接続するよ。遥、頼む!」


「はい、マリ。では接続しますね」


遥はドローンの載った台車を慎重に押し、マリの背中へと近づける。

そしてドローンのバックパックと、マリが装備するアオサギ背面のハードポイントが「ガチリ」と重厚な金属音を立てて強固に連結された。


直後、マリのバイザー内に新たなシステムメッセージが鮮烈に展開される──。


External mechanism: Detected.


Establishing link.


Syncing power grid.


Running full-system scan.


Status: Nominal.


Booting core system.


Online.


(外部機構:検出/接続を確立中/電力網を同期中/全系統スキャンを実行中/ステータス:正常/コアシステムを起動中/完了)


「よし、拡張機構の接続成功!……いよいよ操縦開始だね」


マリは待ちに待ったと言わんばかりに、胸元から伸びる左右の操縦桿を力強く握りしめた。


──ちなみに、往年のロボットアニメのように飛行ユニットが空から颯爽と飛来し、空中で自動合体するようなロマンあふれるシチュエーションは存在しない。合体作業はすべて手押しによる人力で行なう必要があった。


では、先ほど遥が一人でテストした際はどうセッティングしたのかといえば、256人存在する遥たちの完璧な連携と人海戦術によって手際よく装着されたのである。実に夢も希望もない、地道極まりない舞台裏であった。

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