音尾ってどんな顔だったけ?
「うーんと……。確かこんな感じだったか?」
「いやぁ、こうじゃねぇか?」
「こうだ!」
「こんなんだったような?」
宿屋の畳部屋で、四人揃って寝っ転がりながら鉛筆で紙に絵を描き描き。
俺達が何をしているかと申しますと。
音尾の似顔絵 (イラスト) を四人で描いているのです。
それもこれも、俺達が音尾の姿がどんなんだったかぼんやりとしか覚えてないからだ。
『探している仲間の顔ぐらいちゃんと覚えておけ!』って言われるかもしれないが。
一ヶ月以上も会わないと、どんな姿だったのか思い出しにくくなってくる。
しかも、俺達は自分のキャラを作るのに夢中で、他の奴のキャラなんて、チラ見程度しか見ていない。
デュークの時もそのせいで危うく見逃すとこだった。
そんなんだから音尾の姿がはっきりと分からず、難儀している訳だ。
「確か音尾君は黒髪のちっちゃい女の子だったような」
「佳君の言うように、そんなシルエットだったな」
「後、目の色が琥珀色。肌の色が炭団みたいに真っ黒だったな」
「クラミー、目の色はともかく。肌の色はそこまで黒くなかったぞ」
「そうだっけ?」
「だが、クラミーの言う様に、音尾の肌の色は黒人系のソレだったな」
「そう言われたら、そうだった気が……」
などと互いに意見を出し合うが。全員が独自にイラストを描いてる。
そのため……。
「でけたーーーー!」
「僕も!」
「俺も!」
「では、見てみるか。……って、えぇ!?」
揃いも揃ってイメージが全く違う絵を描いてしまう有り様。
それというのも、原因は俺達の連携の悪さが挙げられる。
で、やり直し。
今度は打開策として、誰か一人に描く事を専念させ。皆が思い出しる音尾のパーツを描く者に教えて描かせる方法を採用。
なお、絵を描く者は、話し合いの結果クラミーが描く事になった。
「できたでぇ!」
描く事二十分。
絵が出来上がる。
「「「どれどれ」」」
出来上がった絵を見ようと、他の三人がクラミーの絵を覗き込むが。
「って! これセ〇じゃないか」
呆れた事にクラミーは他作品のキャラクターを描いていた。
「どうだ。上手く描けてるだろ!」
おまけに描いた本人はドヤ顔だから始末におえない。
「しかし、よく描けているな」
呆れ顔の俺をそっちのけで、デュークがクラミーの絵の出来に関心している。
まあ、クラミーの絵の完成度が高いのは確かだが。
「だろー。もっと褒めていいんだぞ♪」
デュークにお世辞を言われると、クラミーはますますつけあがる。
「僕も遊〇王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS見ました。セ〇かわいかったですよね」
「そうそう♪」
更に佳君の一言を境に、話が違う方向にズレ出す。
「正直、セ〇を妹にできるなら俺、〇ィーヴァになりたいと思った」
「マジかよ、クラミー」
「おうよ! あたり前〇のクラッカー、明日天気にしておくれ!」
「それどういう意味?」
クラミーの言っている事が意味不明で、デュークは困り顔。
難儀している。
「まあ、クラミーの言った事はともかく。セ〇はかわいいよな」
「その通り!」
話が食い違ってる割には意気投合なクラミーとデューク。
よお分からんノリである。
「かわいかったけど。僕はできればセ〇はスラーッと背の高い、スタイルの良い女性に成長してほしいと思いました」
「佳君、映画見てたときにそんな事考えてたのか!?」
「相変わらず佳君の女の好みは、そんなんばっかだな」
佳君の考えにクラミーとデュークは呆れ気味。
それだけ佳君の美的感覚が理解し難いものなのだ。
「自分好みのロリキャラ見つけると、おっきくなってほしいと思ったっていいじゃないか!!」
「「!?」」
自分の考えに嫌な顔するクラミーとデュークに、佳君はムキになって個人的感情をぶちまける。
理想を叫ぶ佳君の姿に、クラミーとデュークはちょっと怯む。
佳君の理想は他の者とは違っていた。
けれどもその決意は、ある意味凄い精魂を感じさせる威圧感のあるものだった。
「「「ペチャクチャ、ペチャクチャ」」」
しかし、本来の目的を三人共忘れて、映画の話題に夢中になっていた。
「シャラーーーーーーップ!!」
「「「!?」」」
あまりに話がズレてしまったので、俺は話を修正をするために三人を黙らせる。
「今やらねばならぬのは、音尾のことだ!」
そして本来の目的を思い出させる。
「……そうだったな」
「悪りぃ。忘れてた」
「ごめんなさい、ルネ君」
三人は頭を下げた。
俺の一括を仕切りに、音尾捜索会議は本来の軌道に戻った。
しかし、仕切り直されたのは良かったが。
成果が上がらずに、時間ばかりが過ぎていく。
「みろ! 議論なんてムダなんだ!」
その状況にクラミーが大の字に寝っ転がり、議論する事がムダだとぼやき始める。
「クラミー君、そんな事言わないで」
「だが、クラミーの言う通りかもしれんな」
「デューク君まで……」
佳君がクラミーに考え直すように促すが。横からデュークもクラミーに乗り気。
実にいかん流れだが。
確かにクラミーの言う様に、名案が出るわけでもなく。
堂々巡りを繰り返してるうちに、夜が明けてしまった。
「……仕方ない。移動を開始しよう」
案ずるより産むが易し。
結局、劣等生の俺達では、名案を出すのはムリだったのだと思った。
かくして俺達は、西の大陸最後の街『ヘティグリーン』に向けて出発するのだった。




