13,精霊解放
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光の雨が胴だけの雪だるまに降り注ぎます。
黒い霧が剥がれ落ちていくのが分かります!
レンさんが一気に相手に迫ります!
「いっけー!レンさん!!」
私の声が届いたのか、大きく跳躍した彼は回転し勢いをつけ丸い穴をなぎ払います。
――前方2つの核が割れた気配がします!
その勢いを維持したまま今度は落下に合わせてかかとを落とす体制をとっています。
側面の2つの核がある部分にかかとと左手に持った扇による攻撃が当たります。
――側面の2つの核が割れた気配がします!
4つの核を失った胴は内部に捕らえてある精霊を守るように2つの核をレンさんの前面に回しながら距離を取ります。
床に着地したレンさんがしゃがみ込みそこから一気に2つの核目掛けて飛び出します。
途中で一回転しながら扇を開きそのまま2つの核をなぎ払います。
――最後の2つの核が割れた気配がします!
精霊にまとわりついていた黒い霧が離れて上へ登っていきます。
逃がさないっ!私は逃げる方向に手を向け――
「よい、逃がしておけばいい」
レンさんが制止します。黒い霧は天井を超えて消えていきました。
「何でですか?今倒しておかないとまた何かにとりついてしまったら」
「ひなのほうが大事だ。問題ない」
[移動]してきたレンさんがいいます。
「何言ってるんですか、私は大丈夫――」
「一射目から[解析]を使い続けているだろう?限界でもおかしくない」
「そうでした……よく見えると思ったらそういうことだったんですね」
自分でも必死すぎて忘れていました。照れ笑いです。
でもちょっと待って?私レンさんに[解析]って名前教えたっけ?
初対面の時に使ったのを見られてはいたみたいだけど、あの時もあの後も[解析]とは一度も口にしていないはず。
……してたのかな?よく覚えていません。
「それよりこっちだ。この精霊を解放できるか」
「やってみます」
私はレンさんの指示に思考をやめ精霊の解放に集中します。
黒い霧と同じ嫌な感じのする膜のようなものの中にいる精霊を手に光を集めるイメージで包み込みます。
膜が消え中から精霊が出てきます。どうでしょうか?
「……ここは、私の神殿。黒い霧がなくなっています。貴方達が祓って下さったのですか」
「そうだ。あんたがここの神殿の精霊で間違いないな?」
「そうです、私がここ神殿の守護精霊。黒い霧を祓っていただき感謝します」
精霊さんが感謝してくださいました。どうやら成功したようです。一安心ですね。
「それよりあんた、あの中から魔物がでてくる結晶、いったい何だったんだ?どうしてあんたにまとわりついていた?」
「あれは魔物の核。あれを砕くと魔物を倒せるのですが、砕かず取り除くとその力を使役できる、とされています」
[解析]でみたとおりです。レンさんは知らなかったんですね、なら私と同じ[解析]は使ってはいない、と。
私は精霊さんに質問します。
「でもあれは人でした。魔女に変えられたと。どういうことですか?」
「魔女、と称される者がこの遺跡に黒い霧を送り込み、私を最深部に追い込んであの9つの核を用いて私を動力源とする魔物に造り変えたのです」
「あんたは魔女を見たのか?」
「いいえ、黒い霧を送り込んだのはそのものでしょうが私をここに追い込み魔物としたのは他の者たちです」
「たち?そいつらが魔女の部下か駒、ということか。何人でここに来たんだ」
「彼らは7人で黒い霧に覆いつくされたこの遺跡を制圧し魔物を放ちました。ここには1人の者が訪れ私をあのような姿に変えたのです」
「1人で魔物の核9つを使ったのか?いや、その1人は使いかもしれん。黒い霧での接合もそれならば説明がつく」
???どういうことですか???
「ひな、疑問が顔に出ているぞ。さすがにここまで霧を操れるものがそう何人もいてはたまらない。外から霧を送り込んだ者の気配と、ここに訪れた者の気配が違う、ということだな精霊よ」
「そのとおりだ」
はい、そこはわかります。大きくうなずきます。
「そんなものが2人、さらに部下も6人いるなら、今のこの都市の状況なら闘技会の最中にでも乗っ取れていただろう」
そうなんですか、ね??
「わざわざ闘技会の決勝のすぐ後にここに向かわせることで足止め、できれば始末してもらいたかったんだろう。黒い霧使い1人と霧を操れない7人では俺を相手しながらでは城を落としきれないと考えて、な」
え??
「ちょっと待ってください。私たちがここに来たのは遺跡を解放するためで、それは陛下との約束でみうを解放するためにで……」
私は記憶をたぐりよせます。
「陛下がたしか"もうじきこの城の近くの遺跡に魔が取り憑く。それを祓えたなら、そのものを解放しよう"って。レンさんの言っていたダンジョンもこの遺跡ですよね?それって全部預言なんじゃ」
「預言じゃなかったとしたら。俺たちが勝ったならここに来ることまで誘導していたのならどうだ」
「待って待って!だとしても陛下があなたを闘技会に参加させたのでしょ?星からよんだ、とか言ってましたし」
「陛下以外には都合の悪い呼び出しになった、ということなのかもな。その誰かに都合のいい記憶を持ち合わせていないようだしな」
「待って、預言じゃないなら預言者って何なの?なにをしていたの?」
「預言者は前女王の娘で現王の姪だな。現王には子がいたようだが数年前に追放されている。理由までは書かれていなかったが」
「あの時そんなことまで調べていたんですね。で、預言者は何をしている人なんですか?」
「魔術研究者、だそうだ。これでつながったな」
「そういうことなら早く戻らないと!みうを置いてきていますし。っと精霊さんはもう大丈夫ですよね」
私はなるべく急ぎます。そういうことならさっきまでのやり取りもいらなかったじゃないですか!
「そう焦るな、向こうはひなを見くびっているようだからな、陛下の条件から察するに早くても明日の夜明け前だ。今頃黒い霧が戻ってきてびっくりしている頃だろう」
そうなんですか?そうだといいですけど。
「で、遺跡の精霊よ、何か褒美はないか?能力付きがよいのだが」
「何言ってるんですか。私たちはみうの解放が報酬なんですからいいんです!早く戻りましょう」
あれからどれだけ時間がたったかわかりません、出来る限り急がないと。
ここで第一部終了です。続けて第二部が始まります。
登場キャラクターが増えていきますので期待していただければ。
もちろんレン様が最強なのは揺るがない、はず。
いつも読んでくださる方、本当にありがとうございます。
今日初めて読んでくださった方、いらっしゃいませ。




