俺んとこ来ないか?
「問題ない。申し訳ないが貴族の職業スキルで職業を確認させてもらった。冒険者だ。ユニークスキルを持っているようだがな。」
ヤバい!貴族ヤベーぞ!!
「覗き見をして悪いな。その表情を見る限りユニークスキルをもっていることの恐ろしさを理解しているな?安心しろ。持っていることはわかるが内容はわからん。」
「そ、それは良かった。貴族は、権力を利用して搾取する者達だと思って「兄上はそんな奴らとは違う!!」えっ?。」
「確かにそんなことを影でしているクズは存在する!否定はしない!だが、兄上は!兄上だけはそんなことしない!!」
リミアは一樹の胸ぐらを掴んで激昂していた。
「兄上を知らないお前が、兄上を侮辱するなぁ!!!」
興奮がおさまらないリミアをウィルゴートが引き剥がし、リミアの頭を抱きしめた。
「リミア、いつもすまないな……一樹もすまない!妹が迷惑をかけた。こいつが言った通りお前をどうこうするつもりはない。悪さをしなければな。」
「わかりました。」
一樹は素直に謝罪を受け入れた。
「ありがとう。スキルの話しをしている途中だったな。実はな、私もユニークスキルを持っている。「兄上?!」「ぼっちゃま?!」いいんだ。でだ、その恩恵で他の貴族達よりも職業スキルが強くなっている。まぁ『人物鑑定』はユニークスキルの有無がわかるくらいだがな。なので俺以外にわからないから安心しろ。」
「はぁ…了解しました。」
ユニークスキルに関しては諦めた。きっと内容もバレているがいろんな駆け引きを楽しんでると思うことにした。正直、恐ろしさを理解していませんからね。
俺、拠点に戻ったらダンジョンに籠もってレベル上げするんだっ!
「よし。話しを戻そう。一樹にもファシアに来て欲しい。」
えっ?それまだ続いてたの?
「エルフ村の現状を領主、つまり私の父に説明してほしいんだ、一樹にも。ここはファシアの領地なんだよ。」
「領地なのはわかりましたが、なぜ自分が説明する必要があるのでしょうか?まさか、ウィルゴート様はエルフの村を滅ぼしたのは自分だと疑っているのでしょうか?」
一樹はどこで対応をミスしたのか考え焦り始めた。やはりユニークスキルが…
「疑ってなどいないよ。実際にワイバーンを私達が討伐しているからね。一樹には報奨を受け取って欲しいんだよ。」
「報奨ですか?特になにもしていませんが?」
「亡くなった村民を供養し、立派な石碑まで作ってくれた。状況を見ると、この村は、ワイバーンに襲われてから私達が着くまでに1日以上たっている。そうなると、モンスターや、獣共がここを荒らしていると思わないか?」
森で生活している一樹は、確かに!と思い頷いた。
「そうなると、モンスターの討伐で冒険者達に依頼しなくてはならない。荒らされた亡骸をちゃんと供養できたかもわからない。ないないだらけの所を一樹が解決してくれていたのだ。褒美がないのはおかしいと思わないか?」
「理屈はわかりますが…辞退することは?」
「出来ないな。」「無理よ。」「無理でしょうな。フォッフォッフォ♪」
「はぁ……」
どうしてこうなった?この化物達と戦うことは避けられたが、領主と会うだと?緊張で死んでしまうわ!なんとか回避する方法を探さなくてわ!!
「ちなみに、逃げた場合は権力を使って冒険者を集めて、森を徹底的に探させて、権力を使って指名手配し、権力を使って爺を押し付けるよ?」
権力メチャクチャ使うじゃねえか!!!嘘つき共が!ってか、その笑顔が一番こえぇぇんだよ!!
「…わかりました。ファシアに行きます……」
一樹は諦めた。
「よし。交渉も無事解決だね。」
交渉じゃねぇよ!脅しだよ!脅迫だよ!権力だよ!
一樹は口に出してつっこめなかった。
「このあと、私達は、村を見て回って、野営し、朝一でファシアに向かうが一樹はそれでいいか?」
「はい。朝一で構いませんが、移動でどのくらいかかりますか?」
「そうだな…朝一出発して夕方には着くと思うぞ。」
「かしこまりました。では、一度拠点へと戻り、朝一合流する形で宜しいでしょうか?」
「それで構わん。だがそのまま逃げた場合には…「逃げません!」そうか…」
絶対この人、腹黒貴族だよ!!めんどくさい人に見つかったな…トホホ…
「では、明日。」
そういって一樹は走り出した。全力で。
「ヤバいヤバい!!ある程度ダンジョンでレベル上げしたからなんとかなると思ったが無理無理無理!!!あんなのがゴロゴロしてる世界なのか?!!」
一樹は泣き叫んだ。
◇
一樹を見送り、村を歩きながら会話を始めた。
「行ったか…爺、あの男をどう見る?」
「そうですな…貴族が権力者であることを知っていますし、敬語を使える。なれてはいないようですがな。生まれたときには人里にいたのでしょう。それも貴族階級で。その後、トラブルがおきて森に逃げ込み暮らしている。と、考えるのが無難でしょうな。」
「概ね、同じ推理だな。」
「兄上…やつのステータスは…」
「リミアにもやつのステータスは見れたか?」
「はい。でも変なんです。ステータスオール1でした。メインレベルと職業レベルが1、そして、MP:1 STR:1 VIT:1 AGI:1 INT:1 MIND:1 DEX:1 LUK:1がでした。兄上は?」
「私のほうは、メインレベルが21、職業レベルが16と8と出た。MPなどは1だったよ。」
「兄上でさえちゃんと鑑定できないなんて…」
「そして、ユニークスキルだが3つあるみたいだ。」
「「3つも!?!!?」ですと?!」
「あぁ。おそらく、1つ目は『隠匿』の上位スキル、2つ目は生産関係、最後の1つは魔法関係の可能性があるな。」
「確かにそうですが、なぜ最後は魔法なのでしょうか?」
「やつの職業は『冒険者』と『薬士見習い』。とてもこの森で生活できるとは思えない。ならば強力な魔法があればどうだ?生活は出来そうだろ?やつの武器は棒状な物に盾、あれが魔法制御の媒体ならば可能性は高い。」
「ぼっちゃまの言う可能性は非常に高いと爺も思います。して、どうするのですか?」
「ほっといて構わないだろ。やつはユニークスキルを所持していることがバレる危険性をわかっている。その上で森でひっそり暮らすならなにも問題ない。もし、ファシアで冒険者をやるならパーティーに入れても面白そうだ!」
リミアは反対していたが、物作りが得意と言っていたのでアクセサリーを作らせては?と、言うとおとなしくなった。
「ぼっちゃま、よく見ると火を消したあとがあります。」
「となると、水魔法特化のユニークスキルかもしれないな。」
「そうですね…兄上、村にある物を供えたと言っていましたが、これ程の量を1人で集め、死者を弔い、火消しをして、これ程立派な石碑を作ることが本当に可能なのでしょうか?」
「やつに仲間がいると思っているのか?」
「はい。」
「やつに仲間はいないと思うよ。やつが1人暮らしの話しをしているとき、『真実の眼』を使ったからね。嘘は言っていなかった。」
「そうですか…ならこれらは…」
「リミア、今は奴…いや、一樹に感謝しょう。彼は領民を手厚く弔ってくれた。それだけだよ…」
その後、3人は野営の準備をするのだった…
『下手の物好き』
下手なくせに、一向に嫌いにもならず、好きで熱心なのをいう。




