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9-4 「予備電池+大量ミサイル+スラスター+重装甲」〜マリの雑すぎる悪魔の超理論〜

9-4 「予備電池+大量ミサイル+スラスター+重装甲」〜マリの雑すぎる悪魔の超理論〜


「――ふむ、なるほどね。今までの動画の要素をすべてまとめるとだね。鷺シリーズの上からさらに重装甲をかぶせて、そこに予備の電池と大量のミサイルを搭載して、ついでに各部に爆発的な推進装置を付ければ良いわけか!」クローディア(マリ)はナベさんから送られてきた趣味満載の動画群を見て、これまでの大惨事の歴史を一切省みないような超理論で雑に結論をまとめた。


それを管制室の特等席で聞いたゆりは、冷たい汗を流しながら、たまったものではないとばかりに身を乗り出した。


「はい! マリ、ストッーーープ! どうどう、落ち着きましょう! そんなロマンを一度に全部詰め込んでも、碌なことにならないわよ!」ゆりは、先ほどまで行われていた「武器・防具製作(第8章)」で、ハルカドリルや10mの光子刃、大楯スラスターサーフィンといった散々な状況を引き起こし続けた悪夢の暴走兵器群の再現だけは絶対にさせまいと、強烈なクギを刺すのであった。


「まずは基本に立ち返って、純粋な『追加装甲』から考えていきましょう。アノマリーの強力な一撃がどのくらいの質量攻撃なのかは過去のデータから想像するしかないのだけれど……。

要は、最前線で味方に行くはずのヘイトや攻撃を正面からすべて引き受ける役、最初にも話したようにチームの『タンク(盾役)』として機能するように頑強にすれば良いわね。当然、前にナベさんが言っていたように防御用の盾も必要よ」ゆりは、すでに脳内で重装甲ミサイルスラスター化の足し算を始めているマリの軌道修正を図るため、必死に話を本来の防具開発へと戻そうとした。


「え?、そうなのかなぁ。でも、あのゲームの動画みたいに、あれだけの重質量を支えるための推進装置(スラスター)は絶対に最低限必要だと思うんだけどね」


「そこは、ほら……! 追加の物理構造が完璧に決まった後で、必要なら付け足す方向で考えましょう!」魂の底から危機感を覚え、冷や汗を流しながら必死にマリの暴走の軌道修正をはかるゆり。


「ちぇっ、お堅いなぁ。じゃあまずは、ナベさんの言っていた通り、あの黒歴史の『ブレードアーマー』の基本フレームを元にして、重追加装甲のプロトタイプを形成してみるよ。ほいっと」クローディア(マリ)はそう言って端末を操作し、3Dプリンター室へとデータを送って追加アーマーのパーツを出力させた。


マリは、控えていた遥に頼んで完成したパーツの入ったカートを持ってきてもらい、そのまま適合テストのために試着をしてもらうつもりだった。遥にベースとなる『アオサギ』の青い装甲を纏ってもらい、そのハードポイントの上から、出力されたばかりの重追加アーマーのパーツをカチリとはめ込もうとするのだが――。


「……あれ? 嵌まらない。そもそも、接続ジョイントの規格が全く合わないね。ふむ、私としたことが、完全に『開発の順番(タイムライン)』が頭の中で逆になっていたのか」マリはパーツをひっくり返しながら、アハハと乾いた笑いを浮かべて頭を掻いた。マリの言っていることは、これまでの機体開発の歴史の順番を指していた。


いま遥が着ている『アオサギ』などの鷺シリーズは、普通の人間でも動かせるようにごく最近になってからデバッグ・洗練されて製作された最新の規格(第7章)である。

対して、今ハメ込もうとしているブレードアーマーの骨格データは、4章以前の不完全な実験段階で形成された、大昔の不格好な遺物なのだ。


現在の洗練された共通ハードポイントの規格に対し、過去の遺物のプロトタイプフレームがそのまま無改造で合致するはずがなかった。

力任せに無理やり隙間へはめ込めなくもなかったが、群体知能の制御コードがバグる危険性があるため、そんな無茶をする意味はどこにもなかった。


「あーあ。これは基本のフレーム形成から、丸ごと全部やり直しだね……」クローディア(マリ)は、せっかく出力したパーツの山を前にして、大きな溜息をついて深くぼやくのであった。

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