いざ!辺境都市へ①
炊飯器だけ残し、片付けを終え、3人のほうを見るとウィルゴートとダンハは食べ終わっていた。
席に座って果実水を飲むと…
「俺はなにをしているのだ!?!森の中で肉料理!?!!朝めしでガッツリ?!辺境都市に行くんじゃねえぇのか?!!しかも!自分の分忘れてた!!」
「「「!?」」」
3人はビックリしていたが話しを続けた。
「あっ…取り乱して申し訳ありませんでした。私はもう冷静です。食べながらで申し訳ありませんが、今後の話しをいたしましょう。私は落ち着いている。そう、Be Cool。」
おむすびを出して食べた。
「そ、そうか…ではそうするか。実は、あと1時間ほど走れば「ご飯おかわり!」…すまない。まだあるならリミアにあげてやってくれ。」
「かしこまりました。」
一樹のおかしな状態は腹ペコキャラのリミアによって有耶無耶になった。かな?
「さて、辺境都市に着いたらすぐに領主と面会…はすぐには無理か。数日以内に面会して欲しいのだが問題あるか?」
「問題ですか?私は敬語が不慣れなので領主様を怒らせてしまう可能性があること。あっ!辺境都市に入るための身分証が必要でしょうか?必要なら不味いですね。入れません。あとは、森暮らしでしたので、常識が皆無ですね。今すぐ気付いたことはこのくらいですね。」
「ふむ。まず敬語に関してだか、面「おかわり!」…リミア、後でお話しがあります…」
「はい!ごめんなさい!おかわりいりません!お腹いっぱいです。ありがとうございました!!」
わぁお…お兄ちゃん怖いね…こめかみピクピクしてるですね。妹ちゃんは直立不動でプルプルしてるよ。不動ではないね。爺ちゃんはニコニコよ。止めて欲しいあるね。
「愚妹が失礼した。敬語の話しだったか…面会に関しては今話している感じで問題ない。もともと冒険者は敬語がてきないやつが多いしな。一様、前もって連絡はしておこう。身分証は…爺!」
「はっ!」
「なにか手段はあるか?」
「今回ファシアに入るときは、我々と共に入れば問題ないかと。しかし、長期滞在、1度都市を出た場合問題かと…」
「なるほど…ならば、一樹。冒険者ギルドにでも登録すればよかろう。」
おぉ!!テンプレですねぇ。やっぱあるかぁ…
「兄上!商人ギルドの料理部門がよろしいかと思います!」
「はぁ…この愚妹が…胃袋を掴まれおって…」
さすがは腹ペコキャラだな!外さないぜ!
そして、さすがは日本が誇るブランド米だ!業務用米とは一味も二味も違うな。
「ウィルゴート様、ギルドは複数の種類があるのですか?」
「そうだな。商人ギルド、鍛冶ギルド、薬師ギルド、テイマーギルド、執事ギルド、少し特殊なのが奴隷ギルド、これらの中心に冒険者ギルドがある。」
ドキッとした。奴隷がいて、そのギルドがあるとは…
「奴隷…ギルドですか?」
「あぁ。奴隷はわかるか?」
「はい。なんとなくですが。」
「では、少し説明しようか。奴隷には【戦争奴隷】【借金奴隷】【犯罪奴隷】【没落奴隷】【終身奴隷】などがある。」
説明によると、
【戦争奴隷】
:負けた国が勝った国への賠償として渡された奴隷、基本的に人質であるため貴族が渡され、国が管理する
【借金奴隷】
:冒険者が依頼失敗に違約金を払えない
:ギャンブル
:治療代(ポーション、回復魔法)が払えない
:農作物が不作で税金を払えない
:発明家が研究費を返せない
【犯罪奴隷】
:殺人、テロ行為、器物損壊、奴隷を雑に扱うこと、違法奴隷商人、泥棒、魔石泥棒など
:平民が貴族に逆らう
【没落奴隷】
:貴族が爵位を剥奪され、只の平民になったが、生きてゆく力がないので奴隷となる
:平民になったあと、犯罪を犯して奴隷となった場合も、犯罪奴隷ではなく没落奴隷に分類される
【終身奴隷】
:大犯罪者、奴隷の身分の者がルール違反を犯す
1:買い主は【衣、食、住】をちゃんと与える。
2:性行為を強制できない。
3:奴隷は買い主を傷つけることができない。
4:借金奴隷のみ契約時に解放期間を定める必要がある。
5:奴隷開放後、元買い主で見聞きしたことは他人にバラすことができない。
6:犯罪奴隷は伯爵以上の領主のみ解放することができる。
7:没落貴族は王族のみ解放することができる。
「大まかな所はこんな感じだな。気をつけて欲しいのは『違法奴隷商人』だ。やつらは【子供奴隷】【性的奴隷】【実験奴隷】なんてのを扱っている。全て違法だ!見つけしだい捕縛案件だ。」
やっぱ違法奴隷もいるのか…なるほどね。
「大体わかりましたが、【借金奴隷】の子供と【子供奴隷】の見分け方は?」
「基本的に13歳以下の子供を奴隷にしてはならない。しかし、例外として家族セットならば問題はない。つまり、不作が続き税金が払えないが子供が13歳以下だった場合、父、母、子供3人とも奴隷となりセットで売られる。ここまではいいか?」
「はい。」
「【子供奴隷】も13歳以下の者達だ。先程、家族セットでと言ったが、両親が奴隷になりたくない一心で子供だけを売る。こんなこと許されないから違法だ。」
ウィルゴートは机を叩いた。
「なるほど。では、両親が病やモンスターに敗れて亡くなった場合、残された子供はどうなるのでしょうか?路地裏の孤児ですか?奴隷になったほうが衣食住は安定すると思いますが?」
人を[売る]と、簡単に言う世界か…
小説やアニメでも度々出てくるが、ここは比較的奴隷に優しそうな世界で安心した。
秘密の多い俺は、お世話になる可能性が高いな。秘密保持も高そうだしね。
「それは国とギルドが補助した孤児院があるから、そちらで引き取ることになっている。あと、家族セットは300日までだ。それを過ぎればバラバラに売られるが、子供は冒険者ギルドまたは、孤児院が引き取る。冒険者ギルドが引き取った場合、受付の補助、裏方仕事。14歳になったら開放され、そのまま冒険者ギルドで働いてもいいし、別の仕事に就いてもよくなる。奴隷についてはこんなものだが質問あるか?」
無いことはないが、今は
「…ありません。」
と、答えるしかないよな。こんな抜け道だらけの制度。
どっかのボンボン(王族)が正義を片手に自己満足で作りました、そんな制度だな。
もしくは、違法奴隷商人をわざと生み出す制度だったりして……。貴族怖いわ。
「そうか。ギルドの話しに戻るが【商人ギルド】【鍛冶ギルド】【薬師ギルド】【テイマーギルド】【執事ギルド】をまとめているのが【冒険者ギルド】だ。冒険者ギルドは基本なんでも屋だ。モンスターの討伐、荷物運び、商人の護衛、子守り、配達などを仕事の種類は幅広い。で、怪我などで働けなくなったやつを別のギルドに派遣なんかもしている。そうすることでギルド同士の横の繋がりを強化していたら【冒険者ギルド】がまとめ役になったわけだ。」
「なるほど…先程話しに出ました【奴隷ギルド】は?」
「あれは国の管轄だ。確かに子供に仕事をさせるのは【冒険者ギルド】がやるが、奴隷商人になるやり方は国の上の方々しか知らない。その為、【奴隷ギルド】は国との繋がりが強い。まぁ【没落奴隷】なんかを扱うからな、国でないと無理だ。」
「ちなみに、辺境伯爵家ご子息であるウィルゴート様は…」
「奴隷商人のなり方か?知らん。」
うわぁ…辺境伯爵家でわからないなんて…相当秘蔵されてるんだな。奴隷商人は相当優秀かクズだな。
「さて、そろそろ休憩を終わりにして出発するか…体力ポーションはまだあるか?」
ウィルゴート達が席を立ったので、机やイスを『アイテムBOX』に仕舞いながら答えた。
「はい。ございます。」
体力ポーションを3本渡し、空気になっていたリミアにはおむすびを渡した。
「えっ?」
「…なぜリミアにおむすびを?」
「えっ?先程おかわりをしたそうなのを却下されてましたから、まだお腹減ってるかと…ダメでしたか?」
おむすびを仕舞おうとしていたら、突然、ガシッ!と腕を掴ませた。
「全然ダメなんてことはないぞ!!うん!いいことだ!おむすびなら移動しながら食べられるしな!!」
ニヤリ…違法奴隷商人なんかいる危険な世界なら、お貴族様とのパイプは強く太いほうがよい。幸い、胃袋を掴んでいるのだ!ガチガチにしておくのがいいかもしれない!自由を失うなら切り捨てるが…
「はぁ…愚妹が…すまない、もしまだあるなら私にももらえるか?」
ハッハッハ!!もちろんありまっさぁ。
「かしこまりました。ダンハ様もいかがでしょうか?」
「おや?わたくしも宜しいので?」
ホッホッホ!宜しいでございますわよ!!
食べ物が絡むと暴走する一樹。
「では、改めて、出発するとしよう。」
☆★
やっと森を抜けた。そこには2車線程の馬車が行き交う道があった。それは森に添うようにできており、遠くにある都市へと続いていた。
ウィルゴートが指を指してこう言った。
「あれが、辺境都市ファシアだ!」
ついに一樹は、森から出ることができた。
『虎穴に入らずんば虎子を得ず』
思いきって危険をおかさなくては大きな利を得ることはできない。




