表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男がゲームで女性キャラクター使ったって、いいじゃねぇか!  作者: 黄金の右脚
旅立ちのとき! 冒険がはじまる!
36/56

寅吉


 佳君よしくんのせいで出発が大幅に遅れてしまったが。

 俺達はチャイニーから一番近い街『寅吉とらきち』に向かう事に。

 チャイニーから寅吉までは半日歩けば行ける距離だが。出発が遅れたため、寅吉に辿り着いた時には、夜になっていた。


「……街の探索は明日にしようか?」

「だな」

「賛成」

 今日調べるのは無理そうなので、明日に先延ばしにした。

 そして俺達は宿屋に泊まり、今日の疲れを取る事に。


 ◇


「まあ、明日があるか……」

 今日がダメなら明日にしましょう。明日がダメなら明後日にしましょう。明後日がダメなら明々後日にしましょう。どこまでいっても明日がある!

 宿屋の寝床で、自分に『時間はまだあるから大丈夫』と言い聞かせて、俺は眠るのだった。


 ◇


「「うーん……。朝か?」」

 朝、時の声を上げるニワトリの鳴き声で、俺と佳君は同時に目を覚ます。

 おまけにハモってしまった。


「おーい、クラミー朝だぞ。起きろ」

「グガァ~!」

 俺と佳君は起きたが。

 クラミーは、まだぐっすりこんこん。

 いびきまでかいてた。

「ニワトリが元気よく鳴いてるのに、よく眠れるもんだな」

 俺は呆れつつも、とりあえずクラミーを起こす事に。


「起きろ!」 

「むにゃむにゃ」

 しかしクラミーは深い眠りに入っていて、まったく起きない。


「それ!」

「グガァ~、グガァ~」

 掛け布団をはぎ取ってもクラミーは寝返りを打って、うつ伏せになるだけ。

 爆睡だ。

「えーい! どうしたもんか」

 どうやってクラミーを起こすか考えるも。いい案は浮かばない。

 どないしよ?


「じーっ……」

 そんな最中、佳君は何故かクラミーの尻を見詰める。

 なに考えてるんだ?


「!」

 佳君は何か思い付いたかのように両手の人差し指を伸ばした状態で、他の指を組んだ。

 まさか!?


「カンチョーーー!!」

 まさかとおもったが。やはりカンチョーをした。

 そして佳君のカンチョーがクラミーの尻に突き刺さる。


「ヴォーーーーーーゥッ!?」

 痛みでクラミーが飛び起きる。

「アッ、ジュワットヮアッ!?」

 そして立ち上がると、奇声を上げながら尻 (肛門) を擦る。

 相当な痛みだったらしく。クラミーは眉間にしわを寄せながら尻を必死に押さえていた。

 あの様子から察するに。当たり判定は、クリティカルヒットだな。


「佳君なにすんだ! 尻が割れたかと思ったぞ!」

 クラミーは顔真っ赤にして佳君の胸ぐらを掴み、怒鳴りつけるが。

 当の佳君は冷静な口調でこう言った。


「もう割れてるよ」

「プッ!」

 佳君の言葉に、俺は笑いがこみ上げてくる。

「プルプル、プルプリ!」

 今俺が笑うと、また話がややこしくなる。

 なので、俺はこみ上げてくる笑いを顔面をピクピク引きつらせながら必死に耐えた。

 その後、五分程で事態は沈静化。

 事なきを得た。

 でも、笑いを耐えるのは、本当に辛かった。


 ◇


 さて。

 一段落 (?) した俺達は、宿屋を出て、定食屋で朝食を食べる事に。

 なお、注文した料理は三人共焼き魚定食。


「「「おおっ!」」」

 久々の日本食、俺達は料理が運ばれると、思わず喜びの声を上げてしまった。

 今更だが『寅吉とらきち』は1850年代の松坂市 (三重県) そっくりな日本風の街。

 そのため食文化も、昔の日本のそれと同じ。

 チャイニーの料理も美味かったのだが。

 基本的にチャイニーにある料理屋は中華料理 (中国料理) なので、一ヶ月も食べると、いい加減飽きてくる。

 正直、中華料理は好きだが。一ヶ月も続くとうんざりしてたところ。

 だから久々の日本食にちょっとした感動さえ覚える程に。

 そのぐらい嬉しかった。

「「「いただきまーす!」」」

 そして一斉に食べ始める。


「うんめぇ!」

「やっぱり食べ慣れた日本食が一番だね!」

「だな!!」

 三人共思い思いの事を言いながら黙々と食べ進める。


「あ~っ、美味しかった♪」

「満足、満足♪」

「美味しかったです。ごちそうさま♪」

 そしてあっという間に完食。

 体がほっする食べ物は、自然と体の中に入っていくものだと、つくづく痛感させられるのだった。


「いっその事、こっちの街に永住しようかな?」

「ルネ、それいい案だな。俺賛成」

 なんて、食後の一服を味わう。

 でも、なんか忘れてる気だするような……。


「……って! まったりしてる場合じゃねぇ!」

 本来の目的を思い出す。

「そういやぁ、そうだったな」 

 本来の目的を忘れさせる程の美味しさ。

 日本食恐るべしである。


「ともかく、捜索を開始するんだ!」

「「分かった」」

 お勘定を済ませると。俺達は街の探索を開始しようとする。

「じゃあ、三手に別れて探すぞ」

 なんて、俺が支持すると。


「えーーーーーー!」

 佳君があからさまに嫌がる。


「文句あるのか?」

 俺は佳君を睨み付ける。


「ある! みんなで行動したい!」

 しかし、佳君は俺の睨み付けにまったく動じずに、意見してくる。

「だって、そう約束したじゃないか!」

「確かにな」

 これは三時間の口論の末に約束した (約束させられた) 事だ。


「だがなぁ、佳君。俺は旅の道中では一緒に行動すると言った」

「うん。そう約束したね」

「だけどなぁ。街の捜索時まで一緒に行動するとは言ってねぇぞ!」

「うっ!」

 俺は交渉に負けた。

 だが、タダで負けたわけではない。

 こうやって約束の盲点を突いたのだ。

「うっ、うぅ……」

 これには流石の佳君も反論できず。


「むーーーー!」

 そして、ほっぺを膨らまして、不満そうな顔をする。

 美少女がすると、かわいい仕草だが。

 佳君、キミは子供ですか?


「さぁ、バラバラに捜索を開始するぞ。分かったな、佳君?」

「……はーい」

 佳君は元気なさそうに返事した。


 んで、捜索を開始するが。

 今日は成果が上がらなかった。

 

『だが、明日があるさ』と、楽観的に考えた。

 しかし、その次の日も。そのまた次の日も、成果が上がらなかった……。


 ◇


寅吉とらきち』にて行方知れずになった、信君しんくん音尾おとおを探すも、成果は上がらず。

 予定では滞在期間は三日の予定だったのに、ムキになって探した結果、六日もの時間を使ってしまった。

 まあ、予定よりも長く滞在してしまった理由は、飯が美味かった事が大きい。

 結局七日目の朝にようやく寅吉から旅立つのであった。


「あーーーー、もう日本食が食えねぇのかぁ」

 次の目的地である『荘平そうへい』に向かう途中で、クラミーが空を見上げながらそんな事を愚痴る。


「二人はもう少し寅吉に滞在したくねぇか?」

「確かにもうちょっと居たい気持ちありますよねぇ」

「まあなぁ」

 クラミーがんな事言い出すもんだから、旅立つのが惜しくなる。

 これは夏休みが終わる時の気持ちに似てるものがある。

 あれは実に嫌なものだ。

 けれども嫌な気持ちをグッと堪えて学校に行かねばならないんだよなぁ。

 まあ、その事と現在の俺達の状態はあまり関係ないが……。


 さて、ブツブツ言いながらも俺達は次なる目的地に向かうが。

 荘平までは結構な距離がある。

 それは丸一日歩いても到着できない程の距離。

 だが、俺達は『多分一日で大丈夫だ』と、楽観的に考えた。

 しかし、ダメだった。

 結果、今晩は野宿する羽目に。


「寒いぞぉ!」

「クラミー、ガマンしろ!」

 夜の寒さが身にしみる。


「もう寒いから、抱き合って寝ないか?」

「クラミー君、それ本気で言ってるの!?」

「しかし、背に腹はかえられないか……」

 ちょっと恥ずかしかったが。クラミーの案に従う事に。


「「……」」

「う~~ん。極楽、極楽♪」

 俺達はアナコンダが交尾するかの如く、絡み合って (抱き合って) 寝ようと試みた。

 中身男だが、見た目美少女なので互いの肌が触れ合うと、興奮してムラムラしてくる。

 そのためムンムンとしながら寝る羽目になる。

 しかし、そのせいでムダに体温が上がり、温かくなったが。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ