森に帰ろう
朝一、ギルドで薬草を納品してから惑わせの森にある家?隠れ家?に向かった。
どうせ、全力で走っても6時間以上かかる道のりだ。森を駆けることになれた一樹は、ふと昨日の昼食後に行った領主との話し合いを思い出していた。
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昼食後、ディブロス様の書斎に移動した。
一対一で対面に座り、机にはニ通の手紙がある。
「あのぉ…領主様?この手紙はなんでしょうか?」
本当は聞きたくない。聞きたくないけど聞かなきゃならない。あぁ嫌だ嫌だ!!
「これは、『神託』スキル持ちが聞いた創造神の言の葉を記したものだ。」
うわぁ…創造神様、余計なこと言ってないかな?平穏に暮らせなくなりそうなこと。
「一通は約一年前のもの、もう一通は十日ほど前のものになる。読んでみろ。」
「はい。拝借します。」
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【創造神】
世界の権力者に告ぐ。
近い内に異世界より『勇者』『聖女』『賢者』の職を持つ者が現れる。
その者達は異世界の知識を持っている。
権力、象徴、知識の奪取、どのような扱いをしても良いが、自由を奪うことだけは許さぬ。その自由の度合いは神のみぞしる。破れば神罰を覚悟せよ。
三者に対し、なにも使命を与えてはいない。御使いでもない。なにか困っていたら少しだけ手助けしてあげなさい。
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【創造神】
これから話すことをお主のいる領主に教えてやるがよい。いや…ここは書かなくても…まぁ良い。
さて、『勇者』と『聖女』は無事に現れ、他国が保護した情報は得ておると思う。最後の一人『賢者』じゃが、そなたの領内にある[惑わせの森]そこにいる。一年前から。
奴は他人との接触が苦手らしく、森で一人暮らしをすることを選んだ。そして職業に『賢者』を選ばなかった。
さて本題だが、奴は近々人里に降りるらしい……面倒だとは思うが一度接触しておきなさい。そして、人と成りを確認して、問題なければ囲わずそっとしておいてやって欲しい。
『勇者』と『聖女』のことがどのように伝わっているかは分っておる。
しかし、奴は…まぁ……問題はなかろう。余りイジメてやるなよ。
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なんだろ……かばってくれてるのか、行き過ぎた過保護な親のようなものなのか…とにかく恥ずかしい。
一樹は恥ずかしくなり両手て顔を隠した。
「さて、全て読んだようだな。単刀直入に聞くが、お前が『賢者』だな?」
ディブロスは確信したかのようにぶっ込んできた。
これには一樹も諦めた。
「そう…ですね…。恐らくは『賢者』候補だったものです。神様と会い、異世界に送ってくれたことは事実です。」
一樹の発言を聞き、ディブロスはホッとした。
「やっと見つかったか…長かった。」
「あの…なにかあったので?」
「ん?あぁ。『勇者』と『聖女』がもたらした物が良くも悪くも、影響がおおきかったからな。」
聞いた話をまとめると、
【勇者の場合】
①勇者の個人ダンジョンは不死のダンジョン
②ダンジョン内で死亡しても装備品1つだけロストし、入口近くの小部屋に復活
③安全であるから冒険者が殺到
④王都周辺のモンスターを間引く人が減る
⑤スタンピート発生
⑥勇者のせいだ!!
【聖女の場合】
①聖女の個人ダンジョンは食料のダンジョン
②穀物、肉、果物が採ってもすぐに生えてくる
③無料で開放したため、人が殺到
④王都の農民、穀物を輸送する商人の商売が成り立たない
⑤民衆による反乱が勃発
⑥聖女のせいだ!!
と、いうことがあったらしい。
バカじゃないの?
「勇者と聖女は他国に現れ、直接、我が国に被害がないからよいのだが…我が国を含めて周辺諸国は『賢者』を探すために色々と無茶を……な。」
な、なるほど………俺も迷惑をかけていましたか。
「すぐに人里に降りなかったために迷惑をお掛けしましたことお詫び申し上げます。」
「謝るほどではない。こちらが勝手に人探しをしただけだからな。ただ、申し訳ないが、一度は王都に行き王に会ってもらうことになる。」
えぇ!!スッゲー面倒くさいんですけど。よし!森に引きこもろう。
だが、ディブロスの一言でそれも叶わないと知る。
「王に『賢者』を保護したことを報告しなければならん。直接な。」
「強制?」
「強制ではない。強制ではないが勇者や聖女の問題もあるからな。他国との関係や貴族間の政治問題、今ならそこそこ力のある儂が力を貸せるぞ?。」
「それって脅迫といいません?」
「言わん。神が三人一括として説明したのだ。そのくらいは自国防衛だ。」
はぁ...神様何してくれてんのさ。
「わかりました。いつ頃になりそうでしょうか?」
「早くても1ヶ月後だ。決まり次第、冒険者ギルド経由、もしくは、爺を使いに出す。それまで自由にしてくれ。」
おっ?!1ヶ月あれば買ったスキルと、もらったスキルで自己防衛出来る何かや、新しいお土産が準備出来そうですね。
「わかりました。」
「あと聞きたいことが3つある、答えられる範囲で答えて貰いたい。一つ、個人ダンジョンを所有しているなら何処にあり、どのような特徴のダンジョンなのか。一つ、神様から何かしらの使命を受けているのか。受けているならば、我々の助けが必要であるか。一つ、これは2つ目と似たような質問になるが、今後何をしたいのか、だ。」
デイブロスは質問するたびに指をたてた。
報償を出したりして、敵対関係ではないことはわかったが、勇者や聖女のこともあり心配なのだろうか?
「問題ないので答えます。まず、個人ダンジョンは所有しています。場所は惑わせの森にある拠点のすぐそばですね。森の奥にあるのでファシアの民が被害を受ける確率は低いと思われます。」
そういうと、デイブロスは安心した表情をうかべた。
「そうか、それは安心した。攻略済かい?」
一樹は首を横に振るう。
「まだです。まだ、半分も攻略してないですね。」
「ほぉ。そんなに難易度が高いのか?」
「いいえ。難易度は2。全階層は10ですね。」
デイブロスはとても驚き、まくし立てながら喋ってきた。そんなに驚くことかな?まぁ物語の主人公なら、こんなダンジョン一瞬だろうが、生憎こちらは一般人なのさ。時間をかけてコツコツと。
「難易度2だと?階層の数は多いが、1年あれば攻略できたであろう?」
あぁ。そうですよねぇ...
「普通はそう思われますよね。ですが、私は生産に特化していますので、戦闘はからっきしなのです。もともといた世界で、格闘技を習ったわけでもないですので訓練が必須でした。まずは、安全第一!1階層のゴブリンで殺生になれ、2階層のスライムで魔石を集め、3階層のウルフで集団戦闘を特訓しています。」
「ほぉ。話しを聞くと利にかなってる気がするな。4階層以上はどうだ?」
「まだ行っていません。なので、何が出るかは..」
「わからないか。まぁ良い。その程度のモンスターしかでないなら問題はない。しかし、昔の研究者の中に『個人ダンジョンは、発見者が新たな階層に初めて降りた時、心の深層にある願望が具現化したものではないか?』と記した者がいる。用心しなさい。」
「あ、はい。」
えっ?まじで?そんなこと言われたら意識しちゃうじゃないか!!エロサキュバスとか出てくんのかな?楽しみだ。
「2つ目、3つ目の質問ですが、使命はありません。自由にしていいと言われています。なので、森に住み、生産し、それをファシアで売ってのんびり生活していく予定です。」
目指せ!スローライフ!生産、釣りに農業!たまにダンジョンでレベル上げってね。
「ふむ。わかった。何かあったら私を訪ねるか、報酬で渡す屋敷にいる執事に言いなさい。力になろう。」
おぉ!心強いお言葉!まっ!貴族様だし、社交辞令だろう。あまり期待しないでおくか。
「ありがとございます。」
「最後になるが、もしエルフの村の生き残りを発見したときには救助してやってはくれぬか?」
ん?伯爵様は、俺がエルフ達を助けないとでも思ってるのか?
「もちろん助けるつもりです。同じ森に住む先輩で、教えて貰いたいことも多いですから。」
「あぁ。助かる。3度目の捜索隊を送る予定だが、森が広いこと、都市がまだまだ不安定で、森の奥まで捜索出来ていない。見つけたらでいいので宜しく頼む。」
おぉ..これは遠回しに探せってことでしょうか?権力者の考え方は分かりませんね。
「分かりました。」
そう言って、部屋をあとにしました。
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「いやーあのときは緊張したなぁ。敬語とかちゃんとできた気がしないけど…怒られなかったし、別にいいよな?」
一樹は、誰に許して貰おうとしてるのだろうか?
「まっ!どうでもいいや!都市で買えるものや、売れそうなものもわかったし、あとはやりたいことやるぞぉー!!」
一樹は全速力で拠点へと走って帰った。
『目には目、歯には歯』
与えられた害に対して、同じような仕返しをすること




