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12,雪だるま

 通路を進んだ先、少し開けた空間に黒い霧が集まっているのを感じます。

 

 目の前にいるのは黒い霧をまとった巨大な雪だるまです。頭が天井に当たってます。

 「胴体に黒いのとは違うものを感じます。精霊さんだと思います」

 「わかった。無理のない範囲で補助を続けてくれ」

 「はいっ!」

 

 指示の後レンさんが駆け出します。

 雪だるまは鼻らしき部分から氷の弾丸を飛ばしてきます。

 それを回避して近づいていくのですが、今度は口らしき部分から吹雪と雪玉が飛んできます。

 

 私のところには吹雪しかきていないので、雪だるまは確実にレンさん一人を攻撃しているようです。

 見たところ鼻と口らしき部分はレンさんを常に中心にして狙っています。

 

 迫る雪玉を扇で落としながらなおも接近するレンさんですが、そこに吹雪で加速された氷の弾丸が襲い掛かります。


 「ああっ!」


 氷の弾丸が当たったのかレンさんが後ろに飛ばされます。それでも一回転して着地すると再び前進を続けます。


 何か私にできることは……

 考えている間にも何発もの氷の弾丸がレンさんに当たっています。

 補助をかけなおす歌を歌いながら、私は考えます。攻撃の手段を持たない私ができる何かを――


 "「お主は日の巫女。光の属性を得意としておるな」"


 ふと巫女試練の際に出会った精霊さんの言葉が頭に浮かびます。

 そうです!私光の巫女ですよ!後[解析]。なんで忘れていたの?


 私は雪だるまをじっと見つめます。黒い霧のその先を見るために。どこかにこの状況を乗り越えられるものが。


 

 その間もレンさんは接近していて雪だるまの本体に扇や蹴りでの攻撃を仕掛けますがあまり効いていないみたいです。勢いが吹雪でそがれているのでしょうか。


 

 私の[解析]が情報を示してくれました。胴に6つ、頭に3つの魔物の反応、それと胴内部の精霊に全体を覆う黒い霧。これらが一つに混ぜ合わさって一体の魔物のような姿をとっている、ということですね。

 胴と頭を分割できれば何とかなるかも。でもそのためには黒い霧を一時的にでも吹き飛ばさないと。

 これは私がやるしかないよね!


 「レンさん!私が雪だるまの黒い霧を吹き飛ばします。そのうちに胴と頭を切断してください!」

 吹雪に向かって叫びます。レンさんに聞こえて――


 大きな氷塊がレンさんに向けて放たれます。なんで立ったままなんですか?当たっちゃう……!

 「レンさんっ!!」



 「止まっていないと声が聞き取りづらかったんでな。まあおかげでここに戻る隙がうまれたのだが」

 「ひゃぁあ!」後ろから声?

 「[痕跡]への[移動]、遺跡内では行っていなかったが成功だな。で、上下をはなせばいいんだな?」

 「は、はいそうです。よろしくお願いします」

 ほんとにびっくりしました、やられちゃったかとちょっとだけ思っちゃいました。


 「俺はあの程度ではやられん。霧の方は頼んだぞ」

 「はいっ!」

 表情に出ちゃってたのかな私。


 雪だるまがこちらに気づき再びこちらに力を使おうとしています。

 私は再度補助をかけなおす歌を歌います。これで最後!

 レンさんが駆け出します。吹雪が襲い掛かります。


 私は霧を吹き飛ばせる光の力をイメージします。自分自身に問いかけながら。

 霧を光で……風で?違う、黒い霧だからいっそのこと祓っちゃう?なにで?

 いっぱいの矢で。私にできる?違う、やるんだ。レンさんが信じて走ってくれたんだから。


 雪だるまの体を正面に構えてイメージする。

 太陽の光をたくさん、黒い霧を祓えるくらいに!


 「太陽の矢々(レ・フレイシュドゥソレイユ)!」


 私の頭上にたくさんの矢が現れたのが分かります。これなら!

 「いけーっ!」

 一斉に矢が放たれます。雪だるまのちょうど上半分くらいに当たっています。黒い霧が祓われています!

 成功しましたよレンさん!


 「よくやった。あとは任せろ」

 こちらに声をかけると、一気に加速して飛び上がり胴と頭の間を扇でなぎ払います。

 その勢いで一回転し、天井に当たっている頭を蹴り飛ばします。


 床に当たった頭から鼻らしき部分がとれて中から出てきた結晶が割れます。

 すると狼の姿が浮かび上がり声を伝えてきます。


 ――核を壊してくれてありがとう。我々9人は魔女によって魔物に変えられ核を抜き取られ、ここの精霊と共に束ねられていたんだ。

 ――残りの仲間たちもどうか解放してやってほしい。まだ精霊は助けられるはずだ。


 「人間を魔物に?それであなたをそのようにした魔女とは誰ですか?」


 ――それ以上思い出せないんだ、すまない。もう時間のようだ。


 「そんな、待ってください」

 狼の姿の方は無事に天に召されたのでしょうか。


 レンさんが頭の残り2つの結晶、魔物の核を割ります。2人の方も天に召されることを祈ります。


 ――ボゥオオォー!!


 胴の方に丸い穴が現れそこから大きな音がします。

 衝撃がこちらまで伝わってきます。

 「くっ、もう一度だけさっきの矢のやつをつかえるか?」

 レンさんがこちらに[移動]して告げます。

 「私の矢が胴にはあまり当たらなかったから……ごめんなさい」

 「俺に当たらないようにしたのだろう?あれが最善手だったのだからよい」


 そう言ってレンさんが再び前進します。

 もう何度も氷の弾丸が当たっているのに、いつもの余裕を崩しません。

 無理してるんじゃないよね、私を信じてくれてるんだよね!


 もう一度、今度は両手を広げてもっとたくさんの矢をイメージ!

 角度をつけて胴全体に当たるように……放つ!


 「太陽の矢々(レ・フレイシュドゥソレイユ)!」


 お願い!今度こそ!

任務達成で一区切りですが、続きますのでお付き合い下さい


毎日訪れてくださる方、本当にありがとうございます!

新規の方、よろしくお願いします。

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