7-13 コスト1/3達成:エントリーモデルの誕生
7-13 コスト1/3達成:エントリーモデルの誕生
「さて。シラサギの最適化(動作の調整)は出来たけれど、問題はまだある。これをどういう形にするかなんだけどね」試験場から戻り、髪をタオルで拭きながらマリは腕を組んで端末の画面を睨んだ。そんな相棒の様子に、ゆりは呆れたように溜息をついて答える。
「いや簡単でしょう。いまの私達がデバッグして、普通の人間でも安全に動かせるようになったレベルのものを形にすれば良いのよ。ナベさんが最初の会議で言っていたじゃない。エントリーモデルが欲しいって」ゆりにそう言われて、そうだったな、とクローディア(マリ)は腕を組んで答える。
「そう言えば、そんな事言ってたような……」完全にテスト駆動の楽しさに脳細胞が支配され、目的と手段が入れ替わっているいつもの悪い癖であった。
「これならシラサギの半分以下のコストに抑えられるし良いんじゃないかしら」ゆりは、先ほどマリが体を張って調整した値を元に再設計した普及型モデルをモニターに出す。
「すこし梃子入れるわね」そう言うや否や、ゆりの手が端末のキーボードの上を高速で動き回る。
「出来たわ。およそコストもシラサギの3分の1で抑えれそうね」
「さすがゆり。仕事が早いね」
「早速3Dプリンターにデータ送るわよ」そういうゆりの手を、クローディアは横から掴んで止めた。
「ゆり、ちょっと待って」ゆりは怪訝そうにクローディアを見上げて問いかけた。
「えと、私には分からないけど何か問題あったのかしら」
「うん、同じ形状と色だと分かりにくいかなぁと思ってね。どうだろう色変えてみないかな」そう言われてみれば、確かに製品の差別化としては一理あるかな、と思うゆりであった。
「なるほど、何か案はあるのかしら。何かすごい既視感を覚えるのだけど」そう言うゆりは、クローディアの事を本当に理解しているのであった。マリは待ってましたとばかりに答えるのである。
「青色。アオサギなんてどうかな、と思ってね」




