報告⋅連絡⋅相談
「さて、エスタ達は故郷の話だから聞きたいのはわかるが、そこの変な格好のやつは誰だ?」
なんだと?!モンスターを狩りするゲームなら初心者御用達の見た目に改造したのに?!
ウィルゴートはため息をつきながら答えた。
「はぁ、こいつは一樹。エルフの村の跡地にいたから連れてきた。」
「「「!?」」」
「跡地か…ダメだったのか?」
「あぁ…生存者は0だった。そうだな?」
俺にふるか…説明込みでしろってことかな?
「はい。村の中は0だと思います。けれど、襲われる前に逃げている人達がいた場合、0ではないですが、可能性は低いかと思われます。」
「なるほどな。それで?お前さんは誰なんだ?なぜエルフの村に?」
「ええっと…そうですねぇ…誰と言われても…ウィルゴート様から紹介された通り名前は一樹。あの森の中で一人暮らしをしています。で、先日、そろそろ人里に降りようかな、と思っていたときエルフの村を見つけました。まぁ見つけたのはいいのですが声をかけることはできませんでした。」
「なぜだ?」
「恥ずかしくて逃げました。ハハハ…」
「………」
仕方ないじゃないか!!初対面で話すには勇気と希望が必要なんだよ!!
「ゴボン!で、後日勇気を振り絞って交流しようと思った朝に変な声が聞こえました。崖に登ってみると、遠くに飛竜らしき物が火を吹いているのがわかりました。その場所はエルフ村があったと思われる場所でした。移動の準備は済ませてありましたから急いでエルフ村に行きました。」
「なぜだ?相手は飛竜、今回はワイバーンだったが、助けに向かうほどお前さんは強いのかね?」
「弱いですよ?真剣に戦ったらリミア様よりも弱いと思いますよ。」
リミアがなにか言いたそうだったが無視だ。
「ならばなぜ…」
「人恋しかったのと、せっかく勇気を出して一歩踏み出そうとした日に邪魔されたんですよ?ぶっ殺したくなるでしょ?」
「そ、そうか…」「ハッハッハ!!」
ウィルは爆笑だったがそれ以外はキョトンとしていた。
「でですね、俺が着いたときにはワイバーンはいませんでした。村中が燃えて瓦礫の山でした。それでも生存者がいるかもしれないと思って走り回りました。結果は先程言ったかと…で、このままにいておけないと思って、村の火を消し、死体を集めてて焼き、石碑を立て、遺品になりそうなものを集めて石碑の周りにお供えしましたよ。村人と飲むつもりだったお酒も一緒に…」
「途中から大分端折ってたが、詳しく言うつもりはないんだな?」
俺はニコッと笑った。
「そうか…ウィル合ってるか?」
「あぁ、おそらくだがな。だか、こいつが言った通り、村はある程度綺麗にされて死体は無かったし、中央広場にデカくて立派な石碑がある。【勇敢なる村人 ここに眠る】だったか?」
「おい!!!」
恥ずかしいから読むんじゃねぇよ!!自家製ポエムを読まれたような恥ずかしさが出ちゃうだろ!!
「そうか…モンスターに亡骸を荒らされる前に弔ってくれたのか…ありがとう。」
「「「ありがとう!!!」」」
エルフ3人組にもお礼を言われてしまった。頑張ったかいもあるな。
「エルフ村に付いてはだいたいわかった。ウィル、領主様はどう動く?」
「まだわからん。手紙は出したがファシアについたらすぐここにきたからな。」
「そうか。あとなにも無ければ、すぐ領主様に確認をとってくれ。」
「わかった。倒したワイバーンは?」
「ちゃんと運んで、解体して、保存してある。ギルドに卸してくれるよな?」
ギルドマスターはニヤリと笑った。正直不気味だ。
「多分な。あとそいつが【殺人鬼 ゴーザ】を殺してる。「「「「!?」」」」領主から連絡がくると思うから指名手配の廃棄と褒賞金の用意だけしといてくれ。」
やたら驚いていたがそんなに凄いやつだったのか?とてもそうは思えなかったが。
「わかった…エスタ、ペティオ、ラファール、絶対に今聞いたことを洩らすな。1人でも喋ったら冒険者ギルド除名するからな。」
ギルドマスターが殺気を纏い睨みつける。
怖い…スキンヘッド+眼帯はヤバイね。
「「「は、はいぃぃ!!」」」
「よし、なら3人は退室しろ。行け…」
「「「し、失礼しましたぁぁぁ。」」」
3人は慌てて出ていった。
「さて、さっきは領主様への確認を急がせたがウィル達も少し話を聞いてくれ。もしかすると、領主様への報告が増える。」
「…わかった。」
リミアとダン爺は無言だが、ウォルの意見に従うらしい。
「よし、では一樹といったか?ゴーザのアジトの物は回収したか?」
「あぁ…殺すのに毒を使ったから酒や食い物は廃棄したが、ギルマスも斧が欲しいのか?」
「違う。俺が欲しいのは『ダンジョン生命石』だ。」
「ダンジョン生命石?」
なんだろ?それがあればダンジョンを作れるのかな?
「あぁ。ダンジョンの最下層もしくは、最上階にあるものなのだが、それが無くなるとダンジョンは死ぬ。故に、ダンジョンモンスターが生まれなくなる。」
おぉ。当たらずとも遠からずって感じかな。
「そうなのか。あるかもしれないが、それがどうした?」
「やつらは領主様が所有するダンジョン、『原初のダンジョン』を殺した可能性がある。」
「「「!?」」」
ありゃりゃ?いや〜な予感がしますよ?とってもめんどくさそうな。だって、『アイテムBOX』にありますもん。『原初のダンジョンの生命石』って玉が!!
そこら辺にポイして逃げたらダメかなぁ。
「やつらはダンジョンを警備していたリゲル殿達パーティーを殺害後、ダンジョンに侵入、攻略し『ダンジョン生命石』を奪った。その後、リゲル殿の武器『炎斧』に対となる『蒼斧』を盗む者と脱出するものに別れて行動し、惑わせの森に潜伏した。と、領主様から連絡、対応の手紙があった。もしかすると、ワイバーンも…」
「!?兄上の死は知っているが殺ったのは本当にゴーザなのか?!ダンジョンも?!」
「ワイバーンはまだ確定ではないが、十中八九やつらの仕業だろう。」
「…ダンジョンが死んで何日たった?」
「約20日。聞いてないのか?」
ウィルはため息をつき、聞いてきた。
「あぁ。詳しくは聞いていない。一樹、『ダンジョン生命石』は人の頭ほどのガラス球だ。原初の場合、中に赤と紫の煙が渦巻いてたはずだ。あるか?」
ありますよぉ。はぁ……巻き込まれ案件が多すぎる。
「これですか?」
「確かにそれっぽいが…アイテム鑑定を持ってるのがいないからわからないな…」
「ウィル!それを受け取って、領主の元へ走れ!そろそろ都市を支える魔石が足りない!!」
ウィルはギルドマスターの発言に驚いていた。
危ないとはなんだろうか…
ぼぉっとしていたら、ウィルが頭を下げてきた。
「一樹すまないが、『ダンジョン生命石』を今すぐ渡してくれないか?ーー「ウィル!そんな悠長な…」ーー黙れっ!!ー「!?」ー一樹には既に、兄上の仇討ちをしてもらった恩、エルフ村の恩、家宝の『炎蒼の戦斧』まで渡して貰う約束をしている!!その恩を少しも返すことなく、次は辺境都市を救うために『ダンジョン生命石』を渡せと言わせるのか!!?急ぐことはわかっている!だが…」
ウィルゴートは混乱していた。一度に情報が多すぎたのだ。ゴーザが短期間に犯した犯罪の数が数だけに、討伐した一樹への恩も数が多すぎるのだ。
一樹はウィルゴートの肩に手を載せた。
「よくわからんが、急いでいるなら恩など1度忘れろ。貴族として成すべきことを成せ!!」
ウィルゴートは驚いていたが正気に戻った。
「わかった…一樹!貴族として、辺境都市を統治する者の息子として、言わせて貰う!『ダンジョン生命石』を渡してくれ!!」
まだ少し自分自身が納得していないようだった。
「締まらねぇなぁ。ほら、持ってけよ。」
「すまない…」
ウィルゴートとリミアとダン爺は冒険者ギルドを飛び出して行った。
そして、部屋には一樹とギルドマスターが残された。
「さて、ギルドマスター様?いろいろと教えていただけますかね?」
一樹は気味の悪い笑みを浮かべた。
『廃れ者なし』
世の中には、全然役に立たないという人はいない。
どんな人でも必ず何かの役に立つ




