9-11 【悲報】完璧と思われた矢先、第8章の「暴走大楯」をそのまま装備していた大やらかし
9-11 【悲報】完璧と思われた矢先、第8章の「暴走大楯」をそのまま装備していた大やらかし
しかし、人生山あれば谷がある。
すべてが完璧に制御されているかのように思われたその矢先、ここに一つ、致命的な落とし穴が残されていた。たしかに全身の追加装甲フレームにいたっては、完全な新作でありながらも、ゆりの超有能なエネルギー最適化設計のおかげで、人間の安全圏の範囲内で極めて滑らかに組まれていた。
真の問題は、クローディア(マリ)がその左腕にしっかりと保持していた、あの『巨大な大楯』の方であった。そう、思い出してほしい。
第8章の最後の実験において、『「まだだ、まだ終わらんよ。」試験場の中央、まだ実験を行っていなかった3人目の遥が、最後の大楯のギミックを静かに起動した。次の瞬間、巨大な大楯の裏面に仕込まれていた【ナノ・スラスター】の全ノズルが一斉に激しい点火火花を吹き上げた。凄まじい爆音と共に、目にも止まらぬ超音速の推進力を得た遥は、大楯を前面に構えたまま弾丸のような速さで突撃し、正面の防壁へと激突した。ズドォォォン!!と、試験場全体を揺らす凄まじき崩落音が響き渡り、防壁にまたしても巨大な大穴が開く。』
――まさに、あの試験場の壁を粉々にぶち抜いて遥を強制激突させた、狂気の大楯そのものをマリはそのまま装備していたのだ。
「よし、それじゃあ今度は、この盾のスラスター起動も行うよ!」マリが思考入力で左腕のトリガーを引いた瞬間。
次の刹那、クローディア(マリ)の視界は上下が逆転し、自分が白銀の遥の強固な両腕の中へとお姫様抱っこでガシッと抱きかかえられていることに気がついた。
一体、何が起こったのか。まず、大楯の裏面に仕込まれていたあの暴走スラスターが、マリの脳の伝達速度を遥かに置き去りにして点火した。
しかし、全身の装甲とは異なり、盾側には「一定の距離で安全に止まる逆噴射プログラム」など最初から仕込まれていなかったのである。
凄まじい超音速の推進力が盾単体にだけ牙を剥き、持ち手である生身のマリは、その腕の筋肉を引きちぎらんばかりの勢いで前方へと強烈に引きずり回された。
あまりの想定外のG(加速)に耐えきれず、マリは盾の取っ手から思わず手を離してしまい、前のめりに完全に体勢を崩して、コンクリートの地面へと時速数十キロで豪快な顔面スライディングを決めそうになったのだ。
それを、横を並走していた世界最強のセーフティ(遥)が、コンマ数ミリ秒の神業的な反射神経で床スレスレで救い上げたのである。
ヒュゥゥゥン――ズドォォォン!!!主を失った巨大な大楯は、そのままロケットカウルのように激しい火花を吹き散らしながら単体で暴走を続け、試験場の頑強な防壁へと弾丸のごとく激突し、またしても派手な音を立てて壁に刺さって沈黙していた。
追加装甲のホバー滑空に成功し、完全に油断しきった矢先に引き起こされた、最高にマッドでお約束な自爆事故であった。




