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10-10 【衝突回避成功!】壁へ猛スピード突撃&寸前でピタリと自動停止!

10-10 【衝突回避成功!】壁へ猛スピード突撃&寸前でピタリと自動停止!



再び試験場には、『アオサギ』を装備した遥の凛とした姿があった。

その背面には、これまでの失敗と検証を経て、さらにブラッシュアップが加えられた飛行ユニットが接続されている。


「遥、よく聞いて。今回は少々危険を伴う試験になるわ。もう分かっているとは思うけれど、いざという時は迷わずシラユキで対処してちょうだいね」


「はい、ゆり。分かりました」


「それじゃあ、テストの詳細を説明するわね。わざと壁に向かって限界まで前進し、接触する直前で安全に制動・停止できるかを確認してほしいの」


ゆりが遥に命じたのは、極限状態での衝突回避試験だった。今回の目的は決して「ぶつけること」ではなく、機体側が自動で危険を感知し「衝突を未然に回避できるか」の検証である。人間が乗り込んで大空を飛ぶ以上、操作ミスによる激突事故は絶対に防がねばならない。


前回の議論に基づき、ユニットの前後左右には高性能な接近感知センサーが増設されていた。障害物への異常接近を捉え、衝突の危険が生じる手前で自動ブレーキまたは回避動作を行うプログラムのテストだ。当然、これをぶっつけ本番でマリにやらせるわけにはいかない。万が一の事態が起きても自力で脱出できる遥だからこそ、安心して任せられる試験であった。


「それじゃ、試験を開始してちょうだい」


「はい、ゆり。試験を開始します」


遥は胸元の操縦桿を静かに握り締め、意図的に正面の壁に向かって前進ノッチをぐっと深く倒し込んだ。

スラスターが唸りを上げ、猛スピードで壁が目前へと迫る。あわや激突かと思われたその直前──。


遥のヘルメットバイザー内に、鮮烈な赤文字で『DANGER』のサインが激しく点滅。甲高い警告アラーム音とともに、サギドローンがピタリと空中で緊急停止してみせた。


「ゆり、前進時の自動停止を確認しました」


遥から落ち着いた声で通信が入る。


「ええ、こちらでも確認したわ。自動衝突回避、大成功ね。そのまま後退、および左右の移動でも同じように試してみて」


ゆりの指示に従ってテストを継続した結果、後退や左右の平行移動においても、壁への接近をセンサーが的確に検知し、寸前で完璧に自動停止してみせた。


ただし──「下降」に関してだけは、あえてこの安全機能を適用しない設計にしてある。

理由は至極単純で、地面を障害物と誤検知してブレーキがかかってしまうと、一生着地できず宙吊りのままになってしまうからだ。当たり前といえば当たり前だが、実際の運用を考え抜いたからこその重要な仕様だった。


また、緊急停止した後に再び同じ方向へ操縦桿を倒し直したとしても、二重の安全機構(セーフティロック)によって壁への接触が防がれることも確認された。これにより、パニック時の誤操作による事故すらも完璧に回避できることが立証されたのだ。


もっとも、これが実戦において100%の正解かと言われれば、一概には言えない。

緊迫した実戦の中、障害物をギリギリでかわすようなドッグファイトの最中にこの自動ブレーキが作動してしまえば、かえって隙を晒す危険性もあるからだ。そのため、バイザーのメニューからあえて「緊急回避キャンセル」を選択できる裏モードも搭載されている。最終的には現場のパイロットの判断に委ねる、というわけである。


──ともあれ、システム上の誤操作による事故リスクはこれで劇的に軽減された。

安全性が完璧に証明されたその事実に、待ってましたとばかりに首を長ーくして出番を待つ人間が一人。


言わずと知れた開発者、マリその人であった。

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