24,【紫王】
今回もカスケードさん視点です
【 この章はカスケード視点での進行です 】
「……この人は?」
「誰だっていいでしょ?早く倒しちゃって!」
彼は霧で操られてるわけじゃないのか?レン君のように話が通じるということか。
「私はカスケード、ここにいる女、ジュリオンブルに父である王を連れ去られたものだ」
どうだ?
「王はいないのか?」
「私は連れ去ってなんかいないわ、ただ王の間からは退出いただいただけ、今あそこには誰もいない。儀式を行えないからあなたを再拘束はできないの、だから安心して?」
やはり王の間にはいないのか?それにしてもここまでへりくだるとは、どこまでの強さだ?
「そこの奴が王の息子よ。最後のお願い、これを聞いてくれたらどこへでも行ってくれていいから。あいつと外にいるレン、っていう王が呼び出した者を倒して」
「なるほど。俺を王にするのはもういいのか?」
「ええ、どこへなりと行ってくださいな、彼らを倒した後にね」
「待ってくれ、君の名前はあるのかい?」
「名などない。俺は王として呼び出された紫をまとうもの。それがどうした」
「君を解放できるかもしれない」
「……どうゆうことだ」
「私には説明できないが、仲間が来ればなんとかなると考えている。その前に、そこの魔女を倒したい」
ひなさんならおそらく名を与えられそうだ。
「あんたは王と同じ目をしている。いいだろう、少し待て」
「何を言っているの?あなたの敵はあいつよ?」
「あんたの条件は疑わしいからな。そこの王子は少なくとも嘘はついていない」
「くっ、生意気なガキね、……まあいいわ、ちょうど翼の効果も切れたようだし」
確かに私と翼の力、仲間たちから分けてもらった力も効力を失っている。
「紫の王よ、私たちと一緒に来ないか?」
「あんたはそこで見ていなさい、力を使い果たしたこいつなら私だけで十分よ」
ジュリオンブルが宝石をこちらに飛ばす構えをとる。
力の反動でさっきのようにはもうはじけないぞ。
「じゃあねカスケード、後で父親も送ってあげるから待ってなさい」
万策尽きたか。
「十分だ、力は溜まった。そこで待て」
「あんた何言って」
紫の彼が消えたかと思うと、一瞬でジュリオンブルの背後から手をふるう。
そのまま壁まで飛ばされ激突する。
「かっ、……あんた何様なの?あんたを作ったのは私よ?」
よく話せるものだ。宝石の鎧なしでの不意打ちだ、自身の強化も施していた、ということか。
「あんたたちに呼んでもらえたことは感謝している。ただ、俺は王を信用していただけだったのを忘れたのか?」
「くっ、もっと馬鹿だと思っていたんだが。そういうところがむかつくのよ」
ジュリオンブルは懐から小瓶を取り出す。あれはまさか。
「いい目ねカスケード。王と残りの従者全員ここにいるわ。そしてこれから、これを使って!」
瓶を黒い宝石でたたき割ると中の気配がすべて宝石に吸い込まれていく。
「ジュリオンブル、お前!」
宝石を一なめしてから口に放り込む。
魔女から噴き出す黒い霧が広間を覆いつくす
「これは最後の手段。私がレンを操るために用意しておいたものだったけど、もういいわ。あんたたちを消す!」
「初めからあんたの言葉は嘘ばかりだ、それくらいはわかる。王の目は信じるに値した。あんたが今それを消したなら、俺があんたを消す理由はそれだけでいい」
濃い紫の力を纏って手をかざす彼。
「二人して終わりよ、裏切り者ども!!」
黒い光が未だ残る黒い霧を飛ばして迫る。私の残りの力では――
「消えろ」
彼の手のひらからの一撃で黒い光が霧ごと吹き飛び魔女を飲み込む。
「お前……最初から最後まで……私には従わな」
再度の攻撃は細く速く、最小限の力で貫かれる魔女。
彼の単純な強さならレン君以上かな。敵に回らなくてよかった。
黒い霧になって消滅していくジュリオンブルを横目に彼に話しかける。
「ありがとう、助かったよ」
「本当なんだな?俺を解放できると」
「ああ、恐らくは。私は彼女たちの力を聞いただけなのだが」
「まあいい、そいつらが来るまでここで待つか?」
「いや、ジュリオンブルが完全に消えるのか確かめないと――」
視線をジュリオンブルのいた方に戻すもそこには何もない。
何も?確かレン君たちが攻略した遺跡から出てきたやつの霧を捕まえたのが私でしたよね。
ということはつまり
「今回も逃げられた、ということですか」
それでも今回は本体。逃げる先はおそらく呼び寄せているという娘のところでしょう。
いったいどこに潜んでいるのか。
「あの魔女に逃げられたのか?呼び出し主を消していた場合俺が消滅する可能性もある、と言われていたからな。俺としてはまだそれでいい」
なるほど、用意周到な魔女ですね。
「お前の仲間なら何とか出来るのだろう?集合場所はないのか?」
「決めてはないのですが……そうですね、遮蔽物のないところに移動しましょうか」
「それはそうだな。案内してくれ」
彼を連れて中庭に向かいます。レン君のことです、恐らくはその場所にも来れるようにしているはず。
――父上、見ていてください、必ず国を取り戻して見せます。
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