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ウーツとの交渉


 時間が経つのは早いもので。あっという間に三日が過ぎ、予定日。

 

 あれから俺達冒険者は連合軍を結成。

 ちょっとした軍隊みたいになっていた。

 そして、完全武装した状態でウーツの到着を待つ。

 でもこれじゃあ、平和的に話し合う態度じゃねぇよな……。


 なお、話し合いの場所は、姫様の計らいで、チャイニーでも一番の高級レストラン『シャンハイ』で「食事しながら話し合ってください」と、セッティングしてくれた。

 巨大な円卓の上には高級料理がズラーッと並んでいる。

 とても美味しそうだ。


「「「「ダラダラ~」」」」

 結果として、食い意地の張った奴らはよだれがダァラダァラ~。


 ◇


「フン! フン!」

 冒険者達がウーツを待つかたわら。店の厨房で中華包丁を念入りに研ぐ男が一人。

「泥棒猫……今度こそ。ぶち殺してやる!」

 包丁を研ぎながら殺意のこもった独り言。

 何とも言えぬ凄いオーラを感じさせる。


 実は彼、魚屋兼料理人なのだが。

 店の魚を猫が盗み食いされてたのです。

 で、あるからして。泥棒猫を駆除しようと、包丁を研いでいるのだ。


 魚屋はかなりの私怨しえんがあるらしい。

 物凄い殺意がダダ漏れとなっている。

 はたして魚屋は泥棒猫を仕留めることができるのか?


 ◇


「待たせたな!」

 予定時間ピッタリにウーツは部下数十人をぞろぞろとひっ連れて、店に現れた。

 

 こいつがウーツか。

 手配書で見たウーツの写真は、顔がドアップになっていて、全体的なシルエットが分からなかったが。

 実物を見て、その姿形がはっきり分かった。

 彼は二メートル級の身長に、インディオがかぶるような帽子をかぶり。三つ編みにした二つのおさげ上の顎髭あごひげを生やした、ずんぐりむっくりな大男。


 しかし、顔がでかい。

 顔が体の三十パーセントを占めている。


 また、口も大きく。

 野球のバット並みの大きさの煙草たばこをくわえていた。

 そんな煙草をどこで買ったのだろうか?

 

 そして極めつけは彼のコスチュームだ。

 原色の背広風の衣装を着てるようだが。体中に様々な武器や日常品がくくりつけられていて、胴体が見えなくなっている。

 小太りなおっさん的な容姿も相まって。まるでエケコ人形みたいに見えた。


「マァマァ~~!」

 ウーツの容姿に気を取られて忘れていたが。

 音尾おとおがウーツの小脇に抱えられていた。


「あれは音尾に間違いない」

 ジタバタと暴れ、泣きじゃくる音尾の声を聞いて、俺は彼が音尾だと確信。

 これで音尾の無事が確認できた。

 

 なお音尾の姿は、俺達が予想したとおり肌の色が褐色の、黒髪ロングヘヤーのロリっ子だった。

 

「音尾ちゃんおとなしくしててね。今から大事な話ちするから」 

 ウーツは熊倉一雄さんみたいな渋くてかっこいい声。

 なのに、音尾に対しては幼児語で話している。

 これは父親が溺愛する娘を甘やかすソレに似ているな。

 ベタ惚れしてるのは火を見るよりも明らか。

 いかに西の大陸の覇者といえど、愛する女 (?) も前では、骨抜きのただのおっさん。

 所詮こいつも男か……。

 正直引くな。


「もうすぐ俺達の愛の巣が手に入るからね。だからちょっと待っててくだちゃいね」

 ウーツは音尾と結婚する気満々。

 確か音尾の元々のコスチュームは煙エ門みたいなのだったと思うが。

 よく見ると音尾のコスチュームが純白のウエディングドレスになっていた。


「どっこいしょ」

 さて。全員が席に着いて「さあ、話し合いだ」という雰囲気になる。


「しかし、オメエら。そんなに集まって、俺の首でも取りにきたのか?」

 会って早々にウーツは俺達冒険者を見下すような目つきで、そう言った。

「そうですぜ、首領ドン。あいつら俺達にビビってるんですぜ」

「「「「ハッハッハッ!」」」」

 ウーツの部下の一人が俺達冒険者をけなすと。他の仲間達が馬鹿笑い。


「なんだクズ!」

 これに怒った冒険者の一人が、野次を飛ばす。


「よくも言ったな!」

 しかし相手も黙っちゃいない。

 立ち上がって言い返してくる。


「今のは忘れてくれ! 落ち着いて話し合おうぜ!」

 でも、すぐに謝ったので事なきを得る。

 んで、また座って仕切り直し。


「それで、要求したものは用意したか?」

「そのことですが……」

 交渉が始まった。

 なお、冒険者連合軍 (仮) の交渉役は皆の話し合いの結果、曹操そうそうがすることになった。

 彼は話し上手の聞き上手だから、この人選はベストな選択だったと思う。

 

 で、交渉が始まってあれこれ決めるが。

 基本、俺達四人組はやることがなく。ぼーっと座って、話を聞いてただけ。

 すんごい退屈。


 しかし、聞いてると分かるが。

 曹操の交渉術は凄い。

 彼のお陰で交渉は円滑に進んでいる。

 その堂々とした姿は、まるで弁護士かネゴシエーターの様に見えた。


 途中、何度か口論になりそうになるが。特に大事になることもなく。交渉は進められた。

 交渉も終盤に差し掛かるが。曹操のお陰で、要求する金品を大幅に減らすことができた。

 

 しかし、音尾の引き渡しにだけは断固拒否。まったく譲らなかった。

 そのため、音尾はウーツと結婚することに。


「冗談じゃないよぉ!!」

 音尾は嫌がったが。さすがの曹操も、これだけはどうにもできなかった……。


「さあ、握手だ」

 交渉も終わり。仲良くしようと言わんばかりに、曹操は握手を求める。


「……」

 ウーツも無言でそれに応じようとするが……。


「ニャーオ」

 握手しようとするウーツと曹操の前をお魚くわえたドラ猫が走り去って行く。


「ぶっ殺してやるううううううううっ!!」

 そのドラ猫が二人を通り過ぎると。魚屋が中華包丁片手に,追い掛けてくる。


「「「「かかれ!!」」」」

 ウーツ軍団は、魚屋を冒険者達の奇襲だと勘違い。

 冒険者連合軍 (仮) に襲い掛かってくる。


「「「「やってやるぞおおおお!!」」」」

 冒険者連合軍 (仮) もウーツ達が奇襲を仕掛けたのだと勘違いし、応戦した。

 その結果、戦闘が開始されてしまう。


「ヤバい……」

 一方、魚屋は事の深刻さに気づき、その場にあったテーブルの下にそっと隠れるのでした。



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