辺境都市ファシア
ついに辺境都市ファシアに到着した。
門の入り口は3ヶ所あり、『冒険者用』『一般人用』『貴族用』にわかれていた。
一樹達を乗せた馬車は貴族用の入り口に向かい、門番が止めることなく門を通ろうとした。さすがは領主の紋が入った馬車だ。
しかし、ウィルゴートが完全に門を通過する前に馬車を止めた。そして、門番長を呼んだ。
「すまないが、この手紙を領主の元に届けてくれ。」
「畏まりました。」
門番長は周りにいた門番に一言言ったあと、かけていった。
「爺!冒険者ギルドに向かってくれ。」
「畏まりました。」
馬車はゆっくりと動き始めた。
わくわくしながら都市の風景を楽しんでいると、ウィルゴートが話しかけてきた。
「一樹よ。隠したいのはわかっているが1つ聞きたい。」
一樹はドキッとした。急に雰囲気が変わったのだ。真剣聞くか迷っていたが覚悟を決めた感じであった。
「はい…何でしょうか?」
「お前がステータスを偽っているのはユニークスキルが原因か?」
??
「…なんのことでしょう?ステータスをーー「ステータスがオール1でもか?」ーーえっ?」
ウィルゴートは喰い気味に告げた。そして、
「貴族の『人物鑑定』は相手のメインレベル、職業、ステータスがわかる。なにも言わずに鑑定するのはマナー違反だがな。しかし、俺のユニークスキル『真実の眼』ーー「兄上!!?」ーーよい。一樹とは対等でありたい。ならば、こちらの手の内も見せるべきだ。」
わかるけど!!わかるけど絶対めんどくさいことに巻き込まれたじゃん!!いきなりだったから回避できませんでしたよ?!!
「…なぜですか?」
「ここのままでは面倒ごとに巻き込まれるぞ?父に謁見するような人物を、他所の貴族が興味を持たないはずがない。貴族は『人物鑑定』が出来るんだからとりあえず見てくる。すると、ステータスオール1。こいつは何者だ?と、ならないか?」
なるぅぅ!絶対なりますよぉぉぉぉ!!!
「ユニークスキルでイジっているならギルドに着く前になんとかしろ。それだけで3つあることはわかっているユニークスキルの2つ目が大体わかる。お前の為に貴族のことを教えたが、それでは少し聞きすぎだと思ってな。だから、俺のユニークスキルを教えた。名称のみだがな。」
なるほど…理由はわかったが、ステータスを偽っている?オール1?そんなバカな。だが、向こうもカードを切るなら面白い。
「そうですか…では、警戒されているようなのでユニークスキルをあとの2つ、教えておきますよ。」
「「!?」」
「いいのか?」
いいのですよ。全て教えるつもりもありませんがね。
「問題ないですよ。元々、戦闘系ではないですし、偶々ですが『エルフ村』のことと『魔斧』のことがあるので、ユニークスキルが3つあるやつの後ろ盾くらい、なってもらえますよね?」
一樹は嫌らしい笑顔を向けた。それを見たウィルゴートは深いため息をついた。
「わかった。後ろ盾になってやる。チッ…」
「ウィルゴート様?口が悪いですよ?」
「俺は貴族であるが、冒険者でもある。ずっと貴族のように話してられるか。」
ウィルゴートは拗ねてしまったらしい。リミアとダンハの笑い声が聞こえる。
「そっか…冒険者なら敬語はいらないよな。ーー「てめぇ…」ーーでだ、俺のユニークスキルだが、『鑑定EX』『生活魔法EX』『アイテムBOX』だ。」
「「「はっ?」」」
「俺のユニークーー「聞こえなかったわけじゃねぇよ!」ーーさいですか…」
「しかし、ぼっちゃま、『隠匿系』のスキルでないとすれば…」
「あぁ…恐らく、俺と同じ理屈で『鑑定EX』が邪魔してる可能性が高いな。…ってか、EXってなんだ?」
「えっと…EXは、普通の鑑定より凄い!生活魔法凄い!みたいな感じですかね?それよりも鑑定が邪魔をしてるのですか?」
ウィルゴートが頷くと付けていたネックレスを渡してきた。
「これは『罪偽のネックレス』。罪偽とあるが、罪を偽ることではなく、ステータスにあるレベルや能力の数値のみを偽ることができる。それをやるから好きな数値にしておけ。ただし、高すぎても低すぎてもマズイからしっから考えろよ?」
ウィルゴートの口角が片方だけ少し上がった。
しかし、好きな数値ですか…俺のSTRを知っている人、手を上げてみ?
……仕方ない。リミアのステータスを参考に作るか。
「そういえば、ウィルゴート様もステータスがオール1に表示されるのですか?」
「今更敬語は気持ち悪いな…俺の場合はランダムだ。ユニークスキルの『鑑定』が人物もいけるなら俺の数値がネックレスをつける前とはちがくなっているのがわかるはずだ。」
そう言われて『鑑定EX』で確認するとメインレベルは60台、職業レベルは20台、ステータスは200台になっていた。とてつもなくあべこべな数値を示していた。
「毎回ウィルゴート様のステータスは違うのですね。そうなるとウィルゴート様もネックレスが必要なのでは?」
「やっぱ気持ち悪いな…呼び方はウィルでいい。様も不要だ。冒険者でをやっているときは敬語は使うな。あと、ネックレスに関しては心配不要だ、予備が家にある。そして、貴族ならこの効果を知っている。」
んん…高そうだがもらっていいのだろうか?
しかし、気持ち悪いって…失礼な!!貴族様だからちゃんとしてたのに。
ネックレスを首に付けて触れると、ステータス画面が出てきたのでリミアのステータスを参考に造った。
「じゃあ、私も敬語いらないからね?リミアでいいよ!!」
「畏まり……わかったよ。リミア。」
「うん!」
なんか2人のキャラがエルフの村で会ったときと違う気がする…なんでだろう。
「フォッフォッフォ♪では私は爺、もしくはダン爺と呼んでくだされ。」
「わかったよ。爺ちゃん!」
ダン爺でもいいんだが爺ちゃんがしっくりくるんだよなぁ。怒らせたら怖そうだしやめといたほうがいいかな?
「お前は…これでも爺はS級ランク保持者だ。あんまり馴れ馴れしくすると、後ろから爺崇拝者に刺されるぞ。」
「えっ?!」
「フォッフォッフォ♪昔の話ですよ。そろそろ冒険者ギルドにつきますよ。」
少しすると、馬車が止まった。
ここが冒険者ギルドかぁ。なかなか大きな建物だな。おっ?ガラス窓だ!!1年頑張ったけど、作り方分からなかったんだよな。作り方おしえてくれないかなぁ?
ギルド前でボケッとしていると、ウィルゴートに呼ばれた。
「一樹行くぞ!ギルドマスターに報告を手伝って貰いたい!」
「はい!すぐ行きます!」
ウィルとリミアと馬車を預けたダン爺が建物に入っていったので、あとを追った。
3人の後ろに付いていくと、隣接している酒場から知らない3人組が飛び出してきた。
「ウィル!!!村は無事か?!」
ウィルは首を横に振った。
「そうか………」
3人は悔しそうに泣いた。
「今からギルドマスターに報告するところだ。悲しいだろうがお前ら3人にも聞く権利はあると思う。来るか?」
3人は頷いた。
ウィル達は受け付けへといき、ギルドマスターへの面会を頼んだ。
しばらくすると、応接室に向かうよう指示された。
応接室と書かれた扉をノックすると「どうぞ」と言われたので中へ入ると、スキンヘッドの筋肉ムキムキ眼帯男がいた。
「おぉ!ウィル!早かったな。無事エルフの村には着けたのか?」
「当たり前だ。エルフの村はC級保持者が行ける様な場所だぞ?森の奥深くにある崖を登らなければ行けないわけがないだろ。」
「それもそうだな。ガッハッハ!」
暑っ苦しいおっさんだ。しかし、崖とはやっぱあの崖か?
『人を鏡とせよ』
他人の言動の良し悪しを見て、自分の行いを正す手本とせよ、ということ。




