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9-14 【神業ホバー】大楯×全身スラスター100%同期で超高速スライド突撃が完全昇華!

9-14 【神業ホバー】大楯×全身スラスター100%同期で超高速スライド突撃が完全昇華!


「――ははは! これは良い、最高に素晴らしい! すごい面白いよ!!」大楯のスラスター起動と、全身の追加装甲スラスターの点火タイミングを100%完全に同期(リンク)させたことにより、クローディア(マリ)の挙動は見違えるような変化を遂げていた。


先ほどまでの、上半身だけが不細工に前方へ引っ張られるようなブレは完全に消失。大質量の重装甲騎士の巨体が、大楯の推進力と同時に一寸の狂いもなく平行スライド(ホバーダッシュ)し、衝撃を完璧に殺して5m先へビシッと制動する神業機動へと昇華したのだ。


マリは、すぐ横の遥に頼んで試験場の中央へテスト用の頑強な的(ダミー人形)を大量に並べさせ、その正面から大楯を構えて超高速の突撃(シールドバッシュ)を敢行した。しかも、その突撃の直前、マリは「ただ突っ込むだけじゃ地味だし、これも盾の改良だよ!」と言い出し、かつて遥が『二分割して光の剣を出す盾』で披露したナノマシンエネルギーの解放技術をこの大楯の裏へ応用していた。大楯の前面、その表面の上端と下端に、それぞれ3個の鋭利な誘導突起を増設。


その上下の突起同士を強固なエネルギー光のラインで結ぶことにより、盾の前面へ眩い白光を放つ『エネルギー白刃(光子ブレード)』を垂直に3本同時に形成させたのである。つまり、盾の前面に超高熱のレーザーソードが縦に3本並んで突き出している、とんでもなく凶悪なビジュアルをイメージすれば分かりやすいだろう。


防具であるはずの盾を、そのまま前面の敵をすり潰すための「超高速の削岩機」へと魔改造してしまったのだ。その最も邪悪な状態で、マリはスラスターを全開にして突撃を慣行した。ズガガガガシャァァン!!!という、空間ごと肉塊をすり潰すような凄まじい大爆音と破壊音が試験場に鳴り響く。


これほどの超質量と、すべてを焼き切る3本の熱線ブレードを正面から喰らえば、いかに頑強なアノマリーと言えどただでは済まないだろう。

事実、前方に並べられていた強固な的の群れは、マリの超高速スライド突撃が激突した瞬間、一瞬の抵抗すら虚しく文字通り木端微塵に粉々に砕け散り、消滅していたのである。


「素晴らしい! 盾の推進力で敵の防衛線を強行突破しつつ、肉薄した敵をそのまま正面から消滅させられるぞ!」この大楯スラスター突撃の恐るべき威力にすっかり気を良くしたマリは、ここからさらにマッドサイエンティストとしての本領(暴走)を発揮し始めた。


これまでは「普通の人間が使ったら危険すぎる」として倉庫のデータ奥深くに封印扱いになっていた、第8章のあのハルカドリルやチェンソー丸盾といったスラスター・回転ギミック付きの危険な装備たちを次々と引っ張り出し、今回の重装甲追加モジュールのエネルギーグリッドに耐えられるよう、片っ端から追加装甲仕様の重量級高出力武器へとリファクタリングして作り変えていったのである。


そうして、大はしゃぎで一通りのイカれた新兵器の作成と実地破壊実験を終えたクローディア(マリ)であったが――どれほど脳内がロマンに満ち溢れていようとも、中に入っている生身の肉体は運動不足な一般の女性である。数時間におよぶ超高速スライドGの負荷と重量挙動の連続テストに、彼女の肉体はいい加減、限界を迎えて疲れてくるのであった。


「……あー、もうダメ。つかれた。しんどい、1ミリも動けない。もう無理」ヘルメットの奥から、完全にエネルギーの切れた弱々しい声が漏れる。マリは音声入力で『全システム・フォースドパージ』を命令し、全身の重追加装甲を含めたすべての装備をその場でガシャガシャと一斉に強制排除した。用済みとなった重いヘルメットも床へとゴロゴロ乱暴に投げ捨てる。


「遥、悪い……。あとのその装備を全部片付けといておくれ……」マリはそうへろへろに呟くと、カーボンファイバースーツの汗だくな姿のまま、試験場の中央の冷たいコンクリートの床の上で、文字通り力尽きたように「大の字」になってバタンと転がるのである。武器を作って実験している最中は、脳内からアドレナリンがドバドバと大量に分泌されて脳がハイ状態(お祭り騒ぎ)になっているが、そんな都合の良い興奮状態が長続きするはずもなかった。切れた操り人形のごとく、今は指先一本すら動かす気力は残っていなかった。


『――ちょっとマリ、そんな埃っぽい試験場の床の真ん中で大の字で寝ていると、本当に風邪を引くわよ』コントロールルームのデスクから呆れ果てた様子の、けれどどこか温かいゆりのツッコミの声が、インカムのスピーカーからぐったりしたマリの耳へと優しく響いてくるのであった。

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