佳君vsクラミー
「んじゃ、今度は専門教育といくか!」
雷の魔法特性があると判明すると。今度は実戦で蛍光灯ソードを試してみたいとクラミーは言い出す。
「と言うわけで、佳君相手してくれ」
「え!? 僕?」
「なんで相手を佳君を選んだ?」
気になったので、クラミーに聞いてみると……。
「そりゃあ佳君の方が強えからだ」
「なにぃ!!」
クラミーの一言に、俺はカチンときた。
「それは俺の方が弱いってことか?」
「そうだ」
クラミーの返事は即答だった。
だが、その即答のせいで余計に頭にきた。
クラミーの顔をぶん殴ってやろうかとおもったが……。
「だって、佳君は毒イノシシを倒したじゃねぇか」
「あっ……」
そうだった。
佳君は俺とクラミーが倒せなかった毒イノシシを倒していたんだ。
「うー……」
これには俺も反論できず、返す言葉がなかった。
「むっ、むぅ!」
俺がやりきれない気持ちでいると。
「……なんかごめん」
俺に同情したのか。佳君が謝ってきた。
「うっ、うーん……」
だが、佳君のその優しさのせいで余計に虚しい気持ちになったが……。
「ほんじゃあやるか!」
クラミーが蛍光灯ソードとカリ棒を出して構える。
クラミーはやる気満々。
「クラミー君、本当にやるの?」
一方、佳君は仲間同士での闘いに乗り気でないご様子。
「おう! 全力でかかってこい。でないと俺が一方的にぶっ飛ばしてくるぞぉ!」
「わ、分ったよ!」
しかし、クラミーが無理やりやる気にさせる。
「けっ! クラミーのヤツ、佳君にやられちまえ!」
そして取り残された俺は、切り株に座って、不機嫌気味に小言で文句をこぼしていた。
「じゃ、ルネ。審判頼むぞ」
いつの間にか、俺が審判やる流れになっていた。
まあ、嫌ではないが。
「試合始め」
俺はやる気なく試合開始の合図を出す。
「やあやあ我こそは天下の魔法少女クラミーなるぞ!」
試合開始を宣言すると。あろうことかクラミーは名乗りをあげて、決めポーズをしてた。
お前は昔の武士か!!
「あ! それカッコイイな。よ~し、僕も!」
そして、そのクラミーの姿に佳君が影響されてしまう。
「やあやあ我こそは……えーと……えーと……。ルネ君、僕の種族って、なんだったけ?」
「知らんがな!!」
自分の種族が分からないせいで、佳君は決め台詞を失敗する。
ダサいな。
で、仕切り直し。
「では改めまして。やあやあ我こそは (だぶん) 偉大なる戦士佳なるぞ!」
「貴様など、我が剣の錆にしてやる!」
「そうはさせるか! 返り討ちだ」
二人共決めポーズ決めながらくっちゃべってばかりで、まったく闘おうとしない。
お前ら、試合をチャンバラかなんかと勘違いしてないか?
「あっ、いざ!」
「いざ!」
「いざいざいざ!」
「いい加減にしろ! さっさと闘え!!」
「「!?」」
二人があまりにダラダラと喋ってばかりなので。俺は痺れを切らして闘う様に怒鳴った。
「ルネが怒るから、そろそろ闘おうか」
「そうしよう」
ようやく闘う気になった二人。
しかし、なんとやる気のないテンションだろうか。
これから闘いあう者どうしの言う台詞かコレ?
「では」
「いざ尋常に」
仕切り直して、クラミーと佳君は試合を再開。
「はぁああああああ!」
先に仕掛けたのは佳君だ。
佳君は戦斧を構えながら、クラミーに突っ込んでいく。
「んぅりゃああああああああ!」
それに対してクラミーは、訳の分からん掛け声を上げて、真っ向から佳君に立ち向かう。
真っ向勝負だ!
「「!」」
金属質な激突音とともに、互いの武器が激しくぶつかり合う。
「ふぐぐっ!」
「ぬぅ!」
ぶつかり合った後、二人は互いの武器を合わせた状態で力比べ。
現実世界では同等の力の俺達だが。
この世界の体だと、体格に勝る佳君の方がパワーはありそうな気がした。
しかし……。
「どわっ!?」
二十秒の力比べの後、力比べに勝ったのは、クラミーだった。
ちょっと意外。
力比べに負けた佳君は、弾き飛ばされてしまう。
体格の割にパワーねぇな。
「くっ!」
しかし、佳君もやられっぱなしではない。
すぐに立ち上がって、体勢を立て直す。
「!」
そして、素早く動き回る。
恐らくパワーで劣ると分かると、佳君はスピードで対抗しようと考えたのだろう。
「佳君のヤツ、ちょこまかと!」
図体のデカさに反し、軽やかな動き。佳君の動きは機敏だった。
そのスピードは、俺も目で追うのがやっと。
クラミーはそのスピードについていけない。
スピード勝負は、佳君の方に分がありそうだ。
「はっ!」
目で追うのがやっとのクラミーの隙をついて佳君はジャンプ。
「でぇーやぁああああああ!」
そしてそのまま戦斧で、突きの構えをとる。
「なんの!」
しかしクラミーは蛍光灯ソードで、剣道の受け払いをするかのごとく佳君を吹き飛ばした。
「でっへぇ!?」
弾かれた佳君は着地に失敗。
まるで、でんぐり返りの様に地面に転げ落ちる。
「ごはっ!」
佳君は慌てて立ち上がろうとするが。足がもつれて上手く立ち上がれない。
「今だ!」
クラミーは佳君の体勢が整ってないのをチャンスとばかりに攻める。
「あ、ブイ~ン! ブイ~ン!」
クラミーは蛍光灯ソードをラ〇トセーバーのごとく振り回し、ガンガン攻めまくる。
「くっ!」
クラミーのラッシュ攻撃に、佳君は防戦一方。
倒れた状態のまま戦斧でクラミーのカリ棒と蛍光灯ソードの攻撃を防いでいるが。
あの様子では、反撃できそうにない。
「ブイ~ン! ブイ~ン! ブイ~ン!」
本人はマジメにやってると思うが。動作音を自分の口で言ってるので、緊張感がまるでない。
割とまともな闘いなんだけどなぁ。
「……」
最初、いい加減な気持ちで二人の闘う姿を見ていたが。
真剣にじっくり見てみると、佳君が防戦一方な理由がなんとなく分かってくる。
恐らく原因は佳君の武器にある。
戦斧は優秀な武器だが。重心が先端にあり、取り回しに癖がある。
クラミーはその欠点に気付いたのだろう。
そうとしか言いようがなかった。
でなければ、あの様な一方的な闘いになる事など有り得ない。
「くらえ、電気玉!」
クラミーの蛍光灯ソードの剣先から、握り拳程の電気の玉が発射された。
「ビリビリビリ!?」
その攻撃は佳君に直撃。
感電してしまう。
「ブシュウウウウ!」
「しまった!」
感電した佳君に、クラミーは蛍光灯ソードによる突きで、戦斧を跳ね飛ばした。
この攻撃が決め手となり、勝敗は決した。
「参った。降参だ」
武器をはね飛ばされた佳君は、潔く負けを認める。
「勝ちぃ~♪」
一方、勝ったクラミーは喜びのガッツポーズをしていた。




