↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/378

10-9 【ランダム試験完遂】事故防止はソフトで解決! 自動姿勢制御&緊急制動ロジック搭載へ

10-9 【ランダム試験完遂】事故防止はソフトで解決! 自動姿勢制御&緊急制動ロジック搭載へ



遥によるランダム試験は、特に事故を起こすこともなく無事に終了した。


「やっぱりローターの接触事故が怖いな……プロペラガードを付けるべきかな」


遥の見事な操縦風景をモニター越しに見守りながら、マリがぽつりと呟く。

それに対し、ゆりは即座に首を横に振った。


「不要ね。ソフトウェアで十分に対処できるわ。今回は試作機だからオミットしていたけれど、各種センサーを増設して、ソフト側で自動姿勢制御と緊急制動ロジックを追加しましょう。どのみち、あの全幅で物理ガードを付けたところで、操縦を誤れば接触事故を起こすのは目に見えているもの」


ゆりが提案しているのは、近年の自動車に搭載されている衝突被害軽減ブレーキのようなシステムだ。カメラやセンサーの映像をAIがリアルタイムで解析し、障害物を検知すると自動でブレーキをかける機構である。人間の視野角は前方120度程度に過ぎず、横や後ろは首を振らなければ確認できない。そうした死角をシステムで補う意味でも、飛行ユニットには不可欠な装備と言えた。


もし仮に、最初のテストでマリ自身が試作機に乗り込んで飛び立っていたら、壁や天井に激突して惨事を引き起こしていた可能性は極めて高い。今回、事故を起こさずに試験を終えられたのは、偏に遥の卓越した対応力のおかげとも言えた。ゆりがマリの搭乗を力ずくで止めたのは、まさに怪我の功名である。


「あとは操作系統ね。遥、実際に操作してみて、UIやメニューの応答性に問題はなかったかしら? システムログを見る限りエラーは出ていないようだけれど、直接操縦したあなたの感覚を聞きたいの」


マリとゆりはコンソールのモニター画面にログを抽出し、データに異常がないかをチェックしながら尋ねた。


「そうですね。特に操作上の不都合はありませんでした。操縦桿からのコマンド伝達遅延も発生していません」


「ふふん、私の考案した操作体系だからね。当然の結果と言えよう!」


遥の肯定的な評価を受け、マリは先ほどまでの落ち込みからすっかり息を吹き返し、誇らしげに胸を張った。


「はい、マリ。単に『上へ登るだけ』の機能ではなくなったので、とても素晴らしかったと思います」


にこにこと屈託のない笑顔で返す遥。だが、言われたマリにとってはたまったものではなかった。

過去最大のブーメランが、マリの頭へ盛大に突き刺さる。


「うがぁーっ! お願いだから遥、それ以上は言わないでくれー!」


頭を抱えて悶絶するマリの悲痛な絶叫が、テスト場に空しく響き渡るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。