モンスター討伐クエスト 後編
「マサ、許してはやるが。この毒イノシシは、お前が街まで運べよ」
マサの反省が足りなそうなので、腹いせに毒イノシシを運ばせることにした。
「えー! 何で俺がやらなきゃならねーんだ!」
「文句あるのか!!」
「うっ!? ないです……」
俺が睨み付けると、マサはビビり、嫌々ながら従った。
「そんじゃあ運ぶか」
んで、毒イノシシを街まで運ぶことになったが。
この毒イノシシ、見るからに重そうだ。
「ふんぐぅぅぅ!!」
マサは毒イノシシの右後足引っ張るも、全く前に進まない。
「ムリだああああああ!」
マサは頑張って引っ張いさおくんった。
が、重い毒イノシシはびくともしない。
「……功君、これはマサ君一人で運ぶのはムリそいうだよ」
「仕方ない。三人で運ぶか」
そんなわけで、今度は三人で引っ張る。
「そ~れ! 1,2の3! それ力いっぱーい!」
佳君の掛け声を合図に、三人で力一杯引っ張るが、大きな毒イノシシを動かすことができない。
「ダメだぁ!」
重すぎて、三人で引っ張っても、運ぶのはムリだった。
「まったく! なんて重さだ」
これは何か道具を使わないと、運べそうにない。
「僕が思うに。この毒イノシシの重さは八百キロ……。いや、もしかしたら千キロを超えてるかも」
「そんなこと、どうでもいい」
マサの言ったように、今は冷静に分析するよりも、運ぶことが先決だ。
「じゃあ、僕が町までひとっ走りして、道具を借りてくるよ」
「おー。それは良い」
「それじゃあ行ってきまーす」
そんで数十分後。
佳君んが大八車と人を五人連れてきた。
「佳君、その人達は?」
「毒イノシシを仕留めた事を話したら、毒イノシシを買いたいって言うから、運ぶの手伝ってくれたら売ってあげるって言ったの。そしたら手伝ってくれるって」
「はあ、そういうわけか」
佳君が連れてきた人達の格好を見ると、肉屋やコックなどの職種の人間だと言う事が分かる。
「佳君、でかした!」
「えへへ♪」
マサに誉められると、佳君は嬉しくて照れ笑い。
しかし、佳君のやってくれたことはナイスだった。
かくして、みんなで毒イノシシを大八車に乗っける事に。
「「「「「ヨイショ!」」」」」
神輿担ぐみたいに威勢よく持ち上げると、毒イノシシをなんとか乗っける事ができた。
しかし、毒イノシシが大きいので、大八車から少しはみ出てる。
また、毒イノシシの重さで大八車がギシギシと軋む。
「壊れてしまいそうだ」
なんて思ったが。その心配は無用だった。
大八車は街まで持ち堪えてくれた。
「ぎゃあ!?」
但し、街に到着した途端に壊れてしまったが (笑)
まあ、それはともかく。
俺達は毒イノシシを倒したことを報告すべく、ギルドに向かう。
◇
「お前達、毒イノシシを倒したのか!?」
「アンタらみたいなのが毒イノシシを倒したんか!?」
「すげーよ! お前ら」
ことをギルドに報告すると、ギルド内が騒ぎになる。
「いやぁ、どうもどうも♪」
賞賛を浴びて佳君はニヤニヤしていたが。賞賛を受けるのは気持ち良い。
俺も釣られてにやけ笑いをしてしまった。
「では、成功報酬を頂こうか!」
一方、マサは賞賛されることには無関心。
受付で高圧的な態度で、受付嬢から報酬を受け取ろうとしていた。
「おっぽん! では、マサさんのパーティーには、功績を称えて百八十マルクを与えます」
少々笑顔引きつってたものの、受付嬢は俺達の活躍を称えながら金袋を出してくれた。
「なんと!?」
「そんなにくれるのか!?」
報酬金額があまりの大金だったことに驚き。無意識に俺達は目をパチクリとしていた。
「なんでこんなに報酬をくれるんですか?」
気になった佳君は受付嬢に理由を聞く。
「はい。それはですね……」
受付嬢の話によると。
この毒イノシシが作物や無害なモンスターを食い荒らしてたらしく。害獣として扱われていた。
また、毒イノシシは元々この地方には生息していなかったモンスターで、研究用。もしくは観察用に南の地方から連れてこられたとのこと。
それが何かの手違いで逃げ出して野生化してしまう。
その後程なくして討伐クエストが出される。
が、その強さ故に闘いを挑んだ多くの冒険者が返り討ちにあった。
そのため、冒険者が倒される度に報酬が上乗せされていった。
結果として、モンスター討伐クエストの中でも破格の賞金額になっちゃったらしい。
「……と、言うわけです」
「そう言うことだったのか……」
説明を聞いて、俺達は何と無く納得した。
「じゃあ、報酬の取り分は俺6、功2、佳君2で」
「おいコラ!!」
「なんだよ、文句あるのか?」
「文句しかねぇよ!」
戦闘でまったく活躍してない者が報酬を一番多く貰おうだなんて、図々しい。
俺はマサの考えに断固反対した。
その結果、俺とマサは数十分口論になるが、互いにまったく譲らず。堂々巡りになってしまう。
「よーし! じゃあ、第三者に意見を聞こう」
口論の中、マサが唐突にある案を出してくる。
「第三者? 誰だ?」
「佳君さ」
「えっ! 僕?」
マサは佳君に判断を委ねることを提示。
「それならいい考えだ」
個の考えには素直に良い案だと思った。
毒イノシシを倒すのに最も貢献した佳君が取り分を決めるなら、俺も文句はない。
「じゃあ、佳君頼むよ」
「こりゃあ責任重大だな」
マサは軽い気持ちで佳君に任せるが。
任された佳君はちょっと困り顔。
でも佳君は、このことについては、もう心を決めていた。
「仲良く三棟分しよ」
と、均等に分けることにした。
「佳君、本当にそれで良いの?」
「ああ。初めからそうするつもりだったんだ」
そう言いながら佳君は俺に微笑んでくれた。
優しいな。
「それに、キッカリ三等分できる金額だったしね」
「確かに」
佳君の言葉のお陰か。俺の中にあった蟠りは、すっかりなくなっていた。
んで、俺達は報酬をキッカリ三等分にしたのだった。




