肉焼き暴走列車
一樹は拠点に着くとすぐにベットへダイブした。
「なんだよあいつら強すぎだろ。話してる途中で目ん玉が金ピカになるしよ!あれが『真実の眼』の発生条件か?金ピカになる度、体かビクッってなったわ!!!」
一樹は溜まっていた鬱憤を吐き出した。とにかく吐き出した。
気持ちを切り替えて明日のことを考えた。
「ふう…今日の感じだと領主陣営が敵にならないとは思うが……お土産必要かな?道中好きな物聞いて、ちゃちゃっと作ればいいか。あとはユニークスキルかぁ…内容までバレた可能性あるよなぁ。ちゃちゃっと物作りしたらマズイかなぁ…んん…『アイテムBOX』のことだけ教えてみて反応を探ってみるか。」
その後は、何かあっても対処できるように、武器、道具、料理、各種ポーションを作ってから寝た。
☆★
翌日、まだ朝日が昇る前に元エルフ村に着いた。すると、3人は既に出発準備を終えていた。
「すみません。来るの遅かったでしょうか?」
「いや、問題ない。昨日の感じから、一樹なら夜明け前に来ると予測していたのだ。早く出発できるに越したことはないからな。準備して待っていたのだ。」
「分かりました。では、すぐに出発を?」
「そのつもりだが何かあるか?」
「そうですねぇ…まずファシアまでどのくらいですか?」
「そうだな。今出発して…森を走るから…遅くても昼過ぎには着くな。」
そうウィルゴートは言ったので、先にカードを切ることにした。ユニークスキルの開示である。
「では、皆様の荷物を自分が運びましょう。私のユニークスキル『アイテムBOX』は普通のアイテムBOXよりも容量が大きいのが特徴です。」
「「「!!?」」」
3人はいきなりユニークスキルの内容を教えられて驚いていた。権力者にバレるのを恐れて森にいたのではないのか?
「…そんな簡単に教えて良かったのか?」
「構いません。ウィルゴート様にユニークスキルを保持していることがバレている以上、隠す意味がありませんから。ならば、早めに手の内を晒したほうが安全です。」
一樹は心の中でガッツポーズをした。3人の反応を見て内容はバレていないと思ったのだ。ウィルゴートと爺さんは演技かもしれないが、リミアの驚き方で判断した。
すぐにウィルゴートは一樹の意図を読み唇を噛んだ。こちらはユニークスキルの内容を把握していないこと、3つのユニークスキルがあることを知っていることを読まれたと思ったのだ。微妙にちぐはぐな読み合いのバトルだが、二人の中で勝敗は一樹に軍配が上がったようだ。
全く気づかないリミアは一樹に尋ねた。
「それで?ユニークスキルだとどのくらい入るのだ?」
「そうですねぇ。冒険者の『アイテムBOX』が3㍍×3㍍×3㍍固定らしいのですが、私のユニークスキルの場合メインレベルと共に成長します。なのでこんなものも、」
と言って、石碑の倍サイズの岩を出した。
「「「!」」」
「このサイズがいくつか入ります。今回はこの岩を外に出してしまえば皆様の荷物は余裕を持って入ると思います。」
「これは凄いな...大型モンスターを狩る冒険者には涎ものだ。」
ウィルゴートはユニークスキル『アイテムBOX』の有用性にすぐさま気づいたらしい。
「とりあえず、爺の分だけ頼む。貴族のスキルにも『アイテムBOX』はある。2㍍×2㍍×2㍍ではあるがな。あとは装備と武器だ。森の中で外す訳にはいかない。」
「かしこまりました。あともう一つ、下級ではありますが体力ポーションを用意しました。少しでも早くファシアに着くと思います。」
「それが毒である可能性があると思うが?」
「今更すると思いますか?毒だと解った瞬間、ダンハ様に殺され、ウィルゴート様たちはゆっくり毒消しポーションを飲むことが出来ます。そんな割りに合わない賭けをするなら夜仕掛けています。」
「クックック…確かにな。では、体力ポーションを飲んで走って帰還するとしますか。」
問題なく3人が飲み、光った。
そして、ファシアに向かって出発となった。
☆★
森を走ること数時間、4人は会話をしながら走っていた。
「一樹!私達が飲んだ体力ポーションはホントに下級なのか?!持続時間も効果も高すぎるぞ!!?」
リミアが驚いているのか怒っているのかわからない勢いで話してきた。
効果が高いならいいではないか。
「下級ですよ。中級以上は作り方を知りません。モグモグ…」
「あぁあ!!貴様!1人だけ何を食べているのだ!!ズルいぞ!!!!」
「朝ご飯のおむすびですよ。皆様の分も握ってきましたが食べますか?あっ!リミア様の分には毒があるかもしれません!!危ないので私が食べましょう!!モグモグ…」
「貴様ぁ!!!!!」
こんなやり取りをずっとしながら走っていた。
★☆
「そろそろ休憩にしよう。爺、先に行って拓けた場所を探してきてくれ。」
「畏まりました。」
そういうと爺さんは消えた。忍者!?
☆★
爺さんが見つけた場所は10畳程のスペースだった。
「ダンハ様、ダンハ様の荷物に何か、飲み物や食べ物は入っていますか?」
「いや、ないのぉ。今回は突然じゃったから禄な準備が出来なかったのじゃ。」
一樹は久々に誰かに料理を食べてもらえると思い気合いが入った。一樹以外の3人は少し休憩したら出発すると思い、おむすびと水でも貰えたらいいなぁと、思っていた。
しかし、その予想をいい意味でも悪い意味でも上回った。一樹が暴走したのだ。
「では、執事のダンハさんがいる中で申し訳ないのですが、わたくし一樹がおもてなしさせていただきます。よろしいですか?」
3人はキョトンとして「おもてなし?」となっていた。
3人を無視した一樹は全力で準備を始めた。
まず[ダイニングテーブル]を出したら[テーブルクロス]をひき、石でできた[スプーン][フォーク][ナイフ]をセット。
おっと、テーブルがグラグラするので全て『アイテムBOX』にしまい[薄い大きな長方形の石]を出して、戻して、出して、戻してを繰り返して地面を平らにする。
納得がいったらセットされたテーブルを石の上に出して[イス]も準備する。
「皆様!お飲み物は、[紅茶][お茶][麦茶][果物水][お酒]がございますが、いかがいたしましょうか?あっ!申し訳ありません!皆様お席に着いておまちください。」
レディファーストがあるかわからないが、リミアの近くの席を引き座らせ、ウォルゴート、ダンハも座らせた。3人とも「果物水…」といったので[木のコップ]に[レンカの輪切り]と『飲み水』を注いだ。(水はバレないように1度ポットを経由した。)
次に[作業台代わりの四角い岩][炊飯器][コンロ][鍋][フライパン][小瓶に入った調味料][ボールに山盛りキャベツ]を取り出した。
さて、[]内のものがアイテムBOXから出てきたのですが、3人はなにも言いません。
「皆様!食べる物はいかがなさいますか?!ご飯ですか?パンですか?麺ですか?」
「ご飯で…」「ご飯…」「ご飯をお願いいたします。」
「かしこまりました。次に嫌いな食材、好きな食材、肉、魚、アレルギー何でもござれで要望はございますか?」
「ない…」「辛いのはちょっと…」「力の付くものが良いですね。」
暴走している一樹に、大分引いてるウィルゴートとリミアに対し、ダンハは既に順応しつつあった。
そして、魔導具化して動いている炊飯器などはバレるとマズいのだが一樹の暴走で誰も気づいていなかった。
「では、イノシシ肉のスタミナ定食にさせていただきますので少々お待ちください。」
そういうと、コンロの前に戻った。
一樹のアイテムBOXのなかには、時間停止されることをいいことに、この1年の間にしこたま下準備された食材がストックされている。。
イノシシ肉、玉ねぎのスライス、ニラ、ニンニク、生姜、合わせ調味料、水溶き片栗粉、ごま油、コンロを高火力業務用コンロに変え、両手の中華鍋を準備した。
まずは、油を入れ、ニンニクと生姜の薄切りを炒める。ニンニクと生姜の香りがたってきたらイノシシ肉の薄切りを入れ強火で炒める!火がある程度通ったら玉ねぎ!合わせ調味料を入れる。
ヒャッハーしながら鍋を振り、火が通ったらニラ、水溶き片栗粉を少し入れ、合わせ調味料が纏わり付いたらごま油回しかけて、完成。
「お待たせいたしました。イノシシの生姜焼き定食になります。ご飯と豆腐とネギの味噌汁、山盛りキャベツの千切りとイノシシの生姜焼きセットですね。箸のほうがいい方いらっしゃいますか?」
3人とも手を上げた。
「では、ゆっくりと食事をお楽しみ下さい。その間に片付けをすませてしまいます。」
一礼して片付けを開始した。
お皿などに『清潔』をかけてから『アイテムBOX』に突っ込むだけですけどね。
『賢は愚にかえる』
賢い人は、平常であるとき愚に見えること。




