姫様はブスで巨乳
「……ここか?」
「そうだ」
「……」
城に来いと言われ、案内されるがままに城の前に到着した俺達。
城だと言うから、立派な建物を想像したが。
城はチャイニーの中にある、ちょっと大きい程度の、普通な建物。
正直、ちょっとしょぼいな……。
まあ、それはともかく。
俺達四人は城に入ることに。
城の中には姫様に召集された強者の冒険者パーティーが何組も集まっていた。
「あっ! 曹操君~!」
「やぁ。佳君じゃないか」
集められたパーティーの中には俺達の知ってる人物も何人かいた。
「「「「ソワソワ、ソワソワ」」」」
しかし、集められた人達の大部分は、偉い人に呼び出されて落ち着かないご様子。
オロオロと部屋を歩き回って、ソワソワしてた。
みんな権力に弱いのね。
「姫様のおな~~りぃ!」
集められた冒険者達がソワソワする中。
いきなり一人の兵が大きな声で、そう伝える。
しかし、姫様とはどんな人だろうか?
少し考えてみたが。
この手のゲームの姫キャラは、美人と相場が決まっている。
期待に胸膨らませて、姫様の登場を待つ。
「「「「!?」」」」
が。出て来た姫様の容姿は、予想を大きく裏切るもの。
姫様の姿は、黒髪のフグ田タ〇オ風のヘアースタイルな、小太り逆美人だった。
予想を大きく裏切る展開。
今更ながら凄いゲームだよ、ザ・クリエイション。
しかし、姫様ひでぇ容姿だ。
荒岩〇味みたいなしゃくれた下あご。
立花ユ〇ヒコの様な糸目。
野原しん〇すけ並みの太い眉毛。
更に、そばかすだらけの顔に、太い二の腕。
そんでもって、無州で巨乳……っとまあ、男みたいにごついな。
一応、ドレスを着て、姫らしいコスチュームだが。全体的にいかつい印象。
ともかく凄まじい風貌。
今までいろいろなゲームをプレイしてきたが。
こんな姫キャラ見たことがねぇ。
あまりの驚きに、開いた口が塞がらない。
「「「「……」」」」
なお、それは他の冒険者達も同じで。みんなポカーンとしていた。
「うわぁ~~」
特にクラミーはショックが大きかったらしく。苦虫を嚙み潰したような顔してた。
たぶん俺と同じで、期待してたんだろうな……。
「皆様はじめまして。私は、ケラエ・ミカン・イコ・タチバナです」
唖然としてる冒険者達に、姫様がいきなり自己紹介をする。
「「「「おわっ!?」」」」
姫様の第一声を聞くなり、冒険者達は声をそろえてびっくり。
その場から一歩後ろにバックしてしまった。
それもののはず。
姫様の声は可愛い美少女ボイスだったからだ。
いかつい外見に反した可愛い声なので、悪い意味で凄いインパクト。
なのでみんな驚き顔。
みんなはきっと、姫様の声と外見のギャップに驚き、違和感を感じたのだろうな……。
「皆様どうなされましたか?」
疑問に思ったのか、姫様は冒険者達がなんで驚き顔なのか尋ねる。
「いやぁ~~、それは……」
「その……」
『声と外見のギャップが凄くて驚きました』なんて言えるわけもなく。どう言ったものかと、口ごもり、みんな困っていた。
「姫様の声が、あんまりにもかわいかったので、驚いたんですよ」
「ちょっ、おまっ!?」
「佳君!?」
そんな膠着状態で佳君が言ってしまった。
「「「「ムッ!」」」」
兵士が佳君を睨み付ける。
佳君の発言に皆ヒヤヒヤ。
冷や汗がダラダラと流れる。
「私の声が可愛いなんて。お世辞でも嬉しいですわ」
けれども、当人である姫様は普通に喜んでいた。
そして佳君ににっこりと微笑む。
「いやいや。お世辞なんかじゃないですよ。本当にかわいい声だと思いました」
第三者的目線で見ると、姫様のご機嫌取りしてるようにも見えるが。
佳君は素直なので、その言葉に打算などは微塵も無いだろう。
要するに、佳君は天然なのだ。
「まあ!?」
姫様は佳君の言葉に一瞬驚いたが。
「ぽっ」
すぐに嬉しそうな顔になり。頬を赤らめた。
こりゃあ、恋する乙女の顔だ。
「あなたのお名前は?」
「佳って名前です」
「佳様……。いいお名前ですね」
「どうも」
なんだか姫様と佳君だけで会話が弾んどるな。
お陰で他の冒険者は蚊帳の外。
「佳様が男性でしたら、好きになっていましたわ」
少し残念そうに姫様はそう言った。
やっぱり姫様は佳君に恋してたよ。
ま、一応佳君は (中身は) 男ではあったが。外見は女なので、勘違いしてる。
しかし、姫様はなんてチョロいヒロイン (?) だろうか。
「あの~~。姫様、肝心のお話をまだされてないようなのですが……」
佳君との話に夢中になってる姫様に、兵士の隊長さんが注意した。
「あ! そうでしたわ」
で、言われて思い出す姫様。
意外と天然?
「皆様に集まってもらったのは他でもありません。ウーツがこの街を明け渡すように言ってきたのです」
どうやら新聞で読んだことは本当だったようだ。
説明によると、ウーツは街以外にも莫大な金品や大型船も要求してきたとのこと。
姫様の言う姿と話の内容から、事態の深刻さが伝わってくる。
「それで姫様。我々はどうすればいいのですか?」
曹操が姫様に何をすればいいのか、手を挙げて質問。
「皆様にはウーツと交渉をしてほしいのです」
「交渉ですか?」
てっきり『ウーツの首を打ち取ってきて』とか言われると思ったが。
実際に言われたのは交渉だった。
正直、戦う気満々だったので、肩透かし食らった気分だ。
「我々が交渉役を?」
「そうです。お願いできますか?」
引き受けてくれるか不安らしく、姫様オロオロ。
「分かりました。やってみます」
が、曹操は二つ返事で了承。
曹操は独断で交渉役を引き受けてしまうが。
他の冒険者達は、誰一人として反論する者はなかった。
これも曹操のカリスマ的存在だからか?
もしそうだとしたら、曹操スゲー!
「ありがとうございます。曹操様」
曹操が二つ返事で引き受けてくれた事に、姫様はぺこりと頭を下げて、お礼を言った。
「それで姫様。ウーツとの交渉はいつなのですか?」
「三日後です」
「三日後ですか……分かりました。その日までに策を考えておきます」
曹操は少々眉をひそめるが、最終的に力強い事を言って、姫様の不安を払ってあげる。
「まあ。なんと頼もしい♪」
勇ましい物言いの曹操に、姫様うっとり。
ありゃあ、曹操を相当頼りにしているな。
さて、事の次第の説明が終わると。集会は交渉役を決めた後に閉会。
その後の事細かい打ち合わせは明日に持ち越される事に決まった。
しかし、三日後のウーツとの交渉の場で、事態が全く予想外の方向え急展開する事を、この時誰もしらないのだった……。




