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男がゲームで女性キャラクター使ったって、いいじゃねぇか!  作者: 黄金の右脚
旅立ちのとき! 冒険がはじまる!
37/56

荘平


 眠りについてから八時間後。

 俺達は起床。

 荘平に向けて出発する。


 途中、三人組の盗賊に襲われたが。

 現在の俺達の敵ではなく。返り討ちにしてやった。

 で、倒した盗賊を担いで、俺達は荘平そうへいに急いだ。


 ◇

 

「やっと到着した」

 早足で移動したつもりだったが。

 荘平に到着したのは、寅吉とらきちを出発してから二日後の事。

 なお、荘平も寅吉同様に日本風の街。

 荘平に到着した俺達は、盗賊三人組を引き渡すために、まず警察に向かった。


「ご協力ありがとうございました!」

「どうもどうも」

 そして警察からお礼の言葉と懸賞金をもらった。

 一応、盗賊三人組は賞金首で、懸賞金が掛かっていたが。

 賞金額は全員で二万四千マルクの小物。

 まあ、儲けになったからいいけど。


 さて、警察に盗賊共を引き渡すと。

 俺達は荘平で食事処を探す事に。


 え?

 信君しんくん音尾おとおは探さないのかって?

 腹が減っては満足のいく仕事はできんよ。

 だからまずは腹拵はらごしらえだ。


「おっ!」

 とかなんとかしてる間に定食屋を発見。


「飯屋だーーーー!」

 大喜びでクラミーが定食屋に突っ込んで行く。

「落ち着きなよ、クラミー君」

 そうは言うが佳君。キミも足取りが軽く、スキップしてるぞい。

 

 まあ、なにはともあれ。

 定食を注文。

 昼飯だ!


「おむあむあむ!」

「があああああぁ!」

「パクパク!」

 そして定食をがっつく。


「あ~、美味かった!」

「だな!」

 やっぱり日本食は美味い。

 空腹だった事もあり、五分で完食してしまった。

「しかしちょっと食い足りないな」

「それには僕も同感です。何かデザートでも欲しいですね」

「デザートか……。いいな♪」

 クラミーの言い出した事には満場一致。

 皆デザートの口になる。


「しかし、んな洒落たもんだあるか?」

「う~ん……。確かに」

 荘平は1840年代の宇治市 (京都府) の様な街。

 この様な街で今どきのスイーツ専門店などの店は期待できそうにない。

「じゃあ、何か果物とかないかな?」

「それなら期待できそうだ」

「佳君、ナイス!」

 そうと決まれば善は急げ。

 俺達はさっさと勘定を済ませ、八百屋やおやに向かう。


「えーと。確かここら辺の筈だが……」

「本当か?」

「多分」

 通行人に聞いた話によると、街でも評判の青物商がいるとの事。


「しかし、どんなかわい子ちゃんかな~♪」

 なお、売り子はかなりの美少女で、その子を目当てに来てる客もいるらしい。


「あった!」

 結構迷ったが。なんとか店を発見。

「混んどるなぁー」

 店には行列ができており。盛況なのがよく分かる。

「じゃあ、並ぶか」

「「あぁ」」

 行列はちょっと嫌だったが。

 俺達は行列に並ぶ事に。


 ――そして十八分後。

 俺達に順番が回ってくる。


「……」

 店を見てみるが。

 人気の店と言う割には、店は茣蓙ござを敷いただけの簡単な店だった。

 けれども、売られてる商品はどれも新鮮な物。

 これなら店が繁盛してるのも頷ける。


「おぉ! 確かにかわい子ちゃんだ♪」

 一方、クラミーは並んでる商品には目もくれず、売り子を眺めていた。


「確かに……」

 俺も売り子を見てみるが。かなりの美少女だ。

 その姿は、お団子ヘヤーのよく似合った、ピンクの髪色が綺麗な、チャイナドレスのかわい子ちゃん。


「お客様、なに差し上げましょうか?」

「おわっ!?」

 なんとなく予想してたが。

 このかわい子ちゃんの声も、男の声のものだった。

 つまりこの子も中身男。

 正直ちょっとショックだな。


「ガガーン!」

 クラミーもかなりショックだったらしく。暗くなっていた。

 だけど、そんな事お構いなしに男共は次々とやって来る。

 この世界の住人は声の違和感をまるで気にしてないようだ。

 そう考えると、この世界の男共の優先順位は、声より見た目だと察する事ができるな。

 つまり声フェチはいない。


「……あのー、お客様?」

「あっ!」

 妄想に夢中で、ついボケーッとしてしまった。

 そのせいで売り子は変な奴を見るみたいな目で、俺を見る。

 第一印象が悪くなってしまった。


信君しんくん!!」

「へっ!?」

 佳君がいきなり売り子を信君だと言い出す。

「佳君、この人が佳君のわけが……」


「なんで俺の本当の名前を!?」

「当たってたんかい!?」

 信じ難い事だが。佳君の直感は正しかった。


「何故にあなたが俺の本名を知ってるの!?」

 売り子はパニック状態。

 アタフタしてる。

「信君、僕ですよ」

「その声……まさか佳君!?」

 信君が佳君の正体に勘付く。

「はい♪」

 微笑む佳君。

 佳君の声は(声質が悪いので)印象に残る。

 しかし、そのお陰で佳君が佳君だと気づく事ができたのだが。


「信君、会いたかったよ~」

「俺もだぞ、佳君!」

 佳君と信君は互いを向き合って、両手を広げる。

「「一心!!」」

 そしてそう言う都、二人はギュッと強く抱き合った。

 感動の再会だな。


「デュークちゃんが女の子と抱き合っている!?」

「デュークちゃんは同性愛者だったのか!?」

「そんなのウソだーーーーーーーー!!」

 佳君と信君が再会を喜ぶ傍ら。信君を目当てで来た男性客達は勝手に嘆き悲しんでいた。

 哀れな男共だな。


「みんな、すまない。仕事があるから八時まで待ってくれない」

「あ、うん。分かったよ」

「その方が良さそうだな」

「うむ」

 周りが騒ぎ始まる。このままでは騒ぎになりそうな予感。

「待ち合わせ場所は牛鍋店な」 

「「「分かった」」」

 待ち合わせ場所を決めて、俺達三人は一旦その場を去る事に。


 ――そしてなんやかんやで約束の時間である八時になる。

 俺達は待ち合わせ場所の『はいろ牛鍋店』の個室で、信君の到着を待った。


「みんな、お待たせ!」

 ふすまがふすまダンと開くと、予定より四分遅れて信君が現れる。

「いきなりで悪いが。信君、キミは何故に荘平で物売りなんてやっとったんだ?」

「それにはいろいろ事情があってな……」

 信君はいろいろな事情を俺達に説明してくれた。


 それによると信君は一人だけで荘平に召喚されたとの事。

 また、ここでは信君は名前を『デューク』と変えて生活していた。

 召喚された当初は普通に生活してたようだが。

 生活費が底をつきかけると働かない訳にもいかず。青物商を始めたのだった。

 

 ここでデュークは生まれ持った商いの才能を遺憾なく発揮。

 この世界では画期的な薄利多売の大量入荷による安売りでたちまち人気を呼び、遠方から買いに来るお客さんもいたほどだ。

 また、美少女だったアバターの姿も積極的に利用。

 その結果デュークは街のマドンナ的存在になっていた。

 なので短期間でかなりの金額を稼げた。


 その事から分かる様に、デュークは商人としての才が非常に優れてると言える。

 ちょっと意外。


 さかし、モンスターや賞金首との戦いはまったくしてなかったので、レベルは未だに1のまま。

 つまり弱い。

 ま、本人は気にしてなかったが。


「……と言うわけだ」

「「「そういうわけか……」」」

 話を一通り聞いて、俺達はなんとなく理解した。


「しかし、みんなと会えて嬉しいよ」

「僕も嬉しいです」

 デュークとの再会をみんなで喜ぶが。その中でも佳君が一番喜んでた。


「今日はめでたい日だ! お祝いしよう!」

「デューク、それいいな!」

「中居さ~ん、松の牛鍋四人前ね~」

 デュークは襖をあけて、中居に注文を伝える。


「あっ、代金は此方こちらさん持ちで」

「「おい!」」

 デュークのずっこい発言に、俺とクラミーはツッコミを入れる。

「まあまあ、二人共。街に向かう途中で、賞金首を倒して懸賞金を貰ったから、それで払えばいいじゃない」

 デュークの前に立ち助け舟を出す佳君。一応筋は通っているが。

 佳君は相変わらずの仲間思いだなと、呆れてもいる。


「そうだぞ二人共」

 助け舟を出されるなり、得意気に胸を張るデューク。


「調子に乗るな!」

 ムカついたので、俺はデュークの頭をブッ叩いた。

「いったぁ~~!」

 んで、当然痛がるデューク。

 まあ、当たり前か。


「でも、佳君の言う様に、懸賞金で払えばいいか」

 かくして俺達四人は再会を牛鍋で盛大に祝賀する。

 牛鍋はとても美味かった。

 しかし、今思えば佳君がいなかったら、デュークの事を信君だと気付かないですれ違っていたかもしれない。そう思った。

 そう思うと、佳君がいてくれて本当に良かった。

 

 佳君の一緒に行動しようとした考えが間違っていたと思ったが。

 仲間との絆よりも効率を優先した、俺の考えの方が間違ってたようだ。

 俺は『佳君、あなたは正しかった』そう思いながら牛鍋を味わうのだった……。



 

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