28,踊るように人生を
ショウさんの旅立ち
物語の幕引きです
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「ここにいる皆、よく無事だった。町の講堂付近や城門前の修繕も感謝している、ありがとう。今回の争いで父や戦える者たちは命を落としたが、彼らの犠牲を無駄にせぬように私は頑張っていく。これからもどうかよろしく頼む」
パチパチパチパチパチパチ……
拍手が鳴りやんだ後、こちらを手で示して紹介してくれます。
「彼らが今回の争いを収めてくれた者達だ。皆どうか大きな拍手を」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……………………
なんだかカスケードさんよりも長い拍手のように感じます。くすぐったい感じです。
レンさんは誇らしげですね。ほめられてうれしい子供のようです。
私たち、レンさん、タクミさん、カイト君、みうと私ひな、そしてショウさんはカスケード新王様に紹介されて町の方への顔見せとのこと。
魔法球があるので、それを使った領土内の各町への映像の送信もされているのだそうで。
もしかしたらお父さんとお母さんも見てるかもしれないですね。
なかなかやまない拍手の中、私はそんなことを考えていました。
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「ええっ、もう行っちゃうんですか?」
「ああ、君たちには本当に感謝している。せっかくもらった命だ、これからは自由にいきてみたい。こことは違う場所にも行ってみたいと思ってな」
「そうですか。ショウさんならお強いですから、心配なんてないですよね」
あれから数日後、自由の身になったショウさんは世界を見て回るとのことでここを旅立つことを決めそのお見送りです。
「元気でやれよ、ショウ」
「お互いにな、レン」
二人のエールは本当に心がつながった仲間のようで。
「僕の先輩たちに会ったらどうぞ頼ってくださいね。あの人たちもショウさんに会いたがっていましたよ。もちろんレンさんも」
カイト君も駆けつけてくれました。
「ああ、ぜひそうさせてもらうよ」
「俺はついでか?カイト」
3人でももずいぶん馴染んだようで、すでにカイト君の先輩さんとは魔法球でお話もされたそう。男の友情ってやつですかね。
「じゃあな、またどこかで」
「お元気で」
「ああ、ありがとう」
3人が別れのあいさつを終えて私も一言くらい混ざっておこうかなっ。
「お元気で!」
私の声に90度の礼をして立ち去っていくショウさん。
本当に礼儀正しい方だったです。かっこよかったですし。
「俺たちは戻るか」
「そうですね。これからのこと、カスケードさんに聞かないと」
私たちは王様に国を助ける任に就く、として選ばれたのが始まりです。実はそうでもなかったようですが、これからのことはカスケード新王様に聞くのが一番でしょう。
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「えっ、あの娘返しちゃったんですか?」
「ああ、彼女自身が人を襲っていたわけじゃなかったらしくてね。黒の魔術は使わないことを約束してもらったよ」
「それで本当にいいのか?」
「そうだね。……今の彼女ならあの宝石をまた動かすために別の方法をとってくれると信じているよ。もちろん国外に出ることはしないように言っているし各町にも通達はしているけどね」
「あんたが責任をとれる範囲で頼むぞ。俺たちは依頼されないと動かないからな」
「そうだね、しっかり覚えておくよ」
レンさん、辛辣ながらカスケードさんを信頼しているのが分かります。
きっと私の知らない何かがあったのかも。
「それで、だ。これからの君たちのことなのだが」
「ああ」
「前国王と同じように私とも契約してほしい。もちろん生活は保証する、今は3人だろうが人数が増えた際も都度申し出てくれればいい」
「そんな軽い感じで大丈夫か?こっちは命を懸けることはしないぞ」
「そうならないようさせてもらうよ。――こんなことが起こる前からこの国が危ういのは事実だからね」
「わかった。改めてよろしく頼む」
「ありがとう」
2人が握手を交わします。とりあえず私とみうも生活は確保されたようで一安心。
「すみませんカスケードさん、次の任の前に父と母の住む町に行ってみたいのですが」
「ああ、そうだったね。構わないよ。無事な姿を見せに行っておいで」
「はいっ、ありがとうございます!」
「よかったですね、ひな様」
「うん!みうもレンさんも一緒に行きましょうね!」
「はい、ありがとうございます」
「俺が一緒でも大丈夫か?これでも男で魔王として呼ばれたものだぞ」
「いいじゃないですか、嫌なんですか?」
「2人を守るのが今俺がすることだからな。ショウのように世界を見て回りたいわけではないし」
「なんですかそれ、何でもいいですけどね。……それでは失礼します、カスケード新王様」
「失礼いたします」
「何かあったら呼んでくれ」
「ああ、よろしく頼むよ」
こうして私たちは王の間から出ました。
お部屋は私の部屋を引き続き使用してもよいとのこと。もっといい部屋を用意するとも言われましたが、そこまでのことをしたわけじゃないので辞退しました。
みうは私の部屋で一緒にいることにしたそうです。ほんとかわいい、やっぱり天使!
「そういえばレンさんはどこで寝泊まりしていたんですか?」
「図書館や部屋の前だな。――俺も部屋を用意してもらおう、今言ってくる」
ここ数日も控室の部屋を使っていたみたいですけどレンさんきれい好きみたいで、おひとりの部屋が落ち着くんでしょう。
「よかった、これで平和な生活が始められるね」
「はい、私も幸せですよ」
みう、ほほえみかわいい。守るよその笑顔!
「部屋は用意してくれるそうだ。とにかくきれいに、と言っておいた。あと食事も」
全くレンさんは本当に。
「じゃあ今からお買い物でもしませんか?みうとレンさんのものを買いに」
「ありがとうございます」
「なら準備しないとな。――カスケード新王様のおごりだな」
悪い顔ですねレンさん、まあそれくらいなら許してくれるでしょう。
「やはり魔王ですね」
「そうですよ、早く準備しますからね魔王さま」
「俺はいい魔王だからな、皆の喜びのために力を尽くすぞ」
「ふふっ、なに言ってるんですか?かわいいですね」
そんな感じで準備を済ませいざお出かけ!
「行きますよ!星のおうじさま!」
「なんだそれ?響きもいいかんじだな」
「そうでしょ?ずっと考えてたんだ。やっぱり魔王より響きいいでしょ」
「ひな様がそういうなら」
「……お姫様方参りましょうか」
片膝をつくポーズをとるレンさん。
「なんですかそれ?」
「似合ってますけど似合ってません」
皆で笑いながら足取り軽やかにお買い物に出かけます。
きっとこれからもこんな日常が続きますよね、みう!レンさん!
この物語は私自身がとても好きな方たちで進行していたので
いつも続きが頭に浮かぶのが楽しかったです。
彼らの物語はまだ続きますが、それをどういった形で続けるかは考え中です。
魔法やジョブ、スキル関係を再構築して続ける場合、「リメイク」となる場合があります。
その場合でもこの作品は残すので、これはこれ、として楽しんでいただけたら嬉しいです。
ブックマーク、感想等いただけるととてもうれしいです。励みになります。
評価の方もよろしくお願いします。
いつも読んでくださる方、本当にありがとうございます。
今日初めて読んでくださった方、いらっしゃいませ。
それでは次回作でお会いできることを楽しみにしています。
約一か月間どうもありがとうございました。




