第八話 人喰いの森サバイバル(2)
〜祓魔メモ〜
怪魔の発生の仕方3種類
1.空気中の邪素と人々の憎しみや怒りなどの負のエネルギーが反応を起こし、発生する。
2.空気中の邪素が直接負のエネルギーを持った人間の身に宿り発生する。元は人間。
3.幻魔が直接自身の魂と霊力を分け与え、生み出す。
いずれの場合も幻魔が魂と霊力を与えることでより強固な肉体、強力な術を得られる
怪魔の腕が後ろから迫ってくる。
「間に合えーー!おらぁ!」
2本の腕が零夜にぶつかる寸前まで来ている…!
くっ!しかしいつまで経っても攻撃は来ない。
怪魔の腹を見ると魔核に穴が空いている。
なんとか間に合ったのか⋯
ほっとして尻餅をつく零夜を尻目に龍は黙々と魂を食べるのであった。
よし!他のみんなを探しに行くか!とっとと脱出してやるぜ⋯!
そう言って森を走っていくのであった。
一方遡ること数分前、御守優莉香も別の場所を彷徨っていた。
みんなと離れちゃったよ⋯どうしよう⋯助けを待つか⋯いや私は強くなるために祓魔塾に来たんだ⋯!
自分の力でなんとかしないと⋯!でも私は攻撃系じゃないし⋯
ーガサガサッー
優莉香の背後の木々が風で揺れる。
びっくりしたー⋯怪魔かと思った⋯
その時だった。
ピカッ!パァンッ!
蒼い光が少し離れたところに見えたと思ったら、大きな空気を切り裂くような音が聞こえた。
な、何?!今のは怪魔?それとも他の3人の武功?
こ…怖いけど…見に行かなくちゃ…!
幸いにも光が見えた場所はあまり離れてはいなかった。
ハァハァハァ…どのあたりだっけ?さっきのが見えたの…
ーガサガサッー
優莉香の20メートル程後ろから音が鳴る。
もう…また風ね…やめてほしいわ…怖いもん
そう思って無視しようとしたが今度は違った。
後ろの茂みから出てきたのは零夜だった。
「零夜!」
良かったーやっと合流できたわ…
零夜が全力で走ってくる。
「良かった〜!やっと会え…」
「逃げろ〜!!!!」
零夜が大きな声で叫ぶ。
「え?ちょ…」
彼が言った意味は走ってきた跡を見ればすぐにわかった。背後から何十もの怪魔が迫ってきているのだ。
「何ぼーっとしてんだ!死ぬぞ!」
零夜が私の手を掴んで走り出す。
「怪我はしてないよな?」
「うん…でもなんでこんなことに?」
「うぅん…それはねぇ…」
零夜が半笑いしながら怪魔を倒したことを思い出す。
ー怪魔を倒した少し後の零夜ー
ふぅ…体術だけでなんとか倒せたぜ…
体の違和感も消えたしな…
「よし!それじゃあ他のみんなを探しにレッツゴ…」
ん?茂みの中から怪魔が出てきた。
「お前も俺に倒されたいんだな?ヘヘッ!いいぜやってやんよ!来いやぁ!」
調子にのって挑発するともう一体怪魔が出てきた。
「…2体か!いいぜ!」
隣の茂みからまたもう一体怪魔が出てくる。
「……3体か!ま、まぁなんとか?倒せますけど?」キランッ!
後ろの茂みで赤い何かが無数に光る。
ん?あれはー怪魔の目?何体いるんだ?
1,2,3,…15
また一体また一体と出てくる怪魔。
「いや多すぎだろ!!」
「あのぉ~怪魔さん、さすがに50対1は卑怯じゃないですかね?」
怪魔が一斉に首を横に振る。
「え?卑怯じゃないって?…ま、まぁ何にせよ、失礼しました〜」
零夜がそろりそろりと歩いて帰ろうとすると…
グルルァァァァ!
「まぁ無理だよねwww!そんな簡単に見逃してくれたら苦労しないわ!」
逃げながら自分で自分にツッコミを入れる。
「ギャァァァ!たぁすけてー!」
平地を走り、下り坂を駆け下り…何度も同じ場所を逃げ回る。
ん?待てよ?もしかして俺が蓮華真珠功・蒼を放ったせいであいつら俺のとこ集まってきた?
「そうなのか?」
後ろを振り返り怪魔の軍勢に質問を投げかける。
今度は一斉に首を縦に振った。
いや、マジでそうなんかい!というかなんであいつら俺の言葉わかるねん!
全力で走りながらまたも自分にツッコミを入れる。
「あれは…優莉香?」
遠くに一人の少女が見える。
まずい…このまま突っ込んだら優莉香も巻き添えに…
「逃げろ〜!!!!」
「零夜!」
「っていうのが現状ですね…」
「てことはこんなに怪魔が集まってきたのは零夜のせいってこと?」
「ああバッチリ俺のせい!」
こんなに呑気に会話をしているが2人の後ろには数十体の怪魔がいることを忘れてはいけない。
走り続けていると少し開けた場所に出た。
「ここは…?」
前を見ると怪魔が怪魔がたくさんいる。
クソッ!挟み撃ちとはこすい手を使ってくれるじゃねーか…
後ろからも前からも怪魔がじりじりと詰め寄ってくる。
「わ、私がなんとかするわ!」
―界極創生功 第三技 護壁結界―
零夜と優莉香の周りに小さな結界が出来上がる。
「これでひとまずは凌げるはず⋯!」
怪魔が襲いかかってくるが結界で防がれる。
近接で対抗できないのがわかったのか、何体かの怪魔が一斉に術で作った弾を撃ってくる。
ーピシッ⋯キシッ⋯ー
「まずい⋯このままじゃ結界が持たない⋯」
バシッ!バコオォン!
とうとう結界にひびが入り始めた。
すると他の怪魔より一回り大きい怪魔が現れ、結界を思い切り殴った。
パリィィッン!
結界が崩壊し、砂埃が舞う。
さっきのやつは他のやつに比べて体が大きかったな。しかも四足歩行で、顔には口しかない異質な姿をしていたし⋯おそらく2級怪魔か⋯
砂埃が晴れるとすでに2級と思われる怪魔は口から大きな弾を出して攻撃の準備に入っていた。
「ごめん⋯わたしの結界が弱かったから⋯」
「気にすんな。なんとかなるって」
「でも⋯」
「自分は弱いって言って諦めたら人生そっから先には進めねぇよ」
「え?その言葉⋯どこで⋯?」
ー10年前ー
優莉香の村は怪魔に襲われていた。
「キャアー!わぁぁぁ!」
村は火の海と化し地獄絵図になっていた。あちらこちらで村人が怪魔に襲われている。
御守優莉香の家族も例外ではなかった。父は村の自警団員だったため最前線で戦いそして戦死した。
母と私は崩れた家の端でうずくまり怪魔に見つからないようにしていたが、私はすべてを諦め絶望していた。しかし村には怪魔がたくさんいるので見つかるのは時間の問題。すぐに一体の怪魔が私たちを見つけた。怪魔はよだれをたらしてうなっていた。
もうだめか⋯
そこへ一人の祓魔師がやってきた。
「おいそこの怪魔ぁ!どこ見てるんだ?」
一瞬で怪魔に距離を詰めると首を掴みそのまま握力だけで粉砕した。
す、すごい⋯1秒前まで10メートル以上離れてたのに⋯
他の怪魔がやられたことに気がついた怪魔がぞろぞろと私たちのところへ集まってきた。
あぁ⋯今度こそ終わりだ⋯この人がどんなに強くてもこの数はさすがに無理だ⋯
「まったく随分絶望に満ちた顔してるなぁ君。良いことを教えてやるよ。人生諦めたらそっから先には進めないぜ?逆に諦めなかったらいくらでも道は開けるってもんよ!まぁ見てな」
そう言い怪魔へと姿勢を向ける。
―蓮華真珠功 赫―
バコォォォン!
激しい光と衝撃で思わず目を閉じる。
目を開けるとあんなにたくさんいた怪魔は一体残らず消えていた。
「あ、あなたはいったい…?」
「ん?俺か?俺はただの祓魔師だよ」
その人はそのまま村を襲った怪魔を全滅させて去っていった。
彼がかの元最強祓魔師・神代龍玄であったことはあとになって知ったことだ。
「人生諦めたら」
「それ以上先には進めないぜ?」
零夜に神代龍玄の幻影が重なる。
「神代って名字⋯まさか⋯」
いよいよ怪魔の構える弾が大きくなる。
「行くぜー!見てろよ?俺の新たな技!」
ー蓮華真珠功 赫ー
両手を上に掲げ、巨大な赫い弾を出現させる。
「まだまだぁー!」
赫い弾はどんどん大きくなり、やがて零夜たちのいる広場を覆うほどの大きさになった。
「行くぜぇ!」
その弾を思い切り怪魔に向かって投げ飛ばす。
「あの時と同じだ⋯」
ドカァァァァン!
怪魔とその周りの木々を完全に跡形もなく消し去った。
「ふぅ…なんとかうまくいったぜ…」
「零夜ってもしかして…」
ボカァァァン!
ピィピィ!鳥が一斉に飛びたって逃げていく。
ドシィィン!ズシィィン!
「何かが…来る…!」
第八話読んでくださりありがとうございます!
連載開始からあっという間に2ヶ月が経ちました。
まだ8話という少ない数ですが今後も頑張っていきますので皆さん応援よろしくお願いします!
次回 第九話 特級怪魔降臨 2026/9/18(金)公開




