いざ!辺境都市へ②
都市を遠くから見て感動していると、ウィルゴートがダンハに指示を出していた。
「爺、馬車を出してくれ。」
「かしこまりました。ディメンションホーム!」
すると、空間が裂けた。その中にダンハが入り少しすると、2頭の馬で引いた馬車と共に出てきた。
「く…空間魔法?」
ダンハの行動に驚いていると、
「違う。爺の使っているのは術だ。『空間術』魔法と似ているが違うものらしい。爺から何度説明されても違いがわからなかった。」
なるほど、とりあえずスゲーことはわかった。
ダンハは御者として席についた。
「皆様、準備ができました。乗って下さい。」
二人は馬車に乗り込むが一樹は外にいた。
貴族様と箱の中だと?無理だ。
「私は外で歩きます。護衛ということにしてください。」
と、言ったのだが、ウィルゴートに却下された。
「いや、お前はまだ身分証を持っていない。都市に着いたとき門番に説明するのがめんどくさい。乗れ。」
有無を言わさぬ雰囲気があった。ビビりながらも馬車に乗ることにした。
「かしこまりました。失礼します。」
馬車に乗り込み座った。
「では、出発いたします。」
馬車は辺境都市へと向けて走り始めた。
ウィルゴートを見ると手紙を書いていた。酔わないのかな?
「手紙を書きながらですまんが、今後の話しをしたい。まず、ファシアに着いたらすぐに冒険者ギルドに向かってもらう。で、依頼を出していたエルフにことの顛末を説明する。その後だが…入るギルドは決めたか?」
「いいえ、まだ決めてません。」
「そうか、無難なのが冒険者ギルド、入会費と年会費が高いのが商人ギルド、クズの集まり薬師ギルド、貴族の紹介が必要な執事ギルド、どうする?」
説明の仕方途中可笑しくないか?!ってか、手紙書きながらこの説明って凄いな…
「あのぉ…薬師ギルドはなぜクズなので?」
「ああ…奴らは金の亡者なんだよ。自分達のことしか考えない……買う金がないのであれば、死ねばいい!!そう平気で口にする奴らだ!それだけでなく、ギルドに登録した見習いの薬師を育てようと、教えようとしないのだ!下が育てば自分の儲けが減るからな!!」
段々口調が荒くなってきた。
ウィルゴートは大分不満が溜まっているようだ。
「兄上…」
「わかっている!例えやつらがクズでもポーションは必要で、薬師しか作れないものもある!作り方を秘蔵されては打つ手はない!!だが、高額なポーションに手を出して奴隷になるやつが、あとを断たないのも事実なんだ!」
ウィルゴートは怒りを爆発させていた。
現状に不満はあるが改善方法がわからない。
見習いを育てないか…これでは薬の発展が見込まれないな…
「ウィルゴート様、見習いの薬師、またはポーションを国の管轄にできないのですか?」
「難しいな…薬師はメインレベル10で誰でもなれてしまうからな。ポーションに関しても出来ない。やつらの裏には、高位貴族と繋がっている可能性が高い。もしポーションの値段などを操作しようとすると、薬師どもの反乱が起こるのはわかっている。余計に強くはでれないのだ。」
なるほどなぁ。一極化したことによる弊害だな。ならば、
「では、ウィルゴート様が育ててみては?」
「「はっ?」」
「長い時間はかかりますが、まず薬師ギルドとは関係ない『薬師』を育てます。そして、ウォルゴート様と同じ思想の方と結託し、新たなギルドをつくります。そうですねぇ…『薬ギルド』や『ポーションギルド』なんてどうですかね?そこでは、積極的に見習い薬師に技術を教え込みます。恐らくこれだけで、2極化し、ポーションの値段は下ります。」
「「なるほど…」」
「問題としては①見習い薬師がうまく育つ保証がない②他のギルドの上層部もクズだった③薬師ギルドにバレた場合、育てている者が暗殺される可能性がある④新たなギルドを作ったあとも暗殺される可能性がある⑤お金と時間がかかる⑥そもそも新しいギルドを立ち上げてもいいのか。今パッと浮かぶのはこのくらいですかね?」
「確かにそうだな…この計画を進めるなら慎重に動く必要があるな……」
「ところで、筆が止まってますが手紙は宜しいので?」
「あぁ、そうだったな。」
ウィルゴートとしては続きを話し合いたい所だか、話しを切られたため手紙を書くことに集中する。
静かな馬車の中は手紙を書く音だけが鳴っていた。
それから外を眺めていたがなかなかつかない。なので、御者をしているダンハに聞いてみた。
「あのぉ…ダンハ様…あとどのくらいで着くのでしょうか?」
「そうですのぉ…このペースじゃと30分程ですかのぉ。」
結構かかるな…お尻が痛い……異世界あるある『馬車改造計画』をやるべきかもしれない…
小説の主人公が当たり前のようにサスペンションを作り、改造するが、設置する個数や固さ、場所で色々変わるから素人には無理だと思う。何度もトライ&エラーを繰り返せば出来るかもしれないが、すぐにはできない。欲しいのは現在進行形なのに。トホホ…。
森をでてすくに見えた門に全然着かない。めちゃくちゃでかいんだな。
バカなこと考えていたとき、ふと盗賊を殺したことを思い出した。
ウィルゴートは手紙を書くのが忙しそうだからリミアに聞く。
「リミア様、1つ聞いても宜しいですか?」
少し改まって聞くことにした。
「どうした?」
「実は、数日前に職業が盗賊の者を殺しました。」
「なんだと!?」
「森で襲われたので返り討ちにしたのですが、戦闘中に『俺たちの親分は殺人鬼の職業「「なに!?」」持ちだぞ。こんなまねしてただで』と、言ったところで殺しました。(半分嘘だけど)」
「それは本当か?」
またも筆を止めて、黄金の瞳で睨みつけてきた。恐らく『真実の瞳』だろう。怖い。
「はい。アジトらしき洞穴も見付けたので毒の煙を中に入れて、石碑に使ったような大きな岩で入り口を塞ぎました。そして翌日に岩を退けたら合計7人の死体の出来上がり。1人やたらと大きな男がいたのでそれが殺人鬼かと。」
「嘘はないか…」
「兄上…」
「あぁ…先程の質問だが職業が犯罪職の者を殺しても問題ない。生きて捕まえれば懸賞金がでる可能性があるくらいだ。死体はどうした?」
「エルフの村で村人と一緒に焼きました。死ねば皆同じ、そう思ったので。」
「なるほどな。死ねば皆同じか…実はだな、殺人鬼だった男は私の兄を殺して指名手配されたやつだったかもしれん。なにか証拠になるようなものはないか?」
証拠…アジトからかっぱらったものは全て『アイテムBOX』に入っているが会話したわけでも決闘したわけでもないから、装備品もわからん。…装備?
回収した中に存在感の強い武器があった。
「そいつの物かはわかりませんが、これはどうでしょう?」
『炎蒼の戦斧』(魔斧)を取り出す。炎斧と蒼斧で二本一対のアーティストだ。アーティストはダンジョン産のアイテムらしい。鑑定さんが教えてくれたんだ。貴重らしいよ。
「これは、炎蒼の戦斧?!炎斧は殺されたリゲル兄さんが所持していたものだし、蒼斧は別の兄さんのとこから盗まれたものだ…確定だな。このことも手紙に書かなくては…すまないがこの斧は一樹が持っていてくれ。領主との面会時に出して欲しい。」
「かしこまりました。」
そういって仕舞ったが、面会の時って刃物厳禁じゃないのか?
そろそろファシアに着くので思ったこと言っておこうと、御者のダンハに声をかける。
「あのぉ…ダンハ様…ディメンションホームの中に多くの荷物や食料を入れれば、もっと快適な旅が続けられるのでは?」
「「「!!?」」」
3人とも気づかなかったらしい。
『口弁慶』
口はすかこぶる達者だが、まるっきし弱虫なやつ。




