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9ー8 【実地テスト】マリ自ら装着(ドッグフーディング)する重追加装甲

9ー8 【実地テスト】マリ自ら装着(ドッグフーディング)する重追加装甲



「――それで結局、私が自ら進んで実地テスト(ドッグフーディング)をするわけだね」

広大な屋内試験場の真ん中に立ち、ヘルメットを脇に抱えながら、クローディア(マリ)は楽しそうににこにこと笑っていた。


あの後、マリとしては新しく出力したデータをすぐに3Dプリンターから実体化させ、いつも通り遥に着せてデータ取りをする段取りのつもりだったのだ。

しかし、コントロールルームのゆりから

「いずれ普通の人間が動かすミドルやエントリーの追加装甲になるのよ。だったら最初から、人間であるあなたがテストしないと意味がないでしょう」

と極めて合理的な正論を突きつけられ、今この場に立たされているのである。


そしてその進言の際、「嫌よ! 絶対に嫌! 私は絶対に死んでも着ないからね!!」と、狂気のスラスターバラバラ衝撃を恐れて、親の仇のように首をぶんぶんと激しく振って全力の拒絶を現していたゆりの姿を思い出し、マリはヘルメットの奥で苦笑いするのだった。


黒いインナースーツ姿になったマリは、隣に佇む遥に手伝ってもらいながら、

まずはベースとなるダークブルーの『アオサギ』の装備一式を各ハードポイントへとカチリ、カチリと手際よく装着していく。


「それにしてもこれ、毎回一回一回、人間の手でパーツをはめ込んで装備していくのが地味に大変だね。戦場での緊急展開を考えると、このワンタッチ装着の件も、あとでシステム的に何か自動化のアイデアを考えるかな……」そんな未来の改良点をつぶやきながら、マリは最後の仕上げとして頭部のヘルメットを被り、内部システムを起動させた。


視界が密閉され、次の瞬間、彼女の瞳の前に広がる暗黒のバイザーへと、鮮烈な光の文字がホログラムとして一斉に表示された。



H : Hyper-evolutionary

I :Integrated

M : Molecular

A : Autonomous

T : Technologies



――Initializing…(システム初期化中)分子自律技術『HIMAT』の基幹OSが瞬時に覚醒し、マリのバイザーの奥を無数の起動ログが滝のように流れ落ちていく。

そして一秒後、中央に緑色の輝きを放つ【 READY 】の文字が点灯した。


パワーアシストの油圧とナノマシンの駆動トルクが完全に噛み合い、先ほどまでマリの生身の身体に圧し掛かっていた数十キロのベース質量が、嘘のように一瞬でゼロへと消失する。まずはベース機アオサギの起動が完了した。


「ふむ。よし、遥、そのまま追加装甲を上から着せてくれないかな」マリは試験場の搬送カートに積まれている、刷り上がったばかりの重厚な追加装甲のパーツ群を指さした。


「はい、マリ。分かりました」遥はいつもの滑らかな手取りで、アオサギの装甲の上から、さらに分厚い重追加プレートを重ねるようにして組み付けていく。


パーツが物理的に強固に連結された瞬間、マリのバイザーにさらなるホログラムの情報が滝のように表示された。



External plating: Detected.

Establishing link.

Syncing power grid.

Running full-system scan.

Status: Nominal.

Booting core system.

Online.



バイザーの最深部で、(追加装甲を確認。機構接続開始、動力伝達機構接続、各部異常診断開始、問題なし、機構起動、完了)というミリタリーOSの緑色の暗号ログが次々と走る。


ガシャリ!!という重厚な電磁ロック音と共に、アオサギに装備された外部重装甲モジュールの全システム起動が完璧に完了した。

マリが軽く右腕を動かすと、上から重ねられたはずの莫大な鉄の質量を完全に無視して、重装甲の腕がミリ単位の狂いもなく滑らかに追従して駆動した。

紫苑のお菓子の話のヒントを元にゆりが仕込んだ「外部電池(装甲内蔵バッテリー)」から潤沢なパワーが供給され、アオサギのリミッターを一切圧迫することなく、完璧な機動システムがここに立ち上がったのである。

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